訪問看護システム編

◆連載◆ 教えて! ICT&ロボットのギモン <第9回> 
【訪問看護システム編(3)】 

Q 訪問看護システムの今後の発展と、それを踏まえた導入の際の留意点を教えてください。

2019-9-18

訪問看護システム編


Q 訪問看護システムの今後の発展と、それを踏まえた導入の際の留意点を教えてください。

回答者・東京医療保健大学医療情報学科 瀬戸僚馬先生

A 将来的には、医療・介護連携や質評価で活用されるでしょう。キーワードは「標準化」です。

●医療・介護連携はどのように進む?
●訪問看護においても質評価が進む?
●標準化の視点とは何か?

詳しく解説!

現在の訪問看護システムは、計画立案、記録作成や、レセプト作成支援が主な機能です。将来的には、医療・介護連携や、プロセスやアウトカムなど質評価に活用していくことが期待されています。いずれの活用においても、「標準化」の視点が重要です。

●医療・介護連携はどのように進む?

訪問看護ステーションは、ここ10年間で最も看護師数の伸び率が高い職場です。これからも居宅で医療を受ける人が増えることは確実であり、そこには医療依存度が相当高い人も含まれます。すると複数の事業者が連携してサービスを提供することになりますから、事業者間の連携は不可欠です。
例えば、訪問看護を利用して居宅で療養しつつ、時々、ショートステイを利用する利用者も増えると見込まれます。こうしたケースでは、訪問看護での様子を施設に伝える必要がありますし、その都度サマリーなどの書類を作成するのも煩雑です。よってICTを活用した効率的な伝達が主流になっていくでしょう。

●訪問看護においても質評価が進む?

急性期医療では、公的な事業に加え、各病院団体や職能団体が運営するデータベースも普及し、医療のプロセスやアウトカムの可視化がかなり進んできました。介護分野でも、介護サービス・状態などのデータを蓄積するデータベース(CHASE:Care, HeAlth Status & Events)などの整備が進んでいますし、長期ケア(LTC:Long-Term Care)領域における質評価の自主的な研究も進んでいます1)。こうした流れの中で、訪問看護の質評価が進むのは必然と言えるでしょう。

●標準化の視点とは何か?

このように医療・介護連携や質評価が進む中、訪問看護事業者が独自の言語や表現でデータを蓄積していくと、将来的に連携システムや質評価データ登録の場面で二重入力が発生することも考えられます。こうした手間を軽減するには、記録段階から標準化された言語・表現で入力しておくことが重要です。
2019年8月に開催された第23回日本看護管理学会学術集会では、一般社団法人保健医療福祉情報システム工業会の木戸須美子氏が、文法にあたる「看護データ交換規約(仮)」の検討を所属する病棟業務支援システム専門委員会で着手し、単語にあたる「看護実践用語標準マスター(2016年3月に厚生労働省標準規格)」2)と連携する提案をしました。また、厚生労働省老健局老人保健課看護係長の大竹尊典氏は、「未来投資戦略2018」を受けて「医療・介護連携に必要なデータ標準化の推進」を進めていく方向性であることを紹介しました。
関係学会などで、こうした行政や関係団体の動きをキャッチアップしておくことも、訪問看護システムの導入に有用です。

1)Long-term Care Quality研究会
https://plaza.umin.ac.jp/~ltcq/
2)一般財団法人医療情報システム開発センター
https://www.medis.or.jp/

 

*今回教えてくれたのは*
瀬戸 僚馬(せと りょうま) 東京医療保健大学 医療保健学部 医療情報学科、大学情報マネジメント室
2001年国際医療福祉大学保健学部卒業。津久井赤十字病院(現・相模原赤十字病院)にて臨床、杏林大学医学部付属病院にて情報システム担当の後、2009年に東京医療保健大学に赴任。現在、同大学医療保健学部医療情報学科准教授、大学情報マネジメント室室長補佐。博士(医療福祉経営学)。2012年に第13回日本医療情報学会看護学術大会長、2018年に日本医療マネジメント学会東京支部学術集会長を歴任。2016年から日本医療情報学会看護部会病棟デバイスワーキンググループ長、2017年から一般財団法人医療情報システム開発センターにて看護実践用語標準マスター普及推進作業班主査。

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