介護システム編

◆連載◆ 教えて! ICT&ロボットのギモン <第20回> 
【介護システム編(7)】  

Q 介護のアウトカム評価とは何ですか?

2020-10-14


Q 介護のアウトカム評価とは何ですか?

回答者・社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所

A ケアの実践によって、どのような効果が得られたのかを基にした評価方法です。

●介護保険制度に「アウトカム評価」を導入へ
●アウトカム評価はサービスの「効果」を評価するもの
●サービス評価のため、今後は情報を収集・分析できる介護システムの需要が高まる可能性も

詳しく解説!

●介護保険制度に「アウトカム評価」を導入へ

近年、「科学的介護」や「アウトカム評価」という言葉が、介護福祉に関する政府の取り組みとして語られるようになってきています。「アウトカム」という言葉は、「成果・結果」という意味です。「介護アウトカム」とは、ケアの実施によって被介護者の状態にどのような影響があったのかを指します(もちろん、変化がなかったという結果もあり得ます)。

2018年度の介護報酬改定によってアウトカム評価が重要視され、介護予防訪問リハビリテーションや通所介護にも導入されることになりました。しかし、そもそもアウトカム評価とはどのようなものなのでしょうか? それを知るには、これまでの介護保険制度についての理解が必要です。

●アウトカム評価はサービスの「効果」を評価するもの

これまでの介護保険制度では、「ストラクチャ(構造)」と「プロセス(過程)」のみによって評価がされていました。実際はもう少し複雑ですが、簡単に言い換えると、「介護職員のうち介護福祉士が何割いて」「どのような人員配置をしている施設に」「どのような要介護度の被介護者がいて」「どの程度、機能訓練を実施したのか」などにより、その介護施設へ支払われる介護報酬の額が決められていました。

つまり、介護は、介護保険制度によって「サービス」に位置付けられながら、それを受ける被介護者の日常生活動作(Activities of Daily Living:ADL)や活力が、ケアによってどのように変化したのかといったサービスの「効果」とその評価が無関係であったのです。このことによる問題点は、介護施設にとって、良いサービスを提供することのモチベーションが少なく、サービス品質を高くしようとする努力がされなくなってしまう可能性があることです。そうした事態をなくすため、良い結果を出したことを評価するアウトカム評価が、介護保険制度に加えられました。

●サービス評価のため、今後は情報を収集・分析できる介護システムの需要が高まる可能性も

ただし、ケアの結果に対する考え方は、社会的・文化的価値観や個人の人生観の相違によって異なることが多くあり、「良いケア」を定義することは非常に難しい課題です。また、高品質なサービスを提供する施設が評価されること以外に、社会的コンセンサスが取れることや、低価格で客観的な評価指標を定めることなどが必要です。

現在、さまざまなセンシング機器の技術進歩によって、被介護者の正確なデータが取得できるようになっています。それらを介護システムによって収集・分析することで得られた客観的データを基にした介護サービスの提供、そしてサービス品質の評価を行うことができるようになります。そうした状況下において、これまで請求関連の介護システムは多く導入されてきましたが、今後は、日々の記録やセンサ情報を収集・分析できる介護システムの需要が高まっていくと考えられています。次回は、科学的介護を可能にする介護システムであるデータプラットフォームの重要性についてお話しします。

 

*今回教えてくれたのは*
社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所
社会福祉法人善光会は、「オペレーションの模範となる」「業界の行く末を担う先導者となる」という理念を掲げ、東京都内で6か所の福祉施設を経営。特に、介護ロボットなどを活用した生産性向上に積極的に取り組み、2017年には社会福祉法人として初めてシンクタンク機能を持った総合研究所を設立し、サンタフェ総合研究所と名付けた。介護業界の人材不足や生産性向上に対する先進的な取り組みを内外へ向けて発信しており、高齢化社会に対する解決策を示す姿勢は、日本国内だけでなく国外からも多くの注目を集めている。

*「教えて! ICT&ロボットのギモン」とは?*
介護でのICTやロボットの活用について、「興味はあるけどよくわからない」というギモンから、「ぜひ使いたい! どうすればいいの?」というギモンまで、現場のみなさんが抱く“素朴なギモン”に、専門家がわかりやすく答えます。
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