GEヘルスケア・ジャパン

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Technical Note

2009年1月号
シリーズ特集 scene vol.2−rt-PA時代における急性期脳梗塞の画像診断:標準化に向けて

MRI−Signa HDxtのNewアプリケーションと標準化の取り組み

中上 将司 MRセールス&マーケティング部
椛沢 宏之 研究開発室

2008年11月30日〜12月5日に開催されたRSNA(北米放射線学会)において,GE社はSigna HDxt 3.0T/1.5T(図1)の新しいアプリケーションとして“SWAN”(国内薬事未承認)を発表したので,本稿でその概要を紹介する。また,合わせて撮像法や解析法の標準化に向けてのGEの取り組みについても簡単に述べる。

 
図1 Signa HDxt 3.0T/1.5Tの装置外観
図1 Signa HDxt 3.0T/1.5Tの装置外観
救急患者さまにも安全かつ迅速に対応できるように,着脱式のモービルテーブルを採用している。

SWAN

SWAN(T2 Star Weighted MR ANgiography)は,3DのT2強調像をベースとした撮像法で,微小出血や虚血などで起こる磁化率の変化を鋭敏にとらえることが可能である。また,SWANは薄いスライス厚で収集を行っているので,コンベンショナルな2Dグラディエントエコー法によるT2強調像よりも空間分解能の向上が見込めるのはもちろんのこと,従来から行われている3D高速グラディエントエコー法でTEを長めに設定したT2強調像に比べても,短時間でかつ,高SNRの画像を得られるのが最大のメリットとなる。
SWANは,3D高速グラディエントエコー法にマルチエコーの収集を組み合わせたパルスシーケンスである。1TR間で,TEの異なる複数のデータを取得し,それらを加算平均することで最終的に1枚の画像として再構成を行っている。得られたデータは3Dなので,reformatとminimum intensity projection(minIP)処理を行うことで,図2のような画像を得ることも可能である。また,パラレルイメージングの“ASSET”と併用することにより,わずか3分程度で撮像が可能となることから,ルーチン検査にも容易に組み込めるものと期待している。


図2 SWAN(左)と2D GREによるT2*強調像(右)
図2 SWAN(左)と2D GREによるT2強調像(右)

脳梗塞標準化への取り組み

GEは,“Volume MR”のコンセプトをさらに発展させる方向として“Cube”という新技術を発表している。Cubeは,アイソトロピックなボリュームデータで,T2強調像やプロトン強調画像,FLAIRを得ることができる撮像法である。アイソトロピックな分解能を有するため,一度撮像を行えば,後から任意の断面にリフォーメーションを行うことで高品位な画像を提供することが可能である。特に,FLAIRと組み合わせたCube-FLAIR法は,無症候性脳梗塞診断の新たな撮像法として期待される。
また,検査効率の改善をめざして,検査ワークフローの分析を通して撮像から画像処理までの一連の流れの見直しを行い,より効率的な急性期脳梗塞画像診断の撮像機能を行うべく開発を進めている。画像診断における撮像法や解析法の標準化の重要性を認識し,ASIST-Japanなど国内外での標準化推進組織が提唱しているアルゴリズム,表示法等の手法に沿うように,製品開発を進める努力を行っている。