一般財団法人住友病院 × MRIプロテクター(メディカル・エイド)
MRIプロテクターの使用経験

2019-11-1


図1 MRpの構成

図1 MRpの構成
a:表生地ナイロン b:銀メッシュ
c:裏生地ナイロン

はじめに

昨今,非磁性金属を主成分とした治療用金属デバイスや,金属粉を含む可能性がある美容関連製品などが多く使用されている。これらのMRI室内への持ち込みをすべて取り除くことは現実的に不可能であり,電磁波による導電性金属の発熱リスクについて,細心の注意と説明が不可欠である。MRIで使用される電磁波は,医療目的以外では認められていない強度を持つ非電離放射線であるため,不要な被ばくを避けるべきである。当院も過去に熱感の訴えや軽度の熱傷を経験し,リスクの除外と安全確保について検討と研究を繰り返してきた。

特 徴(図1)

メディカル・エイド社製「MRIプロテクター(MRp)」は,X線検査で使用される放射線防護衣と同様に,一般医療機器(クラスⅠ)に分類される世界初の製品である。電磁波遮蔽材は,防錆コーティングされた銀繊維をハニカム状に編み込んだ銀メッシュ素材で,遮蔽効率は1MHz〜1GHzの周波数帯域で35dB(98%)以上である。これを絶縁性ナイロン生地で挟んだ3層構造となっており,表地は防水透湿性で,裏地は抗菌消臭加工されたハイテク製品である。汚れた場合,除菌クロスで簡単に清拭することができるため衛生的である。

使用状況(図2)

当院では指輪,ステント,グラフト,クリップ,ワイヤ,整形金具,人工関節,心臓デバイスの有無などの患者状態に合わせ,フィットコート,ベスト,パンツ,ロールシート,ネックガード,ミトンの6種類を組み合わせて使用している。例えば,胸骨ワイヤや機械弁,ステント,背中に刺青がある患者の頭部検査をする場合,フィットコートやベストを用いる。また,ネイルアートや外れない指輪などがある場合はミトンを用い,それ以外に股関節や膝関節などに人工関節がある場合,パンツやロールシートを併用する。
2017年9月〜2019年6月の使用頻度は,総件数(1万1702件)のうち,3T装置は9.2%,1.5T装置は4.3%であった。

図2 頭部MRI検査でフィットコートを使用

図2 頭部MRI検査でフィットコートを使用

 

まとめ(図3)

電磁波は広範囲に照射され反射,透過,回析を繰り返し最終的に人体に吸収される特性を理解し,MRpと身体に隙間ができないよう密着させなければならない。対象部の厚さにも影響されるが,例えば関節インプラントの末端にジュール熱が発生しやすいため,10cm程度広く覆う方がよい。MRpを撮像範囲に近づけすぎると画像生成に必要なプロトン数が減少するため,SARが上昇しやすく,SNR低下を起こす可能性があることから注意が必要であった。
MRpは,患者の不要な被ばくや性腺防護に役立ち,導電性金属のジュール熱の発生を予防し,ガントリ,コイル,ケーブルとの接触や身体で形成される高周波ループの発生予防にも有用であった。

図3 “TimCT”(シーメンス社製)撮像例 a:MRpなし(全身正面像) b:ベスト使用(全身正面像) c:ベスト使用(全身側面像)

図3 “TimCT”(シーメンス社製)撮像例
a:MRpなし(全身正面像)
b:ベスト使用(全身正面像)
c:ベスト使用(全身側面像)

 

谷口 正成(一般財団法人住友病院 診療技術部放射線技術科)

 

〒530-0005 大阪市北区中之島5-3-20
TEL 06-6443-1261
http://www.sumitomo-hp.or.jp
病床数:499床

 

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