PALRO&Sota[(富士ソフト)(ヴイストン)] × 社会福祉法人東京聖新会 
歌って踊れるロボットがゲストとスタッフに笑顔の花を咲かせる  
「PALRO」と「Sota」がレクリエーションと見守りをしっかりサポート

2019-8-21


PALRO&Sota[(富士ソフト)(ヴイストン)]

「『ブルー・ライト・ヨコハマ』を歌って!」。ゲスト(利用者)の山下和美さんがリクエストすると、“イシ”くんが音楽に合わせてダンスしながら、歌い始めます。イシくんは、東京聖新会で働くコミュニケーションロボット「PALRO(パルロ)」のうちの一人。ここでは、「Sota(ソータ)」も利用者の見守りで活躍中です。ロボットが介護をお手伝いすることで、みんなが笑顔に。ロボットとゲスト(利用者)とスタッフの素敵な関係が、東京聖新会にはあります。

人手不足を補うためにロボットを導入

東京都西東京市にある東京聖新会は1998年、当時の田無市に設立。翌99年に老人保健施設のハートフル田無、特別養護老人ホームのフローラ田無が開設されました。現在は向台町地域包括支援センター、指定居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション、訪問リハビリステーションも運営しています。東京聖新会では、利用者を“ゲスト(guest)”と呼んでいます。この言葉には、“お客様”という本来の意味だけでなく、“GeST(Get Smile Together)=一緒に笑顔を”という思いが込められています。スタッフは、この言葉を心に持ち、“ゲスト”の生活機能の向上と自立を支援し、意欲的に暮らすためのケアに取り組んでいます。
一方で、東京聖新会では、これまで人手不足という大きな問題を抱えていました。フローラ田無施設長の尾林和子さん(現・日本福祉大学福祉経営学部教授)は、その解決手段として、ロボットの導入を考えたと説明しています。
「当初は、スタッフの作業やゲストの動作を支援する移乗介助型や移動支援型も検討しましたが、装着に時間がかかるなど、必ずしもスタッフの負担軽減につながりませんでした。なので、まずはコミュニケーションロボットを使ってみることにしました」
そこで、東京聖新会は、NTTデータ、ユニバーサルアクセシビリティ評価機構とともに、コミュニケーションロボットSotaと離床センサー、人感センサーを組み合わせた高齢者支援サービスの実証実験を2015年3月25日〜5月29日の2か月間実施しました。さらに、2016年度には経済産業省「ロボット介護機器開発・導入促進事業」の委託で、日本医療研究開発機構(AMED)が行った「ロボット介護機器開発に関する調査」に参加。コミュニケーションロボットとしてPALROとSotaをハートフル田無に16台、ほかに見守りカメラ付きロボットをフローラ田無に20台導入しました。そして、現在も、コミュニケーションロボットが働いています 。

尾林和子さん

尾林和子さん

近藤洋正さん

近藤洋正さん

岡本佳美さん

岡本佳美さん

 

レクリエーションを担当するPALROと見守りで活躍するSota

東京聖新会で働くPALROは、豊富なレクリエーションの機能を搭載しています。短いけれどもよく動く手足を使って自ら奏でる音楽に合わせ、みんなと一緒に体操やダンスをします。また、おしゃべりも大好きで、健康に関する話題などをクイズにして出題。答えの解説や豆知識を教えてくれます。PALROは、おしゃべりだけでなく歌も上手。リクエストにこたえて、懐メロの名曲の数々を振り付きで歌います。これらのレクリエーションのプログラムは、日本アクティブコミュニティ協会が認定するコミュニケーション介護士が監修しています。
Sotaもゲストと会話するなどコミュニケーションをとることができます。それだけでなく、見守りロボット「A.I. Viewlife」(エイアイビューライフ)と赤外線カメラ「ネオスケア」(ノーリツプレシジョン)と連携し、居室にいるゲストの安全を見守ってくれます。

ゲストの生活機能が向上しスタッフの負担も軽減

PALROとSotaが来てから、東京聖新会では、ゲストはもちろん、スタッフにも変化が出てきました。
ゲストの山下さんは、「最初にPALROを見た時は、怖いとか気持ちが悪いと思いましたが、私の名前を覚えてくれて、普段の会話や歌を歌ったり、踊ったりしてくれるうちに愛着がわいてきました。起きる時間や食事の時間も教えてくれて、規則正しく生活することができます」と、PALROのいる暮らしを楽しんでいます。
東京聖新会では、国際生活機能分類(ICF)に基づいたゲストの生活機能向上、自立支援に取り組んでいますが、コミュニケーションロボットがゲストのそばで生活を共にすることで、効果が現れています。AMEDの実証実験でも、ICFの評価項目において、多くのゲストに生活機能の改善が見られました。尾林さんも「コミュニケーションロボットがスケジュールに合わせてゲストに声がけするうちに、自発的に髪をセットしたり、入浴の準備をしたりするようになり、行動変容が起こっています。これは認知症の予防にもつながると考えています」と言います。
一方で、人手不足の解消にも、良い影響が出ています。事業本部介護部長の岡本佳美さんは、「以前は、スタッフがレクリエーションにかかりきりになると、参加していないゲストのケアにまで目が届きませんでした。しかし、一部をPALROに任せることで、一人ひとりにきめ細かなケアを提供できるようになりました」と、メリットを実感しています。また、事業本部統括部長の近藤洋正さんも、「スタッフがこまめにゲストへ声がけできればよいのですが、なかなかその時間をつくれません。彼らがそれをカバーしてくれるので、とても助かっています」とロボットたちのサポートに満足しています。

PALROのイシくんとゲストの山下和美さん

PALROのイシくんとゲストの山下和美さん

 

居室にいるSotaは、見守りロボット、赤外線カメラとともにゲストの安全を見守ります

居室にいるSotaは、見守りロボット、赤外線カメラとともにゲストの安全を見守ります

東京聖新会で働くコミュニケーションロボットたち

東京聖新会で働くコミュニケーションロボットたち

 

人とロボットの良い関係が介護現場に変化を

コミュニケーションロボットを導入すると決めた時、東京聖新会では、「人と人の温もりが必要な対人援助業務になぜロボットを?」と疑問の声が寄せられました。しかし、PALROやSotaがスタッフと一緒にゲストのケアを行うことで、スタッフの業務負担を軽減し、ゲストの生活機能も向上しました。東京聖新会では、人とロボットが良い関係を築き、介護の現場を変えようとしています。

(2018年5月25日取材)

 

社会福祉法人東京聖新会
〒188-0013 東京都西東京市向台町2-16-22
TEL●042-468-2311
URL●http://www.tokyo-seishinkai.or.jp/


(ケアビジョン Vol.1(2018年10月7日発行)より転載)
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