シーメンス・ジャパン株式会社

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別冊付録

MAGNETOM Skyra 3T / MAGNETOM Aera 1.5T
小児医療の中枢を担う専門病院でフル稼働する近未来プラットフォーム 3T/1.5T MRI

国立成育医療研究センター病院

独立行政法人 国立成育医療研究センター病院
独立行政法人
国立成育医療研究センター病院
〒157-8535 東京都世田谷区大蔵2-10-1
TEL 03-3416-0181 FAX 03-3416-2222 http://www.ncchd.go.jp

わが国の小児医療の中枢的,指導的な役割を担う国立成育医療研究センター病院は,臨床現場のニーズにより高い次元で応えるため,旧装置の更新としてシーメンス社の3T MRI「MAGNETOM Skyra」と1.5T MRI「MAGNETOM Aera」を導入した。MAGNETOM Skyra/Aeraは同社の最新鋭のMR装置。オープンボアデザインと,体幹部においても高い静磁場均一性を保持する“True Formテクノロジー”などに加え,第四世代のTim(Tim4G)とMRIの操作環境を一新する“Dot(Day optimizing throughput)エンジン”を融合した近未来のプラットフォームを実現している。放射線診療部では,この2機種を活用して極めて高精細な画像を臨床に提供しているほか,高い性能を生かした臨床研究にも力を入れている。同院におけるMAGNETOM Skyra/Aera導入のねらいと使用経験,将来展望について,放射線診療部の野坂俊介医長,堤 義之医長を中心にお話をうかがった。

野坂俊介 医長
野坂俊介 医長
堤 義之 医長
堤 義之 医長
黒沢秀雄 技師長
黒沢秀雄 技師長
永松洋志 主任技師
永松洋志 主任技師

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診療科の高いニーズに応える最先端の3T/1.5T MRIを導入

国立成育医療研究センター病院は2002年,国立大蔵病院と国立小児病院を統合して開設され,2010年4月から独立行政法人として新たにスタートした。胎児から成人へと成長する過程における継続的な診療はもとより,チーム医療による成育医療のモデル医療,ならびに高度な先駆的医療の提供や臨床研究の推進,専門家の育成などを使命として担っている。これらの高度な医療の根幹を支えるのが画像診断であり,放射線診療部では,最先端の画像診断装置を配備し,放射線科医7名(常勤),診療放射線技師17名の体制で診療にあたっている。例えば,小児の診療において極めて重要な超音波検査については,心臓および産科領域を除き,放射線診断医が超音波検査技師と共同で検査を実施しており,また,心臓や産科領域などの一部の検査を除き,ほぼすべてのモダリティの画像を放射線診断医が読影し,報告書を作成している。放射線診断医と診療放射線技師各1名は,時間外でも当直として常に待機しており,一部の特殊な検査を除き,24時間体制で救急を含む診療にあたっている。さらに,同院の診療は各診療科の医師が緊密な連携を保ちながら行われており,放射線診療部では検査に対する幅広い要求に最大限に応えるべく,柔軟な検査体制を整えている。
こうした状況のなか,同院ではこれまで,1.5T装置と1T装置の2台のMRIを使用していたが,各診療科からMR Spectroscopy(MRS)や拡散テンソル画像(DTI),心臓MRIなどの要望が増加し,また,1T装置では拡散強調画像(DWI)が撮像できない状態だった。そこで,これらの検査ニーズに十分に対応すべく,2010年6月,2台のMRIの同時更新に踏み切った。

3T MRI「MAGNETOM Skyra」 1.5T MRI「MAGNETOM Aera」

成育医療における欧米での実績と高いポテンシャルを評価

更新にあたり,同院では複数のメーカーのMRIを検討し,最終的にシーメンスの3T MRI「MAGNETOM Skyra」と1.5T MRI「MAGNETOM Aera」を選定した。その理由について,堤医長は次のように述べている。
「当院では,他院からの紹介時に添付されてくる各社の小児患者の画像を目にする機会が多く,通常の検討項目に加え,そのような画像の画質評価や欧米の小児病院でのシーメンスMRIの稼働実績,国内外の学会発表なども参考にし,総合的に比較評価してシーメンスのMRIの導入を決めました。小児の場合,MR撮像時に鎮静を行う必要がありますが,3T装置は音が非常に大きいと聞いていましたので,鎮静から覚めてしまうことが懸念されました。しかし,神奈川県立こども医療センターで稼働している同社の3T装置を実際に見学し,音の大きさなどを確認できたことで,運用面での懸念はほとんど解消されました」
候補として,3T MRI「MAGNETOM Verio」と1.5T MRI「MAGNETOM Avanto」を検討していた時期に,最新の機能を搭載したMAGNETOM Skyra/Aeraが発表された。そこで同院では,シーメンスMRIのこれまでの実績を評価し,最新鋭の高いポテンシャルを有する同装置を選定した。
3T装置が臨床稼働を開始した当初は,磁化率効果の増強やSARの増大,RF磁場の不均一といった3T特有の課題が報告されていたが,最近ではその多くが解消されており,複数台の3T装置を導入する施設も珍しくはない。しかし,1台を1.5T装置にした理由について堤医長は,「3T装置は,1.5T装置よりも高いSNRが得られるため,MRAが極めて高画質なほか,化学シフトが大きいことがMRSに有利となるなど,多くのメリットがあります。また,SARなどの3T装置特有の課題についても,さまざまな対策が取られているため,特に心配していませんでした。ですが,音の大きさについては,やはり実際に検査を行ってみないとわかりませんし,胎児MRIや心臓MRIについては,現状では1.5T装置の方が多く用いられているため,実績のある1.5T装置を残しておきたいという思いもありました」と説明する。
特に,乳児などの場合,薬剤を使用せずに自然睡眠の状態で撮像することもあるため,音によるリスクへの対応という,成育医療ならではの特別な事情も考慮された。

