ITEM2022 コニカミノルタジャパン ブースレポート 
X線動画撮影が可能な回診用X線撮影装置「AeroDR TX m01」など,ユーザーに新たな価値をもたらす製品・技術を披露


2022-5-2

コニカミノルタ


コニカミノルタジャパンブース

コニカミノルタジャパンブース

コニカミノルタは今回,「MOVE! そこには新しい価値がある」をテーマに掲げて,来場者に新しい価値をもたらすソリューションを提案した。これまで独創的な技術を放射線診療の現場に届けてきた同社であるが,近年では,X線動画撮影技術(Dynamic Digital Radiography)など他社にない技術で臨床現場に価値を提供してきた。
今回,満を持して発表したのが,X線動画撮影技術を搭載した回診用X線撮影装置「AeroDR TX m01」である。ICUや救急,病棟など,被検者が撮影室に移動するのが困難な場合でも,ベッドサイドで検査を施行できる。また,カセッテ型デジタルX線撮影装置「AeroDR」も最新型の「AeroDR swift」を発表した。半切サイズ(14インチ×17インチ)の「AeroDR swift 1417HL」はバッテリーを含む重量が1.9kgとなっている。一方で,画質にも抜かりはなく100μmの画素サイズにより高い解像度を実現し,DQEも59%(1mR,1cycle/mm)で電気ノイズを抑えた画像を得られる。
ハードウエアだけでなく,ソフトウエアでも高い技術力を示した。人工知能(AI)を用いた胸部X線画像診断支援ソフトウエア「CXR Finding-i」は高い感度で,結節影,浸潤影を検出し,医師に病変候補を提示する。また,Women’s Healthのコーナーでは,高濃度乳房(デンスブレスト)を定量評価する乳房構成解析ソフトウエアの“Bda(Breast Density Assessment)”をアナウンスした。
ブースでは,このほかにも超音波診断装置にカメラを接続して走査手技の動画と超音波画像を同時に表示する“Camera Link”機能や,医療機関向けICTサービス「infomity」へのオンライン診療システム「YaDoc Quick」(インテグリティヘルスケア社)の組み込み,コミュニケーション支援サービス「MELON」といった新たな価値をもたらす製品・サービスもアピールした。

メインステージでは新たな価値をもたらす製品・技術を紹介

メインステージでは新たな価値をもたらす製品・技術を紹介

 

●DR(X線動画撮影):X線動画撮影が可能な回診用X線撮影装置AeroDR TX m01が登場
●DR(カセッテ型デジタルX線撮影装置):軽量1.9kgの新型カセッテ型デジタルX線撮影装置AeroDR swiftを発表
●AI/ヘルスケアIT:結節影と浸潤影を検出するAIを用いた胸部X線画像診断支援ソフトウエアCXR finding-iをアピール
●US:走査手技を記録して教育などに役立てられるオプション機能Camera Linkを紹介

 

●DR(X線動画撮影):X線動画撮影が可能な回診用X線撮影装置AeroDR TX m01が登場

今回,ブースの目玉となったのが,回診用X線撮影装置のAeroDR TX m01だ。ITEM 2022前の3月11日に発表,販売を開始したAeroDR TX m01は,コニカミノルタ独自のX線動画撮影を可能にした初の回診用X線撮影装置となる。X線動画撮影はコニカミノルタが長年をかけて開発した技術で,2018年にX線動画解析ワークステーション「KINOSIS」を組み合わせたシステムとして発表した。カセッテ型デジタルX線撮影装置「AeroDR fine motion」と島津社製「RADspeed Pro」を用いて,パルスX線を1秒間に15回連続照射し,15fpsの動画像を作成。肺の動きなどを動画像で観察できる。さらに,KINOSISの解析処理により横隔膜などの動きを数値化して定量的に評価できるほか,肺組織の信号値変化を視覚化。従来の一般撮影による静止画ではできなかった機能評価が可能となり,臨床現場に新たな価値をもたらした。
AeroDR TX m01は,撮影室でしかできなかったX線動画撮影がICUや救急,病棟のベッドサイドで可能になる。COVID-19患者の病態管理を目的に回診用X線撮影装置の需要が増えており,国内市場でも前年比で2020年は154%,2021年は188%と販売台数が伸びている(日本画像医療システム工業会市場統計)。こうしたニーズの高まりを受けて登場したAeroDR TX m01は,寸法が540mm(W)×1220mm(D)×1290mm(H)で,スペースの限られた場所での撮影にも対応する。アームにはセカンドモニタが設置されており,セカンドモニタで撮影情報を確認しながらポジショニングを行える。特に,X線管球とAeroDR fine motionの角度を表示してアライメント調整をサポートし,高精度の検査を可能とするとともに,ワークフローの効率化を図れる。本体前後にはAeroDR fine motionを3枚まで収納できる充電機能を備えたキャビネットが配置されているなど,回診撮影業務を熟知した設計がなされている。

