介護システム編

◆連載◆ 教えて! ICT&ロボットのギモン <第14回> 
【介護システム編(5)】  

Q 介護の生産性向上について教えてください。

2020-2-12


Q 介護の生産性向上について教えてください。

回答者・社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所

A 介護の生産性向上とは、介護の効率性を上げることですが、同時に、介護の質を維持向上することが重要です。また、介護システムが活用できる場合もあります。

人手不足の介護業界。生産性向上が必須!?
●生産性向上に介護システムが活用できることも
●介護サービスの「質」を忘れてはいけない!?

詳しく解説!

●人手不足の介護業界。生産性向上が必須!?

生産性とは、本来「要介護者人数×質=成果」/「労働力やインフラ=投下資本」によって表すことができます。現在では、少子化を背景とした全業種での人材不足が社会問題となっており、特に介護現場の人手不足は深刻な状況になっています。そのため、介護の生産性向上が盛んに言われるようになってきています。

生産性の考え方について、簡単な式で表してみました。

【例】
  要介護者人数  ×  質  / 労働力 = 生産性
   10人    × 100 / 10人   = 100pt
    8人     × 100 /  8人    = 100pt

ここからわかることは、労働力が8人に下がると、同じ生産性(100pt)の場合、要介護者人数は8人に減ってしまうということです。

しかし、生産性を125ptに向上させることで、少ない労働力でも同じ要介護者人数(10人)にサービスを提供することが可能になります。
   10人   × 100 / 8人  = 125pt

これからますます高齢者の方が増える一方、労働力である生産人口が減ると見込まれる中で、なぜ生産性の向上が必要なのかわかっていただけたかと思います。

●生産性向上に介護システムが活用できることも

厚生労働省は、2019(平成31)年3月に、業務改善を目的とした「介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン」を作成しています(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198094_00013.html よりダウンロード可能)。

施設サービス、居宅サービス、医療系サービスに向けた3つのガイドラインがあり、施設、居宅サービスのガイドラインでは、(1)業務の見える化、(2)業務の必要性の整理、(3)業務全体の流れの見直し、(4)手順と役割の整理という流れで、介護サービスの質の維持・向上や介護現場の職場環境の改善のための方法が、事例を交えてわかりやすく解説されています。

ガイドラインにも書かれていますが、業務の見える化や全体業務の見直しでは、定量的な数値を用いて見直すことも重要です。現場の感覚だけではなく、データから見ることで、これまでとは違った気付きを得ることができるためです。最近の介護システムでは、業務改善のためのデータとして活用できるように、日常の介護記録と介護ロボットデータを重ね合わせて観察できるものが登場してきています()。

例えば、利用者さんの夜間の睡眠があまりとれていない日は、ぐっすり眠れていた日と比べて朝食の摂取に時間がかかったり、摂取量が少ないということが発生しているかもしれません。その場合、夜間しっかり寝てもらうことにより、業務時間が短縮され、利用者さんにとっても良い状態になることが期待できます。

●介護サービスの「質」を忘れてはいけない!?

生産性を考える上で忘れてはいけない重要な観点として、介護サービスの「質」が挙げられます。効率性を重視するあまり、提供する介護サービスの質が落ちてしまうことは避けなければなりません。同じ10人に介護サービスが提供できたとしても、サービスの質が下がってしまうのでは、結局生産性の向上にはならないからです。

   10人    × 100 / 10人   = 100pt
   10人    ×  80  / 10人   = 80pt

人手不足でなかなか職員が集まらない中、皆さんの職場でも、介護システムなども活用しながら、生産性向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。

図 記録とデータ連携のイメージ図。青い背景は睡眠、黄色が覚醒、赤背景が申送りなどを表す。

図 記録とデータ連携のイメージ図。青い背景は睡眠、黄色が覚醒、赤背景が申送りなどを表す。

 

*今回教えてくれたのは*
社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所
社会福祉法人善光会は、「オペレーションの模範となる」「業界の行く末を担う先導者となる」という理念を掲げ、東京都内で6か所の福祉施設を経営。特に、介護ロボットなどを活用した生産性向上に積極的に取り組み、2017年には社会福祉法人として初めてシンクタンク機能を持った総合研究所を設立し、サンタフェ総合研究所と名付けた。介護業界の人材不足や生産性向上に対する先進的な取り組みを内外へ向けて発信しており、高齢化社会に対する解決策を示す姿勢は、日本国内だけでなく国外からも多くの注目を集めている。

*「教えて! ICT&ロボットのギモン」とは?*
介護でのICTやロボットの活用について、「興味はあるけどよくわからない」というギモンから、「ぜひ使いたい! どうすればいいの?」というギモンまで、現場のみなさんが抱く“素朴なギモン”に、専門家がわかりやすく答えます。
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