GEヘルスケア・ジャパン

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Technical Note

2010年7月号
Workstaion Technology Guide−技術の最前線

WS−3D ImagingからHuman Volume Viewingへ ─Advantage Workstationの最新技術

鈴木香織
MI &CT Sales & Marketing部

GEのワークステーション(WS)「Advantage Workstation」(以下,AW)は,1994年に登場し,MDCTとともに進歩してきた。3D画像をより速く,正確に作成するため,自動骨削除機能や血管抽出機能などの3D作成ツールや自動解析機能が充実し,その精度も年々向上している。また,2008年から登場した“Auto Launch”は,症例を選択してから実際にアプリケーションが起動するまでの時間さえ短縮することで,複数症例の3D解析を行う場合には圧倒的な時間短縮が実現可能となった。このように,AWは3D画像の作成や解析において,簡単,効率的な作業を実現するために開発と改良を重ねてきた。


■ さらなる臨床活用をめざして: Advantage Workstation VolumeShare4 XT

2009年12月にリリースした「Advantage Workstation VolumeShare4 XT」(以下,VS4 XT)は,長年培ってきた3Dツールはもとより,フォローアップツールを充実させることによって,ワークフローをさらに強化した。また,CT,MRI,PET,X線血管造影装置というさまざまなモダリティにおいて,新しいアプリケーションが数多く登場し,より幅広い分野で活用することが可能になった(図1)。なかでも,病変の発見,観察,解析,アウトプット,そしてフォローアップまでの一連の流れをよりスムーズに行えるようデザインされた“VCARシリーズ”に,新たに“Colon VCAR EC”と“Thoracic VCAR”が加わった。


図1 VS4 XTで新しく搭載可能となった主なアプリケーション
図1 VS4 XTで新しく搭載可能となった主なアプリケーション

1.Colon VCAR EC
CT Colonographyの最新アプリケーションColon VCAR ECは,オートセグメンテーションの強化やDigital Contrast Agent(DCA),Electronic Cleansingの搭載により,CT Colonographyの前処置や画像処理にかかる手間を軽減することが期待できる。
まず,アプリケーションを起動すると,空気の連続性と解剖学的位置から自動的に大腸のみを抽出し,二重造影のようなVR像や仮想内視鏡像,大腸の展開像が表示される。DCAを使用することによって,病変と予想されるような球状の構造物が青色で強調される。オペレータは,表示されたさまざまな画像から疑わしい部分にブックマークを記し,より詳細に観察することも可能である。造影剤と混合した残渣,残液を画像上でサブトラクションするElectronic Cleansingは,造影剤をあらかじめ服用するという前処置は必要なものの,患者さんの苦痛が軽減できるため,新しい前処置方法として現在多くの施設で研究,試行されている(図2)。


図2 Colon VCAR EC
図2 Colon VCAR EC
a:Colon VCAR ECの全体画面(DCA On)
b:二重造影様画像
c-1:Electronic Cleansing Off仮想内視鏡像
c-2:Electronic Cleansing Offオブリーク像
d-1:Electronic Cleansing On仮想内視鏡像
d-2:Electronic Cleansing Onオブリーク像

2.Thoracic VCAR
肺野専用アプリケーションThoracic VCARでは,COPD(慢性閉塞性肺疾患)に代表される肺気腫や気管支解析をサポートする。肺気腫解析は,肺野内の低吸収領域の体積が表記され,上中下葉のセグメンテーションをあらかじめ行うことで各葉ごとの値を得ることもできる。気管支解析は,自動的に気管支のみの3D画像が表示され,関心のある気管支をワンクリックすることで,その展開像や気管支に沿った断面を観察でき,気管支の壁厚や内腔面積などを計測可能である(図3)。
また,Integrated Registrationによって,CT,MRI,核医学,X線画像をフュージョンすることも容易になった。さらに,当社のX線血管造影装置「Innova」と接続することで,CTやMRIの3D画像とInnovaのアームを連動することが可能となり,インターベンションのサポートとして活用できる*1
このように,VS4 XTは,3D作成だけを目的としたWSの枠を超え,あらゆる分野,あらゆるモダリティにおいて,最新装置の画像データを最大限に活用し,診断,治療をサポートすることが可能となった。


図3 Thoracic VCAR
図3 Thoracic VCAR
a:上中下葉にセグメンテーションした肺のVR像
b:肺気腫解析の画像と体積表記
c:気管支解析の全体画面

■ より多くのシーンで効率的に活用いただくために: AW Server

GEの画像診断用読影端末「Centricity RA1000」や「Centricity RA600」は,読影環境下においてAWの機能を使用することで(AW Suite2.0),使用者の身近な診断ツールとして活用されてきた。昨今では,さらなる3Dの普及と院内インフラの整備によって,もはや限られたWSだけではなく,もっと身近で手軽にWS機能が使用できる環境が求められている。
「AW Server」は,サーバ本体で大量の画像データを解析し,結果のみをクライアント端末で参照するといった,いわゆるシンクライアント型を採用しており,院内のあらゆるPCからアクセスしてAWと同等の機能を使用することが可能である*2。多数のユーザーが高度な画像処理を同時に行うことを想定し,本体にはエンタープライズクラスの本格的なサーバ用ハードウエアを使用した。これにより,最大3万スライスの画像を複数クライアントから安定した状態で高速同時処理することが可能である(図4)。また,初期画面であるワークリストに画像処理の状況を表示したり,至急読影のフラグを表示するなどネットワーク型ならではの工夫がなされている(図5)。ネットワーク型WSは,解析データを一元管理し,かつ,場所を選ばずどこからでも解析できることが最大の目的である。しかし,それを実現するためには,再現性の高いアプリケーションや管理のしやすいシステムであることが大切である。AW Serverは,AWで培った操作性・簡便性をまったく新しいシステムとして作り上げることでこれを実現した。


図4 AW Serverネットワーク
図4 AW Serverネットワーク

図5 AW Server ユーザーインターフェイス
図5 AW Server ユーザーインターフェイス

VS4 XTは,医療のあらゆるシーンで臨床画像を用いることを可能にした。さらに,AW Serverにより,大量の情報を多くのユーザー間で効率良く共有していくことで,単に3Dを作成するだけのWSではなく,画像提供ソリューション“Human Volume Viewing”としてアーリーヘルスに貢献していきたい。


*1 角度の連携はInnovaのバージョンに依存します。
*2 診断に使用する場合は薬事承認品をご使用ください。

アドバンテージワークステーション
医療機器承認番号 20600BZY00483000
AWサーバー
医療機器承認番号 22200BZX00295000