「AeroDR TX m01」によりICUなどでX線動画撮影が可能に

「AeroDR TX m01」によりICUなどでX線動画撮影が可能に

 

「AeroDR TX m01」はまったく新しい回診用X線撮影装置だとアピール

「AeroDR TX m01」はまったく新しい回診用X線撮影装置だとアピール

 

アライメント調整などが容易に行えるセカンドモニタ

アライメント調整などが容易に行えるセカンドモニタ

 

●DR(カセッテ型デジタルX線撮影装置):軽量1.9kgの新型カセッテ型デジタルX線撮影装置AeroDR swiftを発表

3月10日発表,翌11日から販売を開始したカセッテ型デジタルX線撮影装置AeroDR swiftは,軽量,低線量,高画質というDRに求められる技術を高次元で実現した最新機種。半切サイズのAeroDR swift 1417HLを用意している。特筆すべきはその重量で,コニカミノルタ初の薄型フィルム基板TFTの採用によって,バッテリーを含めAeroDR swift 1417HLが1.9kgと,同社のCRカセッテ製品よりも軽量化されている。軽量化に加えて外板パネル周囲に深さ4mmのくぼみを設けて,ホールド性を高めた。軽量かつ持ちやすいボディとしたことで,COVID-19患者などの検査でビニールで養生しても安定して保持できる。
この外板パネルに高い抗菌性能を持たせたこともAeroDR swiftの注目すべきポイントである。外装素材に抗菌剤を混練したカーボンSMC(Sheet Molding Compound)を用いており,キズやスレが生じても劣化しない性能を実現。日本診療放射線技師会「診療放射線分野における感染症対策ガイドライン」で推奨されている清拭消毒を行っても,抗菌性能を維持できる。国内標準規格であるJIS Z 2801および国際規格のISO 22196に準拠しているほか,SIAAマーク(抗菌製品技術協議会)も取得している。
最高レベルの画質を得られることもAeroDR swiftのセールスポイントである。画素サイズを100μmとしたことで,高解像度のデータを取得できる。さらに,薄型フィルム基板TFTによるX線入射面内側の薄膜化によってX線のロスを低減しCsI(ヨウ化セシウム)のシンチレータに届くようにして,59%(1mR,1cycle/mm)という高いDQEを実現。高画質データを得られるようになった。従来製品の「AeroDR Premium」の約25%,CRの60%以上X線量を低減しても診断に最適な画像を撮影できる。
このほか,バッテリーを永年保証としており,劣化や故障に対して無償で交換することも,ユーザーにとって心強い特長である。

軽量で持ち運びがしやすく,画質にも妥協がない「AeroDR swift」

軽量で持ち運びがしやすく,画質にも妥協がない「AeroDR swift」

 

1.9kgという軽量を実現した「AeroDR swift 1417HL」

1.9kgという軽量を実現した「AeroDR swift 1417HL」

 

