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RSNA2010

■HITACHI Medical Corp
  グローバルでの展開を意識した製品をラインナップ

RSNA2010 [第3日目:11月30日(火)]

  HITACHI Medical Corpは,昨年のRSNA2009に引き続き “be [unlimited]”−あなたの医療環境改善の取り組みに,どこまでも貢献し続けます−をテーマに展示を行った。ブース全体の大きさを従来よりも拡大したほか,デザインも一新し,事業拡大に向けた積極的な姿勢を明確に打ち出した。また,展示は北米のみならず,グローバルでの展開を意識したラインナップとなっており,各製品でユーザーのニーズを徹底的に追究したさまざまな工夫や機構などが紹介された。

HITACHI Medical Corpブース
HITACHI Medical Corpブース

●MRI―超電導1.5T,超電導1.2Tオープン,永久磁石0.4Tと多彩なラインナップを展示

  MRIは,1.5T MRI 「ECHELON」(日本ではECHELON Vega),1.2T 高磁場オープンMRI 「OASIS」,永久磁石型0.4T MRI 「APERTO Lucent」(日本国内未発売)が展示された。

  同社が磁石,電源からワークステーションまで,すべてを独自で開発したOASISは,超電導型オープンMRIとしては世界最高の1.2Tの静磁場強度を誇る。アプリケーションは1.5TのECHELONと同じものをほぼカバーしているほか,垂直磁場方式によってトンネル型1.5T装置と同等の高画質が得られ,閉所恐怖症の患者さんが多い米国では,オープンタイプでありながら優れた検査性能を有する装置として高く評価されている。また,ECHELONは,ガントリ長160cmのショートボア,強力な傾斜磁場性能(33mT/m,150T/m/s),高機能撮像シーケンスに対応した基本性能,さまざまなアプリケーションによって,患者さんへのやさしい検査環境の提供と,将来の高い拡張性,高画質画像の提供を実現している。今回の展示では,この2つの製品に搭載されている同社独自の優れた技術や,現在開発中のアプリケーションを中心に紹介された。

  なかでも,静磁場の乱れを高精度に補正する技術“HOSS”は,通常,被検者がガントリ内に入ることで乱れてしまう静磁場を,高度なシミング技術によって均一に保つことができる。これにより,特に脂肪抑制を高精度に行うことができる。さらに,パネルでは,現在開発中の優れたアプリケーションとして,岩手医科大学との共同研究によって開発された“Plaque Imaging”,神戸大学との共同研究によって開発された“μ TE”などが紹介された( いずれもW.I.P.)。Plaque Imagingは,血管内のプラークを画像化する技術。超音波やCTなどでも存在診断は可能だが,Plaque Imagingでは,RADARという同社独自のラディアル計測技術によって,プラークの信号強度のきわめて微妙な違いを認識し,高いコントラスト分解能によって性状評価までも可能となった。信号強度の違いを色分けして表示することも可能であり,視覚的に非常にわかりやすくなっている。

  μ TEは,360μ秒程度の非常に短いTEをとり,通常のT2データと差分することで,腱や靭帯,軟骨などを画像化する技術。腱や靭帯,軟骨の状態が詳細に描出可能となり,従来よりも詳細な損傷の評価が可能となる。

  このほか,永久磁石型装置では,日本以外のアジアを中心に販売を行っている0.4Tの「APERTO Lucent」が展示された。デザインが一新されたほか,ECHELONなどの高磁場装置に搭載されているRADARが新たに搭載された。

OASIS
OASIS

OASIS用コイルの展示
OASIS用コイルの展示

ECHELON
ECHELON

APERTO Lucent(日本国内未発売)
APERTO Lucent(日本国内未発売)


●CT―64列CTの最新機能を紹介

  CTは,64列マルチスライスCT 「SCENARIA」を展示した。パールホワイトとシルバーリングの明るい概観とコンパクトなデザインでありながら,64列では最大の75pの開口径と47.5pという幅の広い天板によって,開放感や安心感をもたらすオープンデザインを実現している。また,ガントリの正面中央に設けられたTouch Vision(多目的モニタ)には,10か国語による検査ガイダンス機能のほか,小児用のアニメーション表示や,ガントリ内にも3か所にガイダンスの内容を確認できる小さなモニタを設置。患者さんがより安心して検査が受けられるよう工夫した。

