介護システム編

◆連載◆ 教えて! ICT&ロボットのギモン <第11回> 
【介護システム編(4)】  

Q 最近、「科学的介護」という言葉をよく耳にしますが、どんなものですか?

2019-11-13


Q 最近、「科学的介護」という言葉をよく耳にしますが、どんなものですか?

回答者・社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所

A 介護記録などのデータを見て、より良い介護をめざすものです。

●サービスの効果が検証できていない!?
●データベース「CHASE」で介護データの活用をめざす
●CHASEはいずれ自分のためにもなる!?

詳しく解説!

●サービスの効果が検証できていない!?

最近、よく「科学的介護」という言葉を聞くことがあると思います。「科学」と「介護」と聞くと、すぐに結びつかないかもしれませんね。しかし、厚生労働省や全国老人福祉施設協議会(全国老施協)では、科学的介護を推進すべく、さまざまな取り組みがなされています。

まず、科学的介護とは何でしょうか?
厚生労働省の「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」では、「個々の利用者が、そのニーズに応じて、多様なサービスを比較しつつ、最適なサービス選択を行えるように支援するには、介護分野においても科学的手法に基づく研究を進め、エビデンスを蓄積し活用していくことが必要である」とされています(2019年7月16日。科学的裏付けに基づく介護に係る検討会 取りまとめ )。これまでは、本当に効果のあるサービスなのかどうかではなく、サービスを提供していることが重視されていました。しかし、本来はそれぞれの利用者の方に最適なサービスを提供することが重要です。

最適なサービスを提供するためには、サービスの効果を検証する必要があるのですが、今までは適切な検証を行うことができませんでした。なぜなら、効果の検証には情報が重要なのですが、今までの介護現場では、情報の質・量ともに不十分だったためです。

●データベース「CHASE」で介護データの活用をめざす

介護現場で記録されている情報は、各施設によってバラバラです。介護従事者のみなさんの中にも、ほかの施設に転職したら、今まで重要だと思っていた項目を記録しておらず、驚いた経験がある人もいるのではないでしょうか。さらに、情報が紙に記録されていたり、個人情報のためほかの事業者が利用することができないなど、データとして活用することが難しいのが現状です。

科学的介護とは、それらの課題を解決して、エビデンスの蓄積と活用につなげようというものです。
厚生労働省は、バラバラな介護記録とそれを活用できない現状を変えるために、「CHASE(Care, HeAlth Status & Events:チェース)」と呼ばれる介護の標準的なデータベースの構築を進めています。CHASEは、介護記録のうち、収集が必要な項目を決め、それを国のデータベースに登録すれば、情報が匿名処理され、エビデンスとして活用できるシステムです。厚生労働省では、2020年度の稼働をめざして、現在、各種要件を定めているところです。

●CHASEはいずれ自分のためにもなる!?

CHASEが本格的に稼働し、継続的にデータが集まるようになれば、どんなサービスを受けた人が、どのように状態が変化していくのかがわかるようになり、効果の高いサービスとそうではないサービスがわかるようになっていきます。
もちろん、国がCHASEを始めたら勝手にデータが集まってくるのではなく、介護現場でシステムを使って入力する必要があります。最初は、入力方法などが変わってとまどうこともあるかもしれませんが、将来自分が介護を受ける際に、より良いサービスが受けられるように、しっかり記録をしていきたいですね。

 

*今回教えてくれたのは*
社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所
社会福祉法人善光会は、「オペレーションの模範となる」「業界の行く末を担う先導者となる」という理念を掲げ、東京都内で6か所の福祉施設を経営。特に、介護ロボットなどを活用した生産性向上に積極的に取り組み、2017年には社会福祉法人として初めてシンクタンク機能を持った総合研究所を設立し、サンタフェ総合研究所と名付けた。介護業界の人材不足や生産性向上に対する先進的な取り組みを内外へ向けて発信しており、高齢化社会に対する解決策を示す姿勢は、日本国内だけでなく国外からも多くの注目を集めている。

*「教えて! ICT&ロボットのギモン」とは?*
介護でのICTやロボットの活用について、「興味はあるけどよくわからない」というギモンから、「ぜひ使いたい! どうすればいいの?」というギモンまで、現場のみなさんが抱く“素朴なギモン”に、専門家がわかりやすく答えます。
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