Special Reportage 
ヘルスケアショールーム MFK見学記 
ECHELON Smart Plusの魅力に迫る

2020-4-24


ヘルスケアショールーム MFK見学記

日立製作所ヘルスケア柏事業場(千葉県柏市)内にある「日立メディカルフォーラム柏(MFK)」は,MRIやCT,超音波診断装置など,日立のヘルスケア製品を常時展示しているヘルスケアショールームです。今回,MFKで最新の超電導型1.5T MRI「ECHELON Smart Plus」を見学。スピードという新たな価値を獲得し,MRI検査を進化させるECHELON Smart Plusの魅力に迫ります。

地上3階建てのMFKには,展示室やセミナールームなどがあり,国内外から年間3000人以上の見学者が訪れます。エントランスを抜けた先に広がる展示室の一角に,MRI,CT,X線装置が置かれた4つの検査室があり,実際に装置を操作することができます。ECHELON Smart Plusは,2つあるMRI室の一室に設置されていました。見学では,アプリケーション担当者に装置や画像について説明してもらいながら,さまざまな機能を実際に体験してきました。

ECHELON Smart Plusは,「ECHELON Smart」に“スピードをプラス”した日立1.5T MRIの最新装置です。前バージョンのECHELON Smartは,静音技術や省エネ機能,レイアウトの自由度が高いといった特長を持ち,オープンMRIからのリプレイスも可能な1.5T MRIとして,これまで本誌でも導入施設を取材してきました。そして,ECHELON Smartをベースに,検査全体のスループット向上をコンセプトに開発されたのが,ECHELON Smart Plusです。独自のシステム“SynergyDrive”により,入室から退室までの検査時間の短縮を実現しています。
短時間化のポイントの一つが,操作を簡略化・自動化する“AutoExam”です。被検者をセッティングした後は,ボタン一つで位置決めから撮像,後処理まで完了します。頭部検査では,スキャノグラム撮像後,スライスライン設定サポート機能“AutoPose”が示した撮像断面を確認するだけ。AutoPoseは精度が高いため,オペレーターによる調整はほとんど必要ないそうです。
もう一つのポイントが,高速撮像技術“IP-RAPID”です。全身さまざまな部位の検査で,画質を維持したまま撮像時間を短縮します。救急向けに組まれたプロトコールでは,拡散強調画像まで含めても約5分,最小限のシーケンスに絞れば3分程度で撮像できるとのこと。これならば,救急のファーストチョイスにMRI検査を行うことも現実的です。

被検者にもオペレーターにもやさしいECHELON Smart Plusの魅力

静音技術“Smart Comfort”のオン/オフによる撮像音の違いを体験。静音化した撮像音はとても小さく,シーケンスによっては室内に流れる音楽も聞こえます。静音化でストレスが大きく軽減することを実感しました。

静音技術“Smart Comfort”のオン/オフによる撮像音の違いを体験。静音化した撮像音はとても小さく,シーケンスによっては室内に流れる音楽も聞こえます。静音化でストレスが大きく軽減することを実感しました。

 

実際に頭部コイルをつけて,Smart Theatreを体験しました。コイルの向こうに青空が広がっているように感じられ,閉塞感は軽減されます。気が紛れて体感時間も短くなりそう。

実際に頭部コイルをつけて,Smart Theatreを体験しました。コイルの向こうに青空が広がっているように感じられ,閉塞感は軽減されます。気が紛れて体感時間も短くなりそう。

自動化機能AutoExamにより,頭部検査では,オペレーターはスタートボタンを押して設定された断面を確認するだけ。

自動化機能AutoExamにより,頭部検査では,オペレーターはスタートボタンを押して設定された断面を確認するだけ。

   
AutoPoseの設定断面を表示後,本スキャンを開始するまでの時間は,タイマー設定が可能。

AutoPoseの設定断面を表示後,本スキャンを開始するまでの時間は,タイマー設定が可能。

1画面ですべて表示されるスキャンパラメータリストは,操作時間の短縮に貢献します。

1画面ですべて表示されるスキャンパラメータリストは,操作時間の短縮に貢献します。

 

