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別冊付録

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【APERTO Inspire/小平記念 東京日立病院】
閉所恐怖症患者を対象にしたアンケートでAPERTO Inspireの有用性を評価
高画質な画像を乳腺外科など幅広い領域で活用

小平記念 東京日立病院は2006年8月,MRIを従来の超電導型1.5T MRIから,日立メディコの永久磁石型0.4TオープンMRI「APERTO Inspire」に更新した。患者さん第一の診療に取り組む同院は,稼働後に閉所恐怖症の受診者を対象とした,MRI検査に関するアンケートを実施。オープンMRIの有用性を客観的に評価するとともに,患者さんの要望を把握し,その結果を診療に生かしている。アンケートで明らかになったオープンMRIの有用性や,APERTO Inspireを活用した診療の現状と展望について,診療放射線科の出島毅科長と白戸友和技師にお話をうかがった。

出島 毅 科長
出島 毅 科長
白戸友和 技師
白戸友和 技師
APERTO Inspire
APERTO Inspire

コストと画質のバランスを評価しAPERTO Inspireに更新

コンソール
コンソール
ポジショニングが容易であり,かつ患者さんが自由な体位をとれるため,医師の要望に柔軟に応えることができるという。

日立製作所が1960年に開設した小平記念 東京日立病院は,病床数126床,診療科目9科を標榜し,開設当初より,開かれた病院として地域住民の健康を支えてきた。2006年には,総合健診センターを開設して人間ドック,脳ドック,各種がん健診などを開始。予防医学にも力を入れ,地域への貢献に取り組んでいる。また同時に,患者さんの声や臨床における製品の評価を,日立メディコにフィードバックする役割も担っている。
もともと同院では,超電導型1.5T MRIが稼働していたが,2006年8月,日立メディコの永久磁石型0.4TオープンMRI APERTO Inspireに更新した。新たに導入するMRIについては,コストパフォーマンスと画質のバランスを最も重視し,当然1.5T装置も候補に挙げて選定が行われた。APERTO Inspireは垂直磁場方式を採用しているため,0.4Tでも部位によっては高磁場装置と遜色ない高画質を得ることができるほか,永久磁石型ということで,コストパフォーマンスは圧倒的に優れている。慎重に検討を重ねた結果,各診療科の要望にも十分に応えうると判断し,APERTO Inspireの導入に至った。

閉所恐怖症患者が認めるオープンMRIのやさしさ

実際に稼働すると,各科で順調に症例数を伸ばしていくとともに,患者さんからは,MRIに関する問い合わせがたびたびくるようになった。「問い合わせの内容は主に,自分は閉所恐怖症だが,ぜひオープンMRIで検査を受けたいというものでした」と白戸技師は振り返る。そこで,オープンMRIに対する閉所恐怖症患者さんの声を客観的に評価するためにアンケートを実施した。
アンケートは,2007年7月〜2008年7月までの約1年間にわたって,22名の閉所恐怖症の被検者を対象に実施された。質問項目は,MRI検査の経験の有無や閉所恐怖症の症状,APERTO Inspireで検査を受けた感想などで,検査後に具体的に回答してもらった。
まず,検査は22名中20名が最後まで行うことができた。残る2名のうち1名は,以前受診したトンネル型ではまったく検査を受けられなかったが,APERTO Inspireでは途中まで撮像している。また,もう1名については,ヘッドコイルを装着できなかったため,MRI検査には至らなかった。さらに,検査を最後まで行うことができた20名に対する“トンネル型とオープン型のどちらが良いか”という質問には,全員がオープン型を選択した。これらの結果を受けて出島科長は,「オープンMRIが閉所恐怖症の患者さんにやさしい装置であることが数字として証明されました。受診者が苦痛を感じることなく検査を受けられることは大変重要ですので,その点でもAPERTO Inspireは非常に有用性の高い装置であると言えます」と述べている。
アンケートではこのほか,「検査中に次の撮像に移行するタイミングを知りたい」という声も多かったことから,白戸技師は,患者さんへの声掛けの重要性を実感している。オープンMRIによって実現したハード面でのやさしさと同時に,ソフト面でもやさしさを追究することで,オープンMRIの優れた特長を最大限に生かすよう心掛けている。
なお,こうした臨床現場におけるモダリティの評価は,日立製作所の6病院の技師が主体となって構成される「日立医用画像研究会」において年に1回検証が重ねられている。同院が行ったアンケート結果については,2008年11月に行われた研究会で,「閉所恐怖症の方に対するオープンMRIの有用性」というテーマで発表された。

