介護ロボット編

◆連載◆ 教えて! ICT&ロボットのギモン <第19回> 
【介護ロボット編(7)】  

Q 介護ロボットをうまく活用していくためのコツを教えてください。

2020-9-16


Q 介護ロボットをうまく活用していくためのコツを教えてください。

回答者・社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所

A 導入前に、自分たちの施設の課題や状態をしっかり理解することが大切です。

事前に十分検討しなければ、介護ロボットが役に立たない場合も
●まずは介護ロボットと自分の施設の課題をよく知ることから

詳しく解説!

●事前に十分検討しなければ、介護ロボットが役に立たない場合も

以前の記事〔シリーズ第7回、介護ロボット編(3)〕で、「介護ロボットは単なるツールである」というお話をしました。現在販売されている介護ロボットは、基本的に何か1つの業務や動作を手助けするようなロボットがほとんどであるため、使いどころの判断が一番重要なポイントです。

具体的な事例を用いて考えてみましょう。施設において、移乗介助で毎回応援を呼ばなければならないために、介護職員の負担が大きくなっているという課題が発見されたとします。

そうした時に有効な介護ロボットの一つとして、例えば、(株)FUJIが開発した移乗サポートロボット「Hug」(https://www.fuji.co.jp/about/hug/)があります。これは、人間の立ち上がりを再現する動きを機械が行うことで、通常2人で行う移乗支援を1人で実施可能にします。これにより、移乗介助のためにわざわざ別ユニットや別フロアから応援を呼ばなくても、1人で介助を実施することができるため、介護職員の業務負担軽減に役立てられます。

しかし一方で、この機器の使用の際には、被介護者がある程度自力で自身の体勢を保持しなければならず、その力のない方や拘縮のある方には使用することができないという特徴もあります。

つまり、その施設で移乗介助を必要とする方が多くいたとしても、その方々の何割程度の方にこの介護ロボットが適応するのかという事前の検討をしていなければ、介護ロボットを購入してみたものの、被介護者にまったく使用することができずに、倉庫にしまわれてしまうということになりかねません。

●まずは介護ロボットと自分の施設の課題をよく知ることから

大変有名な言葉なので、ご存じの方も多いかもしれませんが、中国の兵法書「孫子」の謀攻編に「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」という言葉があります。「孫子」というのは、紀元前500年ごろの中国・春秋時代に活躍したとされる軍事思想家「孫武(そんぶ)」が書いた軍事戦略の本で、この言葉は「向かう相手の実情と自分の実力を正しく知ることで、負けない戦い方ができる」という意味です。つまり、「戦うための準備を周到にせよ」という戦いの心構えを説いています。これは、介護ロボット導入という、その施設にとっての新しいチャレンジにおいても通じる考えではないかと思います。そのチャレンジを成功させるためには、まず介護ロボットのことをよく知り、そして自分の施設の課題や状況をよく知ることからスタートすることがとても大切であるということです。

導入前にしっかりと準備を行うことで、適材適所の介護ロボットを選ぶことができ、そしてその性能を最大限に引き出す業務オペレーションを生み出すことが可能になります。次回は、自分の施設について把握する、着目ポイントについてのギモンを解説します。

 

*今回教えてくれたのは*
社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所
社会福祉法人善光会は、「オペレーションの模範となる」「業界の行く末を担う先導者となる」という理念を掲げ、東京都内で6か所の福祉施設を経営。特に、介護ロボットなどを活用した生産性向上に積極的に取り組み、2017年には社会福祉法人として初めてシンクタンク機能を持った総合研究所を設立し、サンタフェ総合研究所と名付けた。介護業界の人材不足や生産性向上に対する先進的な取り組みを内外へ向けて発信しており、高齢化社会に対する解決策を示す姿勢は、日本国内だけでなく国外からも多くの注目を集めている。

*「教えて! ICT&ロボットのギモン」とは?*
介護でのICTやロボットの活用について、「興味はあるけどよくわからない」というギモンから、「ぜひ使いたい! どうすればいいの?」というギモンまで、現場のみなさんが抱く“素朴なギモン”に、専門家がわかりやすく答えます。
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