介護システム編

◆連載◆ 教えて! ICT&ロボットのギモン <第5回> 
【介護システム編(2)】  

Q 介護システムを使うと、どんなメリットがありますか?

2019-8-21


Q 介護システムを使うと、どんなメリットがありますか?

回答者・社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所

A 記録作業を省力化したり、情報共有がスムーズにできるようになります。

●「省力化」と「効率化」が2大メリット
●介護記録システムで介護保険請求が楽に!
●課題は費用と使いやすさ。施設に合った、使いやすいシステムを探していこう

詳しく解説!

●「省力化」と「効率化」が2大メリット

介護システムの活用による大きなメリットは、「省力化」と「効率化」です。
具体的な例として、今回は介護記録システムについてお話ししたいと思います。

介護記録を作成する目的は、利用者がどのような状態なのか、また、どのような介護を提供しているのかを記録して、介護計画の変更や、介護保険請求を行う際の基礎データにすることです。

しかし、利用者の状態を毎日、さまざまな項目で記録することは、それだけで介護現場にとって大きな負担となります。紙で記録する場合、介護記録作成を含めた介護現場での間接業務の比率は、介護業務全体の15%程度にもなるという調査結果もあります。これは、時間にして1日あたり3時間半以上を費やしていることになります。

一方、介護記録システムを導入した場合、入力補助機能を使って一括で入力したり、定型文を選択するだけで毎日の記録が作成でき、入力時間を短縮することができます。最近では、iPadなどのタブレット端末やスマートフォン端末で入力できるシステムが多く発売されています。どこからでも入力できるため、二重記録(手元でメモして、それを記録用紙に転記すること)をせず、さらに効率的に記録できるようになっています。そのほかにも、入力された情報がすぐに反映されるため、介護職員同士の情報共有を円滑に行えるようになる点もメリットだといえます。

●介護記録システムで介護保険請求が楽に!

次に、介護保険の請求業務について考えてみましょう。

介護保険請求と連動している介護記録システムには、介護記録システムに入力される項目を介護保険請求のフォーマットに自動的に変換して、請求を支援する機能がついています。介護記録システムを導入することで、集計作業や請求書の作成など、毎月多くの時間をかけて行っている作業の手間が大幅に削減されます。また同時に、数え間違いなどのヒューマンエラーを防ぐことができます。

●課題は費用と使いやすさ。施設に合った、使いやすいシステムを探していこう

このように、非常に有用な介護記録システムですが、課題もあります。

まず1つめの課題は費用です。多くの介護記録システムでは、導入に多額のコストが必要になると同時に、運用にもコストがかかる場合があります。大手メーカーのシステムでは、運用コストが5年間で1千万円以上の規模になることもあり、介護記録システムが普及しない原因の一つとなっています。

もう1つの課題は、現場での使いにくさです。システムの多くは、介護保険請求を前提につくられているため、介護記録の入力が難しかったり、そもそも入力したい項目が設定されていない場合もあります。そのため、現場では「使い慣れた紙での記録にしたい」といった要望につながってしまいます。しかし最近では、入力しやすく、また記録項目をカスタマイズできるシステムもありますので、施設に合ったシステムを見つけることが重要です。

タブレット端末を使った介護記録画面の一例。 直感的なインターフェースで状態が一目でわかる。業務フローに合わせた入力が可能な機器も。

タブレット端末を使った介護記録画面の一例。
直感的なインターフェースで状態が一目でわかる。業務フローに合わせた入力が可能な機器も。

 

*今回教えてくれたのは*
社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所
社会福祉法人善光会は、「オペレーションの模範となる」「業界の行く末を担う先導者となる」という理念を掲げ、東京都内で6か所の福祉施設を経営。特に、介護ロボットなどを活用した生産性向上に積極的に取り組み、2017年には社会福祉法人として初めてシンクタンク機能を持った総合研究所を設立し、サンタフェ総合研究所と名付けた。介護業界の人材不足や生産性向上に対する先進的な取り組みを内外へ向けて発信しており、高齢化社会に対する解決策を示す姿勢は、日本国内だけでなく国外からも多くの注目を集めている。

*「教えて! ICT&ロボットのギモン」とは?*
介護でのICTやロボットの活用について、「興味はあるけどよくわからない」というギモンから、「ぜひ使いたい! どうすればいいの?」というギモンまで、現場のみなさんが抱く“素朴なギモン”に、専門家がわかりやすく答えます。
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