介護ロボット編

◆連載◆ 教えて! ICT&ロボットのギモン <第25回> 
【介護ロボット編(9)】  

Q 介護ロボットの導入を決めましたが、うまく使いこなすコツはありますか?

2021-3-22

介護ロボット編


Q 介護ロボットの導入を決めましたが、うまく使いこなすコツはありますか?

回答者・社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所

A まずは、小さな単位から導入して、慣らしながら運用してみましょう。

●高性能な介護ロボットも、オペレーションに組み込むには時間がかかる
●小規模から、さまざまな機器を試してみよう!?
●展示会や厚生労働省の窓口で探すこともできる!?

詳しく解説!

●高性能な介護ロボットも、オペレーションに組み込むには時間がかかる

施設やオペレーションの課題抽出ができ、それを解決してくれそうな介護ロボットやテクノロジーをうまく見つけていく段階になったら、本当に使い勝手が良く、自分たちの課題を解決してくれる機器はどれなのかを、慎重に選ぶ必要があります。ましてや、施設全体に一気に導入することは、絶対にお勧めできません。

どんなに高性能であったり、現場職員がわかりやすいように開発された機器でも、しっかりとオペレーションに落とし込んでいくには、ある程度の時間を必要とします。また、オペレーションに介護ロボットが組み込まれるということは、それと今後も長く業務で付き合っていくということです。一定以上の期間使ってみて,使いやすさや、使いにくい点なども考慮しなければなりません。

●小規模から、さまざまな機器を試してみよう!?

そのような場合に、善光会の特別養護老人ホームでは、一番小さくて1ユニット単位、大きくても4ユニット(1フロア)単位などで試験運用の期間をしっかりとり、機器をだんだんと現場になじませて、最終的に施設全体に導入しています。

具体的な事例としては、善光会では、職員間のコミュニケーションに骨伝導式インカムを使用しています。ここにたどり着くまでに、片耳に装着するインカムや、同じく骨伝導式インカムでも複数社の製品を試し、全部で10種類前後の製品を比較しました。その結果、片耳に装着するインカムは業務中に外れやすかったり、片方でも耳を完全にふさいでしまうことで、小さな物音が聞けなくなってしまい、不便を感じるという職員の声がありました。また、同じ骨伝導式インカムでも、いちいちスマートフォンを出さないと音量調節などができなかったり、長時間つけていると耳が痛くなる、入浴介助時に浴室の水滴ですぐに壊れてしまう、などということがありました。机上で課題解決ができそうだと思って選んでみた機器が、実際に使ってみると、別の問題でうまくオペレーションに落とし込めないということは多々起こります。

●展示会や厚生労働省の窓口で探すこともできる!?

現在は、新型コロナウイルス感染症の影響で中止やオンライン開催などになっていることも多いですが、展示会を訪れたり、実機を触ってみることは大変重要です。厚生労働省が推進する「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム」(https://www.kaigo-pf.com )では、介護施設のニーズに合う介護ロボットの選定に関して相談に乗ってくれる相談窓口が設定されており、相談窓口では介護ロボットを実際に見ることも可能です。

「机上で課題を解決できそうな機器を考えてみる」ことと、「実際に課題解決できる機器なのか、使用感を確かめてみる」ことの両方を、まずは小さな単位から始めてみることによって、介護ロボットの導入しやすさはぐんと変わります。善光会の施設では、一部のユニットやフロアでバリバリ介護ロボットを使いこなしていると、ほかのフロアの職員も「使ってみたい!」という前向きな気持ちになり、積極的に取り組めるようになった事例もあります。
まずは、小さなところから成功体験を積み重ねていくことで、介護ロボットとの距離を縮めていってみてください!

 

*今回教えてくれたのは*
社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所
社会福祉法人善光会は、「オペレーションの模範となる」「業界の行く末を担う先導者となる」という理念を掲げ、東京都内で6か所の福祉施設を経営。特に、介護ロボットなどを活用した生産性向上に積極的に取り組み、2017年には社会福祉法人として初めてシンクタンク機能を持った総合研究所を設立し、サンタフェ総合研究所と名付けた。介護業界の人材不足や生産性向上に対する先進的な取り組みを内外へ向けて発信しており、高齢化社会に対する解決策を示す姿勢は、日本国内だけでなく国外からも多くの注目を集めている。

*「教えて! ICT&ロボットのギモン」とは?*
介護でのICTやロボットの活用について、「興味はあるけどよくわからない」というギモンから、「ぜひ使いたい! どうすればいいの?」というギモンまで、現場のみなさんが抱く“素朴なギモン”に、専門家がわかりやすく答えます。
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