APERTO Inspireを乳がんの広がり・存在診断にも活用

同院では現在,APERTO Inspireで,脳ドックを含めて1日に16件以上の撮像が行われている。領域別には,頭部,産婦人科,乳腺の依頼が特に多い。
なかでも特徴的なのは,乳腺の検査にAPERTO Inspireを使用していることである。近年,日本においても,乳がんの精査における乳腺MRIの有用性が認められるようになってきたが,まだ十分に普及しているとは言えないのが現状である。しかし同院では,以前の1.5T MRIが稼働していた頃から乳腺MRIが行われており,早くからその有用性が認識されていた。
検査は主に,乳がん術前の広がり診断として行い,手術時と同じ仰臥位で撮像する。これまでに,充実腺管癌,乳頭腺管癌,硬癌,非浸潤癌など,さまざまな症例を扱っているという。撮像時間は約40分であり,術前については全症例に対して施行する。また,症例によっては存在診断にも活用しており,その場合は,乳腺専用の2エレメント1チャンネルコイルを使用して腹臥位で撮像する。同院ではこれまでに,マンモグラフィと超音波検査で病変が見つからず,APERTO Inspireによって腫瘍が発見できた症例も経験している。
白戸技師は,乳腺MRIの画質について,「APERTO Inspire は,アーチファクトが少なく,画質が非常に安定しています」と評価している。臨床の要求に最大限に応えられるよう,今後も撮像法の研究が続けられていく。

症例1:乳頭腺管癌
症例1:乳頭腺管癌
a〜d:Dynamic〔脂肪抑制(水脂肪分離法)併用T1WI〕,COR,FOV:260mm,TR/TE:260/13.4,FA:90°,スライス厚:4mm,撮像時間:1分56秒/時相
e:脂肪抑制(水脂肪分離法)併用T1WI,COR,FOV:240mm,TR/TE:520/25,FA:90°,スライス厚:4mm,撮像時間:5分

症例2:硬癌
症例2:硬癌
a:脂肪抑制(水脂肪分離法)併用T2WI,COR,FOV:240mm,TR/TE:3600/72,FA:90°,スライス厚:4mm,撮像時間:5分46秒
b:脂肪抑制(水脂肪分離法)併用T2WI,TRS,FOV:240mm,TR/TE:3600/72,FA:90°,スライス厚:4mm,撮像時間:5分46秒
c:Dynamic〔脂肪抑制(水脂肪分離法)併用T1WI〕,COR,FOV:260mm,TR/TE:260/13.4,FA:90°,スライス厚:4mm,撮像時間:1分56秒/時相

放射線科の人材と設備の充実を図り地域への貢献を進める

APERTO Inspireによって,患者さんにやさしい検査を実現した同院では,次のステップとして,放射線科の人材と設備をさらに充実させていくことが検討されている。出島科長は,「大学病院に囲まれた立地を生かし,最終的には画像センター化を図りたい」と話す。その第一歩として,今年4月には,診断結果をより迅速に患者さんに提供できるよう,読影医の充実を図る予定である。また同時に,同院では4月から,文京区の乳がん検診がスタートする。
こうした変化によって,APERTO Inspireが担う役割はますます大きくなっていくと予想されるが,出島科長は今後の構想として,「いずれは日立メディコの超電導型1.5T MRIであるECHELON Vegaを導入して,MRIを2台体制にしたいと考えています。タイプの異なるMRIを稼働させ,APERTO Inspireでは,オープンMRIならではの特長を生かした検査にも取り組んでいきたい」と述べている。
稼働から2年半が経過し,幅広い領域で活用されているAPERTO Inspireだが,今後は装置の性能をさらに引き出すことで,その有用性がこれまで以上に地域医療へと還元されていくことが期待される。

(2009年1月7日取材)

小平記念 東京日立病院
〒113-0034 東京都文京区湯島3-5-7
TEL 03-3831-2181 FAX 03-3837-5916
http://www.hitachi.co.jp/hospital/tokyo/index.html
診療科目:内科,産婦人科,歯科,外科,眼科,整形外科,耳鼻咽喉科,小児科,皮膚科
病床数:126床
診療放射線科スタッフ:読影医4名(非常勤),診療放射線技師9名ほか,計14名

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