ITEM2022 バルコ ブースレポート 
高精度な画像観察をサポートする最新の医用画像ディスプレイやFDA認証を取得した初のデジタルパソロジー向けディスプレイをアピール


2022-5-6


バルコブース

バルコブース

1934年にベルギーで創業以来,ディスプレイやプロジェクション技術などを核としてグローバルに展開するバルコは,最新の医用画像表示ディスプレイや映像配信・画像統合ソリューションなどを展示した。PACSやマンモグラフィ向けディスプレイでは,2021年1月に発売されたマルチモダリティ対応の高輝度カラーディスプレイなどを中心に展示した。同社の最新ラインアップには,読影観察を効率化するさまざまなソリューションが搭載され,ハードとソフトの両面から快適な読影環境をサポートする。また,同社初のデジタルパソロジー(病理診断)向け製品も初登場し,同社の技術力がアピールされた。さらに,非圧縮低遅延4K外科画像伝送ソリューション“Nexxis”を中心とした映像配信・画像統合ソリューションでは,手術室内の画像をリアルタイムで外部と共有可能なライブシステム“NexxisLive”が新たに加わり,施設内外での配信が可能となった。

●独自の読影サポート機能を多く搭載する医用画像表示ディスプレイ

バルコが力を入れているマンモグラフィ向けディスプレイ領域では,カラーデジタルマンモグラフィディスプレイ「Nio Color 5.8MP」や高輝度カラーディスプレイ「Nio Fusion 12MP」などが展示された。
乳腺の画像診断では,超音波画像やMRI,病理などのカラー画像表示のニーズが高まっている。Nio Color 5.8MPは,独自のリニアカラー表示技術“Steady Color”を搭載,ディスプレイ個々の色域から階調1ステップごとの知覚的な色差が均等になるように調整し,モノクロ階調はDICOMで表示することで,従来では識別が困難であった微細な色の変化も視認しやすいよう補正し,いかなる画像でも最適な表示環境を提供する。また,マルチモダリティ対応のNio Fusion 12MPは,30.9インチのワイド画面を採用,NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構より,適合モニタとしての認定を受けている。
さらに,これらのディスプレイは,同社の12MPカラーディスプレイ「Coronis Uniti」で培った画像観察ワークフローをサポートする多くの機能を搭載する。同じ画面上で,アプリケーションごとに輝度や階調特性を自動で切り替える“Application Appearance Manager(AAM)”機能や,操作していないディスプレイの明るさを抑える“DimView”機能などで読影を効率化するほか,微細な患部・病変部に焦点を合わせて視認性を向上させる“SpotView”機能などで,より高精度な読影をサポートする。これらの機能については,事前にユーザーごとのプロファイルを作成・設定しておくことで,毎回同じ環境で快適に読影を行える。
また,PACS向けディスプレイ「Coronis Fusion」シリーズからは,ユーザーに根強いニーズがある4MPディスプレイ(MDCC-4430)が展示された。キャリブレーション推奨輝度600cd/m2を4万時間保証する高輝度表示・ロングライフ設計で,独自機能を多く搭載している。

カラーデジタルマンモグラフィ向けディスプレイ「Nio Color 5.8MP」

カラーデジタルマンモグラフィ向けディスプレイ「Nio Color 5.8MP」

 

高輝度カラーディスプレイ「Nio Fusion 12MP」は,“KVM機能”により2台のワークステーションを切り替えて表示することが可能。

高輝度カラーディスプレイ「Nio Fusion 12MP」は,“KVM機能”により2台のワークステーションを切り替えて表示することが可能。

 

事前にアプリケーションごとの輝度を設定できる。

事前にアプリケーションごとの輝度を設定できる。

 

●“Nexxis”による施設内外での画像・情報共有環境が実現

非圧縮IPビデオソリューションNexxisは,ノイズや遅延のない画像提供が可能で,4Kや3Dなどの最新の映像信号にも対応する。2012年にインテリジェント手術室向けに開発・発売されて以降,これまでに4000以上の血管撮影室やX線TV室,手術室にインストールされている。多種多様な画像や情報を一つの大画面上で同時に表示する血管造影/X線TV手術室向けソリューション“Nexxis IVR Solution”や,操作室のワークフローを改善する“Nexxis WorkSpot”,複数の手術室や検査室をオンラインで監視・管理することでダウンタイムを短縮する“Nexxis Care”など,より効率的な検査・治療環境を実現するソリューションを提供してきた。このうち,Nexxis WorkSpotは,院内映像配信網を低コストかつ簡便に構築することができるが,今回,手術室内の画像をリアルタイムで外部に配信可能なライブシステムNexxisLiveが新たに加わった。NexxisLiveは,映像や音声のみならずチャットやアノテーション機能による双方向のコミュニケーションが可能で,エキスパート医師による技術支援や,学生への教育目的などでの活用も期待される。ブースでは,4K対応の58インチサージカルディスプレイ「MDSC-8358」や4K3D表示が可能な「MDSC-8232 M3D」などのディスプレイなどにより,Nexxisが構築する手術室の画像環境が再現された。

新たにリリースされた“NexxisLive”。アノテーションの共有やチャットでのコミュニケーションが可能。

新たにリリースされた“NexxisLive”。アノテーションの共有やチャットでのコミュニケーションが可能。

 

4K対応の58インチサージカルディスプレイ「MDSC-8358」

4K対応の58インチサージカルディスプレイ「MDSC-8358」

 

4K3D表示が可能な「MDSC-8232 M3D」

4K3D表示が可能な「MDSC-8232 M3D」

 

●FDAの使用認可を取得した同社初のデジタルパソロジー向けディスプレイが初披露

同社初のデジタルパソロジー向け製品である27インチ8MP超高解像度ディスプレイ「MDPC-8127」が初出展された。MDPC-8127は,デジタルパソロジーで初の米国食品医薬品局(FDA)の使用認可を取得。米国では,FDAの認可を受けたWSI(Whole Slide Imaging)システムや表示ソフトウエアとの組み合わせにより,一次診断での使用も可能である。デジタルパソロジーではパーンやズームなどの操作が多用されるが,MDPC-8127はNio Fusion 12MPなどにも搭載されている“RapidFrame”(高速画像表示)により,リフレッシュレートが高速でブレを最小限に抑えるほか,スムーズな操作が可能で,常に鮮明な画像を表示できる。また,132%の広いsRGB色域をカバーし,10億7000万色の表示が可能で,病理診断で重要な質の高い色空間を実現する。ブースには,WSIスキャナなどを扱う企業の関係者などが多く訪れるなど,注目を集めていた。

同社初のデジタルパソロジー向け27インチ8MP超高解像度ディスプレイ「MDPC-8127」

同社初のデジタルパソロジー向け27インチ8MP超高解像度ディスプレイ「MDPC-8127」

 

●お問い合わせ先
社名:バルコ株式会社
住所:東京都大田区平和島5-1-1 ヤマトインターナショナルビル8F
TEL: 03-5762-8720
URL:https://www.barco.com


TOP