GEヘルスケア・ジャパン

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MRIの新製品とCTの最先端技術を中心に多数のイノベーションを発表

GE Healthcareは,“ヘルシーマジネーション(Healthymagination)”をテーマに展示を行った。ヘルシーマジネーションは,2015年までに60億ドルを投じて100種類のイノベーションを実施し,15%のコスト削減,15%のアクセス拡大,15%の品質向上をめざすGEの新戦略。RSNA 2009では,MRIとCT,核医学を中心に多数のイノベーションが実現されており,今後の発展に強い期待感を抱かせる内容となった。

(文責・編集部)


1.5T MRIの新製品3機種を発表

MRIは,“Changing a face of MR. The right way.”をテーマに,1.5T MRIの新製品3機種が発表された。
ガントリ開口径70cmのワイドボアを実現した「Optima MR450w」(日本国内薬事未承認)は,ハードウエアに同社の最上位機種である「Discovery MR750 3.0T」と同じプラットフォームを採用。ガントリ内でアナログ/デジタル変換を行うことで従来よりもノイズを減少し,信号強度を上げてSNRを向上させる“OpTix”と,グラディエントコイル内に冷却用水を直接流して冷却効率を高め,傾斜磁場を向上させる“eXtreme Gradient”という2つの新技術を搭載し,ガントリ全体に改良を加えたことで,開口径を広げながらも画像の磁場均一性が維持されている。
「Optima MR360」(日本国内薬事未承認)は,日本の臨床現場の声を反映して開発された「Signa HDe 1.5T」の後継機種。新機能“Ready Brain”では,頭部の検査を行う際に,ボタン1つでポジショニングからスキャンまで,すべて自動で行うことができる。
また,四肢撮像専用装置の「ONI MSK Extreme」(日本国内薬事未承認,日本国内販売未定)は,きわめてコンパクトでありながら,通常のMRI装置と同じ静磁場強度1.5Tを実現している。
このほか,新しいアプリケーションとして,“MR-Touch”(日本国内薬事未承認)が紹介された。MRIを用いたElastographyで,肝臓をターゲットにしており,専用の機器を腹部に押し当てた状態で肝臓に振動を与えてMRIで撮像し,画像処理することで硬さの情報が得られる。これにより,肝硬変になる前の線維化の情報が得られると期待されている。肝臓疾患の早期診断が非襲侵的に行える可能性があるほか,乳がんや筋肉の検査にも有用性を発揮することも期待されているという。米国ではすでにFDA承認を取得しており,臨床的有用性の報告が待たれる。

1.5TMRI「Optima MR450w」(日本国内薬事未承認)
1.5TMRI「Optima MR450w」
(日本国内薬事未承認)
1.5TMRI「Optima MR360」(日本国内薬事未承認)
1.5TMRI「Optima MR360」
(日本国内薬事未承認)
四肢専用MRI「ONI MSK Extreme 1.5T」(日本国内薬事未承認,日本国内販売未定)
四肢専用MRI「ONI MSK Extreme 1.5T」
(日本国内薬事未承認,日本国内販売未定)

CTは被ばく低減とデュアルエナジーを追究

CTは,High Definition CT(HDCT)「Discovery CT750 HD」の2つの最先端技術が注目を集めた。
逐次近似法を応用した画像再構成法“ASiR(Adaptive Statistical Iterative Reconstruction)”は,従来と同じ画質では半分以下に被ばくを低減し,従来と同じ被ばく線量ではより高分解能を得ることができる。一方,デュアルエナジーの撮像法である“GSI(Gemstone Spectral Imaging)”を応用し,raw dataベースで画像処理を行うことで,Iodine image,Water imageなどに加えて“Monochromatic image(単色X線画像)”の再構成が可能となった。Monochromatic imageでは,均一なエネルギーによる画像再構成が可能なため,ビームハードニングアーチファクトが大幅に抑制された画像が得られるようになる。
また,ASiRの次世代の技術として,“MBIR(Model-Based Iterative Reconstruction)”(W.I.P.,日本国内薬事未承認)が紹介された。MBIRではASiRよりもさらにノイズが低減され,空間分解能が向上する。これが実現すれば,GSIと併用することで,心臓撮影時の課題であるノイズや被ばく線量を最小限に抑えつつ高画質が得られる,まったく新しい心臓CTが可能になると期待されている。

