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別冊付録

ユーザー訪問

なるみ脳神経クリニック
ECHELON RX 高精細なMRA画像による早期診断で地域医療に貢献
ワークフローの効率化で質の高い検査環境を実現

なるみ脳神経クリニックは,1990年の開院時に日立メディコ社の永久磁石型0.2T MRI「MRP20」を導入後,同社の0.3T,0.4T装置へと更新を重ね,2011年6月から超電導型1.5T MRI「ECHELON RX」を稼働させた。ECHELON RXで撮像するMRAなどの高精細画像により,脳卒中の早期発見・早期治療につなげ,病診連携におけるクリニックとしての役割を果たすべく,地域医療に努めている。ECHELON RXの使用経験について,鳴海 新院長と宗像三義技師長にお話をうかがった。

なるみ脳神経クリニック

■脳卒中を未然に防ぐため東北初の脳ドックを実施

鳴海 新 院長
鳴海 新 院長
宗像三義 技師長
宗像三義 技師長

大学病院や米国留学で脳神経外科医として経験を積んだ鳴海院長が,1990年にJR盛岡駅前に開設したなるみ脳神経クリニックは,脳神経外科,神経内科,心療内科,整形外科,リハビリテーション科を標榜して診療にあたるとともに,91年には東北初となる脳ドックを開始した。脳ドックという言葉自体もあまり知られていない当時,いち早く脳ドックを始めた理由について,鳴海院長は次のように話す。
「それまでの経験から,無症候性脳梗塞や未破裂脳動脈瘤の早期診断の重要性を痛感していました。そこで,当時臨床で用いられ始め,その有用性を感じていたMRIで脳ドックを始めようと開院しました。最初に導入したMRP20は,擬陽性を明確に鑑別することはできませんでしたが,“疑わしい”ことがわかるだけでも,当時としては大変意義がありました」
同クリニックには,近隣だけでなく,宮古市や久慈市など沿岸地域からの来院も多い。来院当日に診断から治療方針まで示すことが重要と考える鳴海院長は,より速やかに確実な診断を行うため,93年には0.3T装置,2003年には0.4T装置へと更新した。それに伴い画質は向上したが,MRAの画質については,より高精細なものを望む気持ちがあったという。

■自信を持って診断できる画質とスペース効率の良さが導入の決め手

新開発の着脱が容易な頭部用コイルと,収納式アームボード
新開発の着脱が容易な頭部用コイルと,
収納式アームボード


コンソール
コンソール

2004年にクリニックを現在の場所に新築移転する際には,永久磁石型オープンMRIを使い続けることを前提に,建築設備の設計を行った。しかし,2011年に超電導型1.5T装置ECHELON RXが発売され,鳴海院長は導入を即決した。その理由について鳴海院長は,「MRAの画質が最大の理由です。従来の装置でも,脳梗塞などの診断は十分できていましたが,MRAには必ずしも満足できていなかったため,1.5Tという高磁場装置であるECHELON RXのMRA画像に期待し,導入を決めました。また,省スペース設計で,以前の0.4T装置の検査室に設置できたことも決め手となりました」と述べている。
一般的に,1.5T以上の高磁場装置の多くは,中・低磁場装置と比べ装置が大きく,5ガウスラインの範囲が広いが,ECHELON RXは,コンパクトキャビネットにより専用の機械室が不要な設計となっており,クリニックなどスペースが限られた場所にも設置することが比較的容易である。ECHELON RXの登場により,確実な診断を求め,高精細なMRAをあきらめきれずにいた鳴海院長も満足できる検査環境が実現した。

