介護システム編

◆連載◆ 教えて! ICT&ロボットのギモン <第17回> 
【介護システム編(6)】  

Q 「介護記録の活用」と言われますが、何からやればよいのかわかりません。

2020-6-17


Q 「介護記録の活用」と言われますが、何からやればよいのかわかりません。

回答者・社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所

A まずは介護記録の活用方法を明確にして、記録のルールを作成しましょう。

●記録を見返すだけでも大変!?
●活用の目的を明確にして、記録のルールを設定しよう!
●介護システムの選定時には、「データの活用」という視点も忘れずに!

詳しく解説!

●記録を見返すだけでも大変!?

最近、「介護記録を分析して、提供する介護サービスを見直す」ということが言われるようになってきました。ケアの品質を上げるために介護記録を活用することは、介護現場にとって非常に重要なことです。

しかし、いざ介護記録を見返してみると、同じ内容であっても記録者によって書き方が違っていたり、書いてある項目が違っているため、簡単に活用することができないケースも多くあります。また、介護記録は被介護者の人数分が毎日増えていくので、見返すだけでも大変な労力が必要です。これまで活用されてこなかった介護記録を活用するとなると、分析までの準備だけでも非常に大変なのです。

●活用の目的を明確にして、記録のルールを設定しよう!

そのような場合は、記録にあたってのルールを定めて、そのルールの中で分析するようにすれば、容易に活用できるようになります。

介護記録を活用すると言っても、何が目的なのかによって、把握すべき項目は異なります。例えば、「事故の防止」が目的なのであれば、「事故やヒヤリハットに関する原因や対応」を見る必要があります。これまで、日報などの中に「事故」の項目を作っていた介護施設の場合、事故があった日の日報だけを集めないと振り返りができません。しかし、「事故やヒヤリハットに関する原因や対応を、事故報告書やヒヤリハット報告書として、日報とは別の様式に記載する。別様式は1冊のファイルにまとめて、日報には事故報告書やヒヤリハット報告書の番号のみを記載する」というルールを設定すれば、事故の防止を検討する際には、まとめられたファイルを出してきて、その内容を検討すればよいということになります。

今回は事故を例に挙げましたが、ほかの項目についても、このような考え方で振り返るための目的を明確化し、その目的が達成できるようなルールを作ることによって、簡単に介護記録の活用ができるようになります。初めて介護記録を活用する場合には、まずは1つのルールに基づいて活用していくことが良いのではないでしょうか。

●介護システムの選定時には、「データの活用」という視点も忘れずに!

介護記録の活用方法としては、ほかにも

・食事量と睡眠時間の関係
・睡眠開始時間と徘徊頻度の関係
・ナースコールの時間帯別の回数と夜勤職員の関係

の検討などが考えられます。
これらの関係について仮説を立て、一定期間の介護記録を振り返ることで仮説を検証するというサイクルができるようになると、介護の質をさらに高めることができると思います。

しかし、複数の要素を同時に比べるような活用では、ルールが複雑化しすぎてしまうので、介護記録システムで入力されたデータがあった方がよいでしょう。すべての介護システムがデータ分析に対応しているわけではないので、介護記録システムを選ぶ際には、データの活用という視点も忘れないようにしたいですね。

 

*今回教えてくれたのは*
社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所
社会福祉法人善光会は、「オペレーションの模範となる」「業界の行く末を担う先導者となる」という理念を掲げ、東京都内で6か所の福祉施設を経営。特に、介護ロボットなどを活用した生産性向上に積極的に取り組み、2017年には社会福祉法人として初めてシンクタンク機能を持った総合研究所を設立し、サンタフェ総合研究所と名付けた。介護業界の人材不足や生産性向上に対する先進的な取り組みを内外へ向けて発信しており、高齢化社会に対する解決策を示す姿勢は、日本国内だけでなく国外からも多くの注目を集めている。

*「教えて! ICT&ロボットのギモン」とは?*
介護でのICTやロボットの活用について、「興味はあるけどよくわからない」というギモンから、「ぜひ使いたい! どうすればいいの?」というギモンまで、現場のみなさんが抱く“素朴なギモン”に、専門家がわかりやすく答えます。
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