HDCT「Discovery CT750 HD」
HDCT「Discovery CT750 HD」

核医学は機能/形態診断のワンストップショップをめざす

核医学は,1台の装置で形態診断と機能診断の両方を行いたいという市場のニーズに応え,PET/CTとSPECT/CTで,それぞれ診断用CTを搭載した新しいシステムを発表した。
PET/CT は,高精度な呼吸同期と短時間での画像再構成を特長に持つ「Discovery PET/CT600」と「Discovery PET/CT690」(690は日本国内薬事未承認)が紹介された。どちらもプラットフォームは同じだが,検出器クリスタル素材と画像再構成法の違いにより,Discovery PET/CT600は高感度によるFDG低投与量での撮像,Discovery PET/CT690はTOFにより比較的身体の大きな患者さんでSNR改善の効果を発揮する。また,次世代のPET/CTでは,CTに“ASiR”が搭載されるほか,PETについても“SharpIR”という新機能の搭載が予定されている。これにより,従来のPET撮影で課題となっていた辺縁部のボケが解消され,辺縁部の小さな集積などでもSUV値が改善されると期待されている。
SPECT/CTは,16列CT「BrightSpeed Elite」を搭載した「Discovery NM/CT 670」(W.I.P.,日本国内薬事未承認)が登場した。SPECTの検出器周りのデザインを一新して以前よりもコンパクトになったほか,全身の骨シンチグラフィを短時間で行う新アプリケーション“Evolution for Bone Planar”が搭載され,従来の約半分の時間での全身の骨シンチグラフィ検査が可能となる。
SPECTにも,半導体検出器を用いた心臓専用装置「Discovery NM 530c」(日本国内薬事未承認)が登場した。検査時間が従来の1/5にまで短縮したほか,エネルギー分解能が非常に高いため,2つもしくは3つの放射性薬剤の同時投与による検査が可能になると期待されている。また,ガントリを回転させずに固定した状態で心臓の断層像が得られるため,時間分解能の高い画像を得ることができる。すでに全世界で約20台が稼働しており,Discovery NM 530cに64列CTを搭載した「Discovery NM/CT 570c」(日本国内薬事未承認)の販売も予定されている。

Discovery PET/CT 600/690(690は日本国内薬事未承認)
Discovery PET/CT 600/690
(690は日本国内薬事未承認)
SPECT/CT「Discovery NM/CT 670」(日本国内薬事未承認)
SPECT/CT「Discovery NM/CT 670」
(日本国内薬事未承認)
SPECT「Discovery NM 530c」(日本国内薬事未承認)
SPECT「Discovery NM 530c」
(日本国内薬事未承認)

臨床研究中の新機能も多数紹介

X-rayでは,新製品として,FPDを取り外して使用することが可能となった一般撮影装置「Discovery XR650」と,従来よりもFPDのサイズが一回り大きくなり,変換効率(DQE)が数%向上したデジタルマンモグラフィ「Senograph Essential Interventional」(W.I.P.,日本国内薬事未承認)が展示された。また,現在臨床研究中の新機能として,デジタルマンモグラフィによる“トモシンセシス”や,血管撮影装置「Innova4100IQ」の2つの3Dイメージガイダンス機能が紹介された。
このほか,Healthcare ITでは,診療科における画像データの容易な活用を可能にするWebベースのPACSビューワである「Centricity PACS IW」(日本での製品名は「Dynamic Web DW」)の核医学と整形外科領域のワークフローを向上する新機能と,IHEのXDS(レポートの施設間共有),XDS-I(画像情報の施設間共有),PIX(患者情報の相互参照)統合プロファイルに準拠した施設間連携のための新ソリューション“Image Exchange”が紹介された。また,超音波診断装置は,腹部汎用装置の「LOGIQ E9」と麻酔科および整形外科専用装置の「Venue40」が展示された。

機能が拡張された「Centricity PACS IW」
機能が拡張された「Centricity PACS IW」