■負担軽減と迅速な診療を可能にするシンプルなワークフロー

ECHELON RXは,高精度診断画像とシンプルな操作性の両立をめざし開発された。コイルシステムは,感度の高さだけでなくワークフローも考慮され,脊椎コイルを組み込んだテーブルや,スライドしてセッティングするだけの頭部用コイルを採用し,受信コイルの載せ替えの手間を軽減している。また,テーブルはフットスイッチで操作可能で,高さ450mmまで下げられる。同クリニックは,脳卒中や認知症で受診する高齢の患者も多いが,楽に乗降できており,ペイシェントフレンドリーな検査を行えている。
MRI撮像は,宗像技師長を含め,20年以上のキャリアを持つ2名の技師が担当している。宗像技師長は,MRIが臨床に導入された80年代後半から同社のMRIを使用しており,装置・技術の進歩に伴って,MRIでできることの幅が広くなっていることを実感しているという。
MRI装置の高度化により,その操作は難しくなっているとも言われるが,ECHELON RXは,パラメータを変更するときの条件設定を支援するSuggestion UI機能など,コンソールの操作性の向上が図られている。操作にあたる宗像技師長は,「タスクコピーを使って簡単に撮像条件を移行できるなど,非常に使い勝手がいいです。クリニックの方針として,検査当日に診断から患者説明まで行いますので,処理速度が速いことも有用です。パラメータも多様なので,工夫しながらより良い画像を得ることにやりがいを感じます」と述べている。

■高精細MRAで診断能が向上

同クリニックには現在,1日に140〜150名が来院し,頭痛を主訴とする若年層と,脳卒中や認知症で受診する高齢層の患者が多い。MRI検査は基本的に予約制で,高磁場装置であることから,事故防止には細心の注意を払っている。予約枠は30分とし,予約検査の合間に緊急検査を実施する。脳卒中,認知症,脳腫瘍などの頭部検査が6〜7割を占め,整形領域では脊椎や膝などの撮像が多い。
症例の多い頭痛の検査では,プロトン密度強調画像,T2強調画像,T1強調画像,FLAIRを基本とし,急性期の脳卒中が疑われる場合は拡散強調画像を,また,家族歴でクモ膜下出血がある場合はMRAを追加している。MRAの画質について鳴海院長は,「以前の装置では,中大脳動脈の水平部が狭窄しているように見えやすいことがありましたが,ECHELON RXではまったくなくなり,診断能が確実に向上していると実感しています」と評価する。
宗像技師長は,「MRAの場合,高齢の患者さんは血流が遅いので,以前の装置ではTRを長くするといった設定の変更が必要でしたが,ECHELON RXでは特に条件を変えなくても撮像できます」と話す。また,アクティブシムシステム"HOSS"により,FOV500mmの広い撮像空間と高い磁場均一性を実現しているため,仙椎から胸椎の撮像をする際にも,両端に歪みのない画像を得ることができているという。

症例

■装置の可能性を引き出し病院との連携で地域医療を支える

宗像技師長は,ECHELON RXを活用した検査の展望について,「症例の少ない整形領域の撮像にいつでも対応できるよう,パラメータの確定に取り組んでいきます。また,装置のポテンシャルの高さを生かし,より高精度な画像が得られるよう,撮像条件を改善していきたい」と述べている。
また,鳴海院長は,MRI検査やクリニックの展望について次のように話す。
「MRプラークイメージングについても検討したいと考えています。プラークイメージングは,内科的治療か外科的治療かの治療方針の決定にも大きくかかわってくるので関心があります。ただし,患者さんの経済的な負担も考慮しなければならないので,クリニックの役割を常に考えつつ,病院と連携することが重要だと考えます」
2011年7月には,厚生労働省が地域医療の基本方針となる医療計画に,精神疾患を加えた「5大疾病」を盛り込む方針を決定しており,認知症症例を多く扱う同クリニックのゲートキーパーとしての役割はますます重要になる。同クリニックでは,今後もECHELON RXを活用して,無症候性脳梗塞や未破裂脳動脈瘤,アルツハイマー型認知症やその前段階とされる軽度認知症(MCI)を確実に診断し,治療につなげていくことで,地域医療の中でのクリニックの役割を果たしていくことだろう。

(2012年1月29日取材)

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なるみ脳神経クリニック
なるみ脳神経クリニック
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TEL 019-626-4141 FAX 019-626-4747
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