介護システム編

◆連載◆ 教えて! ICT&ロボットのギモン <第23回> 
【介護システム編(8)】  

Q なぜ、介護データプラットフォームが必要なのでしょうか?

2021-1-13

介護システム編


Q なぜ、介護データプラットフォームが必要なのでしょうか?

回答者・社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所

A 蓄積された情報から、サービスを受ける方にとって最適なケアをすぐに導き出せる可能性があるからです。

●介護情報をデータベース化した「介護保険データベース」と「VISIT」
●新たなデータベース「CHASE」で最適なケアが可能に!?
●データの記録や活用で,介護における生産性の向上も図れる!?

詳しく解説!

●介護情報をデータベース化した「介護保険データベース」と「VISIT」

本シリーズの第11回 介護システム編(4)でも少し触れていますが、厚生労働省は2020年5月から「CHASE(Care, HeAlth Status & Events:チェース)」というデータベースの利用申し込みを受け付け、本格的に始動させています。
とはいっても、介護業界でこれまでにデータベース化されている情報がないわけではありません。それは、「介護保険データベース」と「VISIT(monitoring & eValuation for rehabIlitation ServIces for long-Term care:ビジット)」です。

「介護保険データベース」は、要介護認定情報や介護保険レセプト情報などが格納されており、全保険者の情報提供が義務化されています。一方、「VISIT」は、通所リハビリテーション事業所や訪問リハビリテーション事業所からリハビリテーション計画書などの情報を収集するもので、現時点では情報提供は任意です。ただし、VISITを用いてデータを提出している事業所には「リハビリテーションマネジメント加算」が設けられています。

●新たなデータベース「CHASE」で最適なケアが可能に!?

これらがありながら新たにCHASEを始動させたのは、収集する情報の種類が異なるためです。CHASEでは、既述の2つのデータベースで収集できない、利用者の状態や変化、提供する介護サービスの内容など、フィードバック内容が日々のケアに生かされる情報を収集します。

これまで介護の現場では、ベテラン職員が「今までの経験から、このケアが効果的だ」と新人職員にアドバイスした時、別の職員が「先日参加した研修会では、このような対応が有効だと聞いた」と声をかけたり、新人職員が「専門学校ではこうすると習ったのに」と疑問を持ったりすることがしばしばありました。

そうした場合、これまでに実践されてきたケア情報から、同じような状況下でうまくいった事例がデータベースから参照できれば、その時々で必要な対応をすぐに決定することができるようになります。

●データの記録や活用で,介護における生産性の向上も図れる!?

医療の分野では、「エビデンス(根拠)に基づいた医療」がすでに実践されています。これまでに蓄積されたさまざまな臨床結果や情報を基に、最新かつ最良な根拠を用いて、それぞれの患者に合った医療を提供しているのです。

今後、よりいっそう人材不足や介護保険の財源困窮が進む超高齢社会の日本においては、データに基づいた介護サービスを提供できるようになることが、介護における生産性の向上にも結び付いてきます。現時点では、CHASEはまだフィードバックを行う以前の情報収集を行っている段階です。しかし、2021年度の介護報酬改定によって、VISIT同様、CHASEへの情報提供を行った事業所に対して加算を設ける内容が含まれる可能性が高く、全国の事業所からの多くの情報提供があれば、近い将来、その情報を自分たちの事業所で活用することができます。

しかしながら、「CHASEに情報提供することが、かえって現場の業務を増やしてしまうのではないか」という不安は当初から聞かれています。厚生労働省としても、入力項目数を減らすなどして負担軽減を図っていますが、国の方針として科学的介護の推進が掲げられていることから、日々の介護サービスをデータで記録していくことの重要性がいっそう高まっています。皆さんの施設でも、これを機に介護記録のデータ化を検討されてみてはいかがでしょうか。

 

*今回教えてくれたのは*
社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所
社会福祉法人善光会は、「オペレーションの模範となる」「業界の行く末を担う先導者となる」という理念を掲げ、東京都内で6か所の福祉施設を経営。特に、介護ロボットなどを活用した生産性向上に積極的に取り組み、2017年には社会福祉法人として初めてシンクタンク機能を持った総合研究所を設立し、サンタフェ総合研究所と名付けた。介護業界の人材不足や生産性向上に対する先進的な取り組みを内外へ向けて発信しており、高齢化社会に対する解決策を示す姿勢は、日本国内だけでなく国外からも多くの注目を集めている。

*「教えて! ICT&ロボットのギモン」とは?*
介護でのICTやロボットの活用について、「興味はあるけどよくわからない」というギモンから、「ぜひ使いたい! どうすればいいの?」というギモンまで、現場のみなさんが抱く“素朴なギモン”に、専門家がわかりやすく答えます。
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