訪問看護システム編

◆連載◆ 教えて! ICT&ロボットのギモン <第6回> 
【訪問看護システム編(2)】 

Q 訪問看護支援システムの導入は、どのようなステップで進めるといいですか?

2019-8-28


Q 訪問看護支援システムの導入は、どのようなステップで進めるといいですか?

回答者・東京医療保健大学医療情報学科 瀬戸僚馬先生

A 3つのステップを踏まえ、“ICT化してよかった!”をめざしましょう!

●Step1:ICT化の目的を明確にする
●Step2:複数のシステム候補を挙げ、経営計画とのマッチングを行う
●Step3:新たなシステムを踏まえて、ワークフロー全体を見直す

詳しく解説!

前回は、訪問看護事業所において、病院を上回る速さでICT化が進んでいることをお話ししました。今回は、訪問看護支援システムの導入に向けてどのようなステップがあるのか見ていきましょう。

●Step1:ICT化の目的を明確にする

訪問看護システムの主な機能には、記録作成機能、レセプト作成機能、スタッフ間情報共有機能などがあります。こうした日常業務の支援を中心として、統計機能などの附随的な機能を充実させたシステムも増えています。

現在市販されている訪問看護支援システムは、これらの機能のどこかに強みを持たせたシステムが一般的です。すべての機能を強化すると当然ながらシステム導入経費も上がってしまいます。そのためメリハリをつけることが重要ですし、各社ともどこに強みを持たせるかでしのぎを削っています。

●Step2:複数のシステム候補を挙げ、経営計画とのマッチングを行う

例えば「記録に費やす時間が大きな負担」という場合は、その支援機能が充実したシステムを探すことになります。記録の負担を軽減するために音声入力機能を採用したシステムなどもありますので、そのベンダーに連絡してデモなどを依頼することが第一歩です。

どのような訪問看護であっても、訪問看護指示書を発行する医師との関係は重要です。また、訪問看護を介護サービス計画に盛り込んでもらう上で、ケアマネジャーとの連携も欠かせません。これらの連携先とどのように情報共有するかも、導入システムの選定に大きく影響します。

ただし、情報システムの調達は、5年以上の長期的なスパンで行う案件です。ですから負荷軽減も連携も重要ですが、決して現状対応だけの視点で導入を決めてはいけません。5年間、さらにはその先の経営計画を踏まえ、その経営計画に合致したシステムを選択していくことが肝要です。

●Step3:新たなシステムを踏まえて、ワークフロー全体を見直す

システムを導入したのに、期待した効果が上がらない事例もときに見聞きします。これらの事例では、紙の記録・帳票時代の業務方法や情報伝達の流れ(以下、ワークフローといいます)を踏襲している傾向があります。システム導入自体が事業所にとっては大きな負荷になるため、ワークフローの見直しまでやりきれない側面も確かにあります。

しかし、紙の記録・帳票と情報システムにはそれぞれ特性がありますので、ワークフローを踏襲するのは非常に非効率です。例えば「記録の負担軽減」を目的とした場合、移動時間を使っていかに安全かつ効率的に記録するかなど、システムの特性を生かしたワークフローを導入前に詰めておくことが望ましいといえます。

 

*今回教えてくれたのは*
瀬戸 僚馬(せと りょうま) 東京医療保健大学 医療保健学部 医療情報学科、大学情報マネジメント室
2001年国際医療福祉大学保健学部卒業。津久井赤十字病院(現・相模原赤十字病院)にて臨床、杏林大学医学部付属病院にて情報システム担当の後、2009年に東京医療保健大学に赴任。現在、同大学医療保健学部医療情報学科准教授、大学情報マネジメント室室長補佐。博士(医療福祉経営学)。2012年に第13回日本医療情報学会看護学術大会長、2018年に日本医療マネジメント学会東京支部学術集会長を歴任。2016年から日本医療情報学会看護部会病棟デバイスワーキンググループ長、2017年から一般財団法人医療情報システム開発センターにて看護実践用語標準マスター普及推進作業班主査。

*「教えて! ICT&ロボットのギモン」とは?*
介護でのICTやロボットの活用について、「興味はあるけどよくわからない」というギモンから、「ぜひ使いたい! どうすればいいの?」というギモンまで、現場のみなさんが抱く“素朴なギモン”に、専門家がわかりやすく答えます。
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