介護ロボット編

◆連載◆ 教えて! ICT&ロボットのギモン <第10回> 
【介護ロボット編(4)】  

Q 介護ロボットを導入したことによる成功事例を教えてください。

2019-10-30


Q 介護ロボットを導入したことによる成功事例を教えてください。

回答者・社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所

A 介護ロボットを起点に、ケアの質を向上させることができました。

●万能な介護ロボットは存在しない!?
●現場の職員の自発性が鍵に
●定量評価でやる気もアップ!?

詳しく解説!

●万能な介護ロボットは存在しない!?

介護ロボットの導入に際して、「どの介護ロボットが一番良いですか?」と聞かれることがよくあります。しかし、これまでの連載でもお伝えしているとおり、介護ロボットは、現場で発生している課題の解決を支援してくれるものです。そのため、どの施設にも当てはまるような万能な介護ロボットはありません。

逆に言えば、課題を明確にすることで、成功に近づくことができます。ある有料老人ホームでは、現場職員のみで「現場業務改善委員会」を運営しています。そこでは、現場の課題の洗い出しや対策の検討、実行、評価を行っています。法人側は、予算枠と方向性を設定し、対策の評価に対して定量的なチェックを行いますが、基本的には委員会の方針を尊重する立場をとっています。委員会を立ち上げてから、職員の離職率は平均で3%程度、利用率も90%後半を維持しています。

●現場の職員の自発性が鍵に

この事例のポイントは、大きく分けて2つあると思います。
1つ目は、現場の職員が自ら考えて実行している点です。現場職員が課題に感じている点について解決するわけですから、「介護ロボットを購入したけど使えなかった」ということが圧倒的に少なくなります。もちろん、思っていたような効果が出なかったり、使いにくいという理由ですぐに効果が出ないこともあるそうですが、現場が中心となって動いているので、「何とか使いこなせるようにしよう」という雰囲気が醸成されやすいのです。

●定量評価でやる気もアップ!?

2つ目は、管理者である法人側の姿勢です。委員会で検討した内容であっても、なかなか実行に移さないことはよくある話です。「検討が足りない」「予算がない」ことなどを理由に先伸ばしにすることは、管理者側からするとごく当然のことのように思えます。しかし、現場の職員にとっては、具体的にどのようにしたらよいか、わからなくなってしまいます。

そこで、定量的な評価指標を提示し、その指標に基づいて判断を行うことで、現場職員にとって,何をすれば良く、何が駄目なのかが明確になり、自発的に動くことができるようになります。また、指標に介護品質の向上も含めることで、現場職員がやりがいを持ちやすくなります。例えば、「品質向上の度合い(5~1)×該当対象者数×○○円」など、コストパフォーマンスを設定し、投資効果を見える化することで、管理者と現場職員のいずれもが、納得感を持って事業を進めることができます。現場からの意見と、管理者としての意見をしっかり融合させたときが、本当の成功事例と言えるのではないでしょうか。

 

*今回教えてくれたのは*
社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所
社会福祉法人善光会は、「オペレーションの模範となる」「業界の行く末を担う先導者となる」という理念を掲げ、東京都内で6か所の福祉施設を経営。特に、介護ロボットなどを活用した生産性向上に積極的に取り組み、2017年には社会福祉法人として初めてシンクタンク機能を持った総合研究所を設立し、サンタフェ総合研究所と名付けた。介護業界の人材不足や生産性向上に対する先進的な取り組みを内外へ向けて発信しており、高齢化社会に対する解決策を示す姿勢は、日本国内だけでなく国外からも多くの注目を集めている。

*「教えて! ICT&ロボットのギモン」とは?*
介護でのICTやロボットの活用について、「興味はあるけどよくわからない」というギモンから、「ぜひ使いたい! どうすればいいの?」というギモンまで、現場のみなさんが抱く“素朴なギモン”に、専門家がわかりやすく答えます。
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