  また,SCENARIAでは,0.35秒/回転という高速撮影が可能なほか,2880view/秒というきわめて高いビューレートによって,0.35秒/回転時に1000view以上が確保でき,心臓だけでなく,体幹部などの広範囲に対する高速撮影を行っても,FOV辺縁まで高精細な画像が得られるようになった。これにより,肺尖部から骨盤までを6.5秒で撮影可能となった。その上で,逐次近似法を応用した“Intelli IP”により,ノイズ低減度,先鋭度,粒状性などのバランスを部位ごとに最適化することで被ばくを低減。新たにCNR-AEC法による線量最適化技術“Intelli EC”を搭載し,被検者ごとに,より適正な線量での撮影が可能となった。さらに,心臓をFOV中心で撮影できるよう,左右8cmの寝台横スライド機構がオプションで搭載可能となった。

SCENARIAの寝台横スライド機構
SCENARIAの寝台横スライド機構

●US―優れた機能性とデザインが特徴の2機種を展示

  超音波診断装置は,機能性に優れ,かつ親しみやすいデザインによって,国内外で数々のデザイン賞などを受賞している「HI VISION Preirus」と,Preirusの機能をコンパクトにパッケージした「HI VISION Avius」が展示された。AviusはRSNA初展示。

  Preirusは,コンソールやモニタの稼働域が広く,座った状態はもちろん,より低い位置や立ったままでも,操作者の負担にならない操作が可能となった。モニタにはタッチパネルが搭載されており,視線を動かすことなく操作可能となっている。高感度で広帯域の探触子とUltra BE(Ultrasound broadband Engine)で高画質を実現しているほか,ブロードバンド技術でハーモニック信号を広帯域化したHdTHIやHI Compoundなどを搭載するなど,高画質化技術が充実している。また,アプリケーションとしては,わずかにプローブを上下させるだけで組織の硬さの情報が得られる“Real-time Tissue Elastography”や,CTやMRIなどの三次元画像を利用し,超音波で見ている断面と同じ断面のCTやMRIの画像を同時にリアルタイム表示することで,穿刺を伴う治療などに有用な“Real-time Virtual Sonography”が紹介された。また,Real-time Virtual Sonographyでは,前立腺を対象とした新開発の体腔内プローブが紹介された。


HI VISION Preirus
HI VISION Preirus
HI VISION Avius
HI VISION Avius
新開発のRVSに対応した体腔内プローブ
新開発のRVSに対応した体腔内プローブ

●X-ray

  X線システムは,撮影後に後処理を行うことなく,すぐに読影可能な画像が得られることをコンセプトに開発された,17インチ×17インチのFPD搭載一般撮影装置「Radnext α Type VH」が展示された。検査効率を追究した,さまざまな機能を搭載。管球がFPDのセンターを自動で追従し,位置合わせが簡単に行える自動トラッキング機能では,管球を斜めに振った状態にも対応することができる。また,撮影画像をすぐにその場で確認できるよう,指示器には撮影後約3秒で画像が表示されるモニタを搭載。操作室に戻って画像を確認することなく,画像確認から条件変更までをすべて撮影室内で行えるようになった。さらに,長尺撮影機能も搭載されており,コンソール上で部位を選択すると,1枚目の撮影後にワンボタンで次の撮影に移行できるほか,撮影終了後には 5〜10秒で,高精度に接合ずみの画像がモニタに自動で表示されるなど,きわめて短時間で簡単に行うことができる。このほか,GFI処理,感度の自動補正,マルチ周波数処理,γカーブを最適化するダイナミックγ処理を1つの流れとして1秒間で行うことで,リアルタイムに画像を最適化する機能が紹介された。特にGFI処理では,画像に含まれているグリッドの縞目特有の高い周波数を自動検知して削除することができ,より高精細な画像が得られるようになった。また,どのような撮影にもすべて対応できるため,グリッドの交換も不要となり,検査効率の向上に貢献する。


Radnext α
Radnext α
長尺撮影
長尺撮影

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