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別冊付録

My Opinion

上市をめざす研究開発プロジェクトを推進─日本の高い技術を世界に

増永 明(経済産業省商務情報政策局医療・福祉機器産業室室長)

増永 明(経済産業省商務情報政策局医療・福祉機器産業室室長)

●医療・福祉機器産業室が担っている役割や施策についてお聞かせください。

医療・福祉機器関係の施策と医療の情報化の2つに大別されます。
まず第1に,医療・福祉機器等の技術開発のナショナルプロジェクトがあります。独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じ,4つの研究開発プロジェクトを実施しています。
第2に,医療の情報化分野では,各病院間の情報ネットワーク構築や,パーソナルヘルスレコード(PHR)のモデル事業を4地域で実施しています。また,福祉用具の実用化開発を行う中小企業には,NEDOを通じて研究開発費用を補助し支援するという制度を行っております。

●4つの研究開発プロジェクトの内容について具体的に教えてください。

1つ目は,「インテリジェント手術機器研究開発プロジェクト」(H19〜23年度)です。これは日本が得意なセンシング技術やロボット技術を使って,術中に病巣部の位置を正確に把握しつつ,最小限の切除で確実に治療可能な先進医療機器の開発を行うものです。脳神経外科,胸部外科,消化器外科の3つの領域を対象に,名古屋大,東京女子医大,東大,九州大など9大学や関連企業が研究開発を進めているところです。
2つ目は,「分子イメージング機器研究開発プロジェクト」(H17〜21年度)です。眼底イメージング機器研究開発と悪性腫瘍等治療支援分子イメージング機器研究開発があり,後者はがんの超早期診断を実現するために,マンモ用・全身用PETやCTなどの高感度・高精度なイメージング機器の開発を行うものです。
3つ目は,「次世代DDS型悪性腫瘍治療システムの研究開発事業」(H17〜21年度)です。光や超音波と薬剤を組み合わせてがん治療の効果・効率を高める開発を行っています。
最後の4つ目は,「再生医療評価研究開発事業」(H17〜21年度)です。これは再生医療の早期実用化を目指した再生評価技術の開発,および心筋,三次元複合臓器構造体の研究開発を行っています。
これらのプロジェクトは,脳・心臓・胃の疾患(主にがん)を対象にして,低侵襲かつQOLの向上を可能にする診断と治療を実現させることを目的としています。

●NEDOプロジェクトは,どのようなプロセスと結果が望ましいのでしょうか。

終了後,すみやかに臨床試験などを経て上市までもっていくことが望まれます。そのため,今後実用化が期待される先進的な医療機器について,当省が行う機器開発の効率化のための開発ガイドラインの策定と,厚生労働省が行う薬事審査における評価指針の策定を連携して実施することで,医療機器開発の促進および審査機関における承認審査の迅速化を進めています。

●インテリジェント手術機器プロジェクトでは,イメージガイドとしてオープンMRIが活躍しています。

術前・術中に腫瘍の位置を確認するためには複数の画像情報が必要です。特に,オープンMRIによるナビゲーションシステムは,術中でも検査しやすい装置として,診断と治療が一体化する使い方ができるので,今後大いに活躍するのではないかと期待されます。

●最後に,世界不況の真っ只中ですが,日本企業をどのように支援していきますか。

やはり最先端の医療機器の研究開発を中心に支援することになるかと思います。既存の医療機器産業ばかりでなく,それ以外の非常に高い技術レベルを持つ中小企業などともっと連携して,世界最先端の医療機器の開発ができると思いますので,国内はもちろん,国際市場で発展してほしいと思っています。

増永 明 Akira Masunaga, M.D., Ph.D.
1989年 東京大学大学院修了
1989年 通商産業省入省
1996年 米国ノースウエスタン大学経営大学院修了
1996年 工業技術院医療福祉機器技術企画官付課長補佐
1998年 経済協力開発機構(OECD)科学技術産業局科学技術政策課課長補佐
2001年 経済産業省産業技術環境局知的基盤課課長補佐
2003年 中国経済産業局総務企画部総務課長
2006年 産業技術環境局地球環境対策室長
2007年 資源エネルギー庁G8エネルギー大臣会合等対策業務室長
2008年 7月〜 現職

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