シーメンス・ジャパン株式会社

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特別企画

超音波診断装置を支えるニッポンの技術力
富士通セミコンダクター

東日本大震災の被災からの速やかな復旧に対し,シーメンスUS部門ジェフリー・バンディCEOが謝辞を贈る

左からシーメンス・ジャパンのマーク・フリント氏,持田シーメンスメディカルシステムの菊池秀一氏,ジェフリー・バンディ氏,富士通セミコンダクターの町田紳一氏,大川 誠氏。写真の装置は,災害後の迅速な事業継続マネジメント(BCM)により製造され,今後,被災地に寄付される予定である。
左からシーメンス・ジャパンのマーク・フリント氏,持田シーメンスメディカルシステムの菊池秀一氏,ジェフリー・バンディ氏,富士通セミコンダクターの町田紳一氏,大川 誠氏。写真の装置は,災害後の迅速な事業継続マネジメント(BCM)により製造され,今後,被災地に寄付される予定である。

ジェフリー・バンディ氏
ジェフリー・バンディ氏

自動スキャン機能搭載の「ACUSON S2000 ABVS」など,先進的な独創技術と高画質で,高い評価を得ているシーメンスの超音波診断装置。その製品に日本企業の最先端の技術が生かされている。大手半導体メーカーの富士通セミコンダクター株式会社もその代表的な企業の1つ。同社は東日本大震災で岩手,福島,宮城の工場が被災したものの,被害を最小限にとどめ,事業継続マネジメント(BCM)に基づいた対応をすることで部品を供給し続けた。これにより,シーメンスは大きな影響を受けることなく超音波診断装置を製造し,全世界に提供することができている。10月1日には,富士通セミコンダクターの対応に対する感謝の意を込めて,シーメンス超音波診断装置部門トップのジェフリー・バンディCEOが横浜市内の本社を表敬訪問。今後も両社が協力し合い,高性能の超音波診断装置を世界に提供していくことで結束を固めた。

■世界一のスパコン「京」の頭脳にも生きる富士通セミコンダクターのLSI

シーメンスの超音波診断装置に搭載されるLSI
シーメンスの超音波診断装置に搭載されるLSI

世界最速の処理速度を誇る日本のスーパーコンピュータ「京」。その中核となるCPUは,富士通セミコンダクターが製造したものだ。同社の高い技術力と信頼性によって,生み出される半導体製品は,シーメンスの超音波診断装置の高性能も支えている。同社は,画像診断装置として最も重要な技術要素と言える画像処理のLSIをシーメンスに提供しているのである。このLSIは,プローブからのアナログ信号をデジタル化し,ディスプレイに表示するまでの一連の処理を担っている。その特長は高精度,高スピード,なおかつ低消費電力であり,ヘルスケア分野だけでなく幅広い産業分野から高く評価されている。バンディCEOは富士通セミコンダクターとその製品について,「不良品発生率が低く,ヘルスケア企業の立場から見ても,大変信頼できる製品・企業です」と高く評価している。

■震災時の富士通セミコンダクターの迅速な対応に信頼感

ミーティングでは富士通セミコンダクターの事業展開についてプレゼンテーションがあった。
ミーティングでは富士通セミコンダクターの事業展開についてプレゼンテーションがあった。

3月11日の東日本大震災では,同社の岩手,福島,宮城の製造工場が被災。設備や部材の損壊など大きな被害が出た。そのため,シーメンスとしてもLSI製品の調達に支障を来すことが心配されたが,同社は災害時BCMに基づき,一時的に岩手工場の生産を三重工場へ速やかに移し,製品の供給を継続。4月中旬にはインプットベースでの生産能力が震災前の状態に回復するに至り,6月上旬にはアウトプットベースでフル稼働するなど,迅速な復旧を達成した。
同社営業本部の町田紳一副本部長は,「半導体メーカーのほとんどは,生産工場を移すことが難しいのですが,当社は顧客に影響を与えないことを第一に考え,三重工場でも岩手工場の製品と同品質の製造ができるような体制にしていました」と述べている。これを受け,バンディCEOも,「地震発生時からコミュニケーションを図り,情報を提供してくれたため,われわれも装置の製造などの調整がスムーズにできました。その結果,世界中の医療機関に影響を与えることなく,納品することができたのです」と,富士通セミコンダクターの対応を賞賛している。

■今後も協力して,早期のより正確な診断につながる製品を提供

シーメンスは今回の震災で,600万ユーロ(1ユーロ112円換算で6億7200万円)相当の義援金と支援物資を提供した。支援物資には超音波診断装置も含まれており,特にポータブル型の装置が,電力確保の難しい被災地での医療に役立てられたという。バンディCEOは,夫人が日本に在住していたことがあり,心を痛めていると述べた上で,改めて「日本にとって大変悲しい出来事であり,心よりお見舞い申し上げます」と述べた。
さらに,バンディCEOは日本がシーメンスにとっても重要な市場であり,今後もイメージクオリティを重視しつつ,ワークフローを改善するようなソフトウェアやソリューションを提供して,早期のより正確な診断に貢献していきたいと,事業展開について説明した。そのためにも,引き続き富士通セミコンダクターとはコミュニケーションを密にとり,設計の段階から意見を交換して,より良い製品づくりにつなげたいと,さらなる関係強化に言及した。町田副本部長も,「シーメンスの技術革新をサポートする技術力が当社にはあります。両社が力を合わせて,社会に貢献できる仕事をしていきたいです」と力強く語った。

(インナービジョン 2011年11月号掲載)

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