●AI/ヘルスケアIT:結節影と浸潤影を検出するAIを用いた胸部X線画像診断支援ソフトウエアCXR Finding-iをアピール

AIを用いた胸部X線画像診断支援ソフトウエアCXR Finding-iは,2021年11月から販売を開始している。CXR Finding-iは,胸部X線画像から,肺がんが疑われる結節影,肺炎や結核などの感染症の所見である浸潤影の候補を検出して白色の丸でマークして提示。感度は,結節影が83%,浸潤影が80%となっている。骨や心臓との重なっている部位でも病変候補を検出し,医師の確実な診断を支援する。経験の浅い医師や専門ではない医師でも読影の感度が上がることで,見落としを防止し,質の高い診断を支援する。
CXR Finding-iの使用方法には,施設の運用やシステム構成に応じて2パターンを想定している。一つは,PACS「FINO.VITA.GX」にCXR Finding-iを組み込み,解析結果を読影ビューワ「FINO.View.Pro」で結果を表示したり,レポートシステム「FINO.Report」から参照できるようにしたりする。FINO.Reportでは,医師の読影結果とCXR Finding-iの差異を表示することもできる。また,画像処理ゲートウェイ「Senciafinder」にCXR Finding-iをインストールすることで,解析結果を他社のPACSに保管し,読影ビューワから参照することも可能である。また,Senciafinderでは,胸部骨減弱画像を作成する“Bone Suppression処理”,過去画像との胸部経時差分処理を行う“Temporal Subtraction処理”と一緒に使用できる。現在は病院の導入が多いが,今後は健診(検診)施設での普及もめざすという。

病変候補を白色の丸でマークする胸部X線画像診断支援ソフトウエア“CXR Finding-i”

病変候補を白色の丸でマークする胸部X線画像診断支援ソフトウエア“CXR Finding-i”

 

「FINO.Report」では医師の読影結果と“CXR Finding-i”の差異を表示

「FINO.Report」では医師の読影結果と“CXR Finding-i”の差異を表示

 

「CXR Finding-i」はシステム構成などに応じて柔軟に運用可能

「CXR Finding-i」はシステム構成などに応じて柔軟に運用可能

 

ヘルスケアIT関連では,Women’s Healthのコーナーでマンモグラフィ画像診断システム「FINO.VITA.GX typeMG」と連携する乳房構成解析ソフトウエアのBdaを発表した。日本乳がん検診精度管理中央機構の「乳房構成の判定方法」に基づいて乳房構成を自動判定して4段階に分類して,画面上に結果を表示する。さらに,乳腺濃度をバー表示することで,各分類の中でより詳細に把握できる。従来,乳腺濃度は医師が目視で判定していたが,Bdaによって定量的な評価が可能となる。マンモグラフィで課題となっているデンスブレストを客観的に評価できるようになり,読影の効率化に寄与する。

乳腺濃度を定量的に評価できる“Bda”

乳腺濃度を定量的に評価できる“Bda”

 

「FINO.VITA.GX typeMG」や“Bda”などのWomen’s Healthソリューション

「FINO.VITA.GX typeMG」や“Bda”などのWomen’s Healthソリューション

 

●US:走査手技を記録して教育などに役立てられるオプション機能Camera Linkを紹介

超音波診断装置では新たな機能としてCamera Linkを紹介した。超音波検査におけるプローブでの走査手技を本体に接続したカメラで静止画や音声を含めた動画を撮影して記録。超音波画像とともに表示する。これにより,どのように検査が行われていたかがわかる。検査後に手技を確認できることから,次回の検査時の参考になるほか,教育や指導に役立てるといった利用が想定される。オプションとして提供しており,対応機種は「SONIMAGE HS2」「SONIMAGE HS2 PRO」「SNiBLE2」「SNiBLE yb PREMIUM」の4機種となっている。

プローブでの走査手技を静止画や動画で記録できる”Camera Link”

プローブでの走査手技を静止画や動画で記録できる”Camera Link”

 

”Camera Link”は「SONIMAGE HS2」など4機種にオプションとして提供

”Camera Link”は「SONIMAGE HS2」など4機種にオプションとして提供

 

●お問い合わせ先
社名:コニカミノルタジャパン株式会社
住所:〒105-0023 東京都港区芝浦1-1-1 浜松町ビルディング
TEL:03-6324-1080
URL:https://www.konicaminolta.jp/healthcare/index.html

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