ECHELON Smart Plusと一緒に,MRIボア内映像投影システム「Smart Theatre」も展示されています。Smart Theatreは,プロジェクターと鏡を使って,ボアの内側に空やオーロラなどのリラックスできる映像を投影することで,閉塞感を軽減し,被検者のストレスを緩和する効果が期待できます。また,Smart Theatreは,コイルミラーを使って室内モニタの映像を見るタイプのシステムよりも安価に導入できる点もメリットです。

検査環境を改善する製品として,Smart Theatreと同じくプロジェクターで壁面に映像を投影する「Smart Window」があり,MFKではCT室に展示されています。Smart Windowは,その名のとおり窓を映像で表現したシステムで,窓に広がる景色の映像には,森林や水辺,ビーチなどさまざまなコンテンツが用意されています。検査室外や天井に設置したプロジェクターから投影される映像は,室内を移動する患者さんやスタッフに直接当たらないように工夫されています。さらに,映像と連動したBGMや環境音も流れ,リラックスできる検査環境となっています。

64列/128スライスCT「SCENARIA View」の展示室にはSmart Windowを展示。森や海など自然の景色が映し出され,窓辺には鳥もやってきます。

64列/128スライスCT「SCENARIA View」の展示室にはSmart Windowを展示。
森や海など自然の景色が映し出され,窓辺には鳥もやってきます。

 

もう一つのMRI室には,永久磁石型0.3TオープンMRI「AIRIS Vento」を展示。ハンズフリーで寝台操作が可能なフットスイッチ操作を体験。

もう一つのMRI室には,永久磁石型0.3TオープンMRI「AIRIS Vento」を展示。
ハンズフリーで寝台操作が可能なフットスイッチ操作を体験。

 

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MFKは1998年に,「21世紀への知識と技術と人の和を融合し 新しいものを生み出すための情報の受発信基地」として設立されました。これまでの訪問者は,延べ8万1277人(7118組)に上ります。最新装置を中心に各モダリティの実機を展示し,操作体験も可能なMFKには,製品購入を検討している医療関係者だけでなく,操作トレーニングを行うユーザーや,学生も多く訪れます。近年は,学会や研究会の会場としても活用されているそうです。
日立のヘルスケア製品を,見て,触って,感じられるMFKを訪れてみてはいかがでしょうか。

(2020年2月13日取材)

 

MRIボア内映像投影システム「Smart Theatre」とは?

MRIボア内映像投影システム「Smart Theatre」は,プロジェクターにより空などの映像をMRIの撮像空間ボアの上面に投影して,被検者の検査環境を改善する装置です。強磁場となるMRIの近傍には一般のプロジェクターは設置が不可能で,また,プロジェクターからの高周波ノイズもMR画像に大きな影響を与えるので問題となります。そこで,このシステムはプロジェクター本体を検査室の外部(機械室や操作室)に設置し,映像のみをボア内に導きます。
一般的なプロジェクターの投影距離は2~3m程度なので,これを延長し,さらにボア内での映像サイズが適切になるように光学的にレンズで調整します。映像は導波管を通して検査室内に導かれます。導波管とは,適切に設計された筒状の導電体で,高周波ノイズは通さずに光のみを通す筒です。この投影光を複数のミラーで反射させてボア内に投影します。
ボア内に投影された映像は曲面のために湾曲し,斜め角度からの投影なので縦に引き伸ばされてゆがんだ画像となります。このゆがみ量をあらかじめ計測しておき,映像コンテンツに逆ゆがみを与えることで画像補正する技術を用いています。投影映像のコンテンツは,頭部受信コイル装着時の窓穴に対応した局所と広範囲の二重映像となっていて,頭部検査を主体とした撮像に対応します。さらに,BGM連動機能を有しており,映像とともに音楽によるリラックス効果を提供します。

MRIボア内映像投影システム「Smart Theatre」とは?

 

*MRIボア内映像投影システム「Smart Theatre」と,検査室内壁面映像投影システム「Smart Window」は,(株)総合企画の製品名称です。(特許出願中)

 

MFKへのアクセス
所在地:千葉県柏市新十余二2-1
つくばエクスプレス利用の場合,柏たなか駅から徒歩(約20分),もしくは柏の葉キャンパス駅からタクシー(約10分)

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