訪問看護システム編

◆連載◆ 教えて! ICT&ロボットのギモン <第21回> 
【訪問看護システム編(7)】 

Q 訪問看護ステーションにおいて、リハビリテーション職と協働する上でのICT活用のポイントを教えてください。

2020-11-24

訪問看護システム編


Q 訪問看護ステーションにおいて、リハビリテーション職と協働する上でのICT活用のポイントを教えてください。

回答者・東京医療保健大学医療情報学科 瀬戸僚馬先生

A VISITなど公的なデータベース事業を意識して、データを蓄積できる環境を整えていくことが重要です。

●リハビリテーション領域で進むデータベース化
●訪問看護にもデータベース登録が求められる時代へ
●ICT活用でリハ職のケアマネジメント支援を!

詳しく解説!

●リハビリテーション領域で進むデータベース化

訪問看護ステーションには、理学療法士や作業療法士などリハビリテーション職(リハ職)も働いています。これらのリハ職と協働する上でICTを活用するには、VISITなど公的なデータベース事業を意識して、データを蓄積できる環境を整えていくことが重要です。
2018年の介護報酬改定では、リハビリテーションマネジメント加算が大幅に増額されました。同改定の説明資料によれば、「医師の詳細な指示に基づくリハビリテーションの提供等を要件とし、より手厚く評価する」ことが趣旨とされています。さらに、同加算の基本的考え方やこれに則った様式の説明として、厚生労働省老健局老人保健課長通知「リハビリテーションマネジメント加算等に関する基本的な考え方並びにリハビリテーション計画書等の事務処理手順及び様式例の提示について(最終改訂2019.10.28)」1)が発出されています。
同加算の最も高い区分である(Ⅳ)では、「通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集等事業(monitoring and eValuation of the rehabIlitation ServIces in long-Term care:VISIT) 」 へのデータ提出が前提となっており、同事業に沿ったリハビリテーション計画書や生活行為向上リハビリテーション実施計画書(図1)などの作成が求められています。

図1 生活行為向上リハビリテーション実施計画書の様式例1)

図1 生活行為向上リハビリテーション実施計画書の様式例1)

 

●訪問看護にもデータベース登録が求められる時代へ

実は病院の電子カルテ普及率も、急性期医療で始まったDPC(Diagnosis Procedure Combination)をもとに診療報酬請求を行っている病院(DPC対象病院)の数とほぼ同期して増えた経緯があります。訪問看護ステーションの関連領域では、訪問看護よりも訪問リハビリテーションの方がデータベース事業の実装が進んでいることも事実です。よって、リハビリテーションマネジメント加算(Ⅳ)に求められている「計画」と「実績」のデータベース登録は、いずれ訪問看護でも起こる時代の流れと理解すべきです。
この流れを踏まえると、現在の体制にかかわらず、リハ職との協働においてVISITに沿った計画や実績を蓄積できることはICTシステムに不可欠ですし、将来的にVISITにデータ登録できる業務フローを意識していくことも重要です。

●ICT活用でリハ職のケアマネジメント支援を!

看護師から見れば、この業務フローは「看護過程のリハ職版」ととらえれば理解しやすくなります。従来リハ職が「看護過程」を担うという認識は、訪問看護ステーションの中でも、必ずしも一般的ではありませんでした。しかし、健康と生活を支えるケアの担い手であるリハ職が、看護過程と近似したケアマネジメント手法を用いることはきわめて自然です。VISITで定義されているあらゆる様式は、看護とリハビリで「方言」の違いはあるものの、基本的な考え方は看護過程とおおむね同じです。
さまざまな職種が異なる専門性を発揮することがケアの質の向上に資することは言うまでもありませんから、リハ職のケアマネジメントを支えることも、今後の訪問看護支援システムに欠かせない要素になっていくでしょう。

 

1)厚生労働省老健局老人保健課長通知「リハビリテーションマネジメント加算等に関する基本的な考え方並びにリハビリテーション計画書等の事務処理手順及び様式例の提示について(最終改訂2019.10.28)」
http://www.roken.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/10/vol.747.pdf

 

*今回教えてくれたのは*
瀬戸 僚馬(せと りょうま) 東京医療保健大学 医療保健学部 医療情報学科、大学情報マネジメント室
2001年国際医療福祉大学保健学部卒業。津久井赤十字病院(現・相模原赤十字病院)にて臨床、杏林大学医学部付属病院にて情報システム担当の後、2009年に東京医療保健大学に赴任。現在、同大学医療保健学部医療情報学科教授、大学情報マネジメント室室長補佐。博士(医療福祉経営学)。2012年に第13回日本医療情報学会看護学術大会長、2018年に日本医療マネジメント学会東京支部学術集会長を歴任。2016年から日本医療情報学会看護部会病棟デバイスワーキンググループ長、2017年から一般財団法人医療情報システム開発センターにて看護実践用語標準マスター普及推進作業班主査。

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