“Tim4G”と“Dot”がもたらす次世代のMR検査環境

MAGNETOM Skyraとスタッフ
MAGNETOM Skyraとスタッフ
左から放射線診療部の正木英一部長,野坂俊介医長,
堤 義之医長, 黒沢秀雄技師長,永松洋志主任技師

MAGNETOM Skyra/Aeraは,高機能・高画質でありながら,優れた操作性と高検査スループットを実現する装置として開発され,3T/1.5Tともに同社MRIの最上位機種として位置付けられている。従来のMAGNETOMシリーズとはデザインが一新され,どちらも開口径70cmのオープンボアとなっているほか,MAGNETOM Skyraは173cm,MAGNETOM Aeraは145cmのショートガントリを実現し,より開放的な検査環境を提供している。また,移動型寝台の採用によって,検査室以外での患者さんのセットアップが可能となったほか,コイルはケーブルレスの“DirectConnect方式"や,アタッチメントをスライドさせるだけで設置可能な“SlideConnect方式"が採用されるな
ど,大幅な省力化が図られた。さらに,“Tim4G"と“Dot"という2つの新技術が,画質と検査環境の飛躍的な向上をもたらしている。

●大きな進化を遂げた第4世代Tim "Tim4G"
Timは,複数のコイルを同時に装着することで,全身撮像から部位別の精査までをコイルの付け替えなしに行うことができる画期的なRFコイル技術として,2004年に発表された。その後もさまざまな進化を遂げてきたが,そのひとつの到達点がTim4Gである。
Tim4Gは,コイルエレメントが102個から204個へと倍増し,チャンネル数も従来のハイエンド装置の32チャンネルからMAGNETOM Skyraでは最大128チャンネル,MAGNETOM Aeraでは最大64チャンネルまで拡張可能となった。この超高密度コイルと多チャンネル化により,コイルに制限されることなく全身撮像から部位別の精査まで,従来の局所コイルと同等以上の空間分解能と時間分解能が得られるほか,あらゆるアプリケーションで最大205cmの撮像範囲(FoV)を実現。パラレルイメージングにおいても高SNRを維持することが可能となった。

●優れた操作環境を提供する新操作系エンジン“Dot”
一方,同社の新しい操作系エンジンであるDotには,複雑なMR検査をよりシンプルにする新機能として“オンボードガイダンス機能” “パーソナル機能” “自動化機能”が搭載された。
オンボードガイダンス機能とは,検査の内容に合わせてCardiac Dot,Abdomen Dot,Knee Dot,Brain Dot,Angio Dotなどのガイダンス機能が用意されており,マウスを数クリックするだけで,検査の設定を容易に行うことができる機能である。これにより操作者の技量を問わず,複雑な内容でも常に質の高い検査が可能となる。また,パーソナル機能は,患者さん一人ひとりの状態に合わせて条件設定をカスタマイズし,記憶させておくことが可能な機能で,マウスを数クリックするだけでパラメータの最適化が図られる。さらに,最適な撮像パラメータを自動設定できる自動化機能では,例えば,腹部ダイナミック撮像を行う際に,息止め時間を入力するだけで最適な撮像パラメータが設定されるほか,息止めや撮像,造影が常に最適なタイミングで施行可能となり,正確な造影検査を行うことができる。

開放感あふれるガントリと“syngo”の優れた操作性を評価

MAGNETOM Skyraのコンソール
MAGNETOM Skyraのコンソール

MAGNETOM Aeraのコンソール
MAGNETOM Aeraのコンソール

MAGNETOM Skyra/Aeraを用いた実際の撮像について,診療放射線技師の永松洋志主任技師は,「当初懸念していた3T装置の音については,薬で鎮静をしている場合はほとんど問題ありません。また,操作性については,以前はマウスで行うことが多かったのですが,MAGNETOM Skyra/Aeraではキーボードで数値の変更などが可能になりました。コンソールも,以前の装置ではプランニング画面が若干小さかったのですが,いまは3方向に大きく表示されるので,パラメータカードなどもわかりやすく,とても見やすいです」と述べている。
同院の場合,撮像する患者さんの年齢層が幅広く,症例ごとに条件がかなり異なるため,これまではDotエンジンをあまり使用せず,自由度の高いプロトコルで撮像を行っていたが,Cardiac DotやAbdomen Dotがバージョンアップされたため,今後は腹部の造影検査などで使用していきたいと考えているという。また,永松技師自身は以前,他施設で同社1.5T MRI「MAGNETOM Symphony」の使用経験があるため,同社共通のプラットフォームである“syngo”によって,非常になじみのある操作環境が戻ってきたことも,メリットの1つとして挙げている。
さらに,MAGNETOM Skyra/Aeraのオープンデザインについて,永松技師は,「開口径が広く,ショートボアになり,かつガントリの内部にLEDライトが設置されていて明るいので,狭いところが苦手な患者さんでも上の方を見れば外が見えるため,安心して検査を受けていただいています。成育病院の特徴として,小児だけでなく,経過観察中の成人や妊婦の撮像も行いますので,ガントリ開口径が広いことはその点でも大きなメリットです。また,子どもは第一印象で物事を判断しますので,開放的であることはかなり重要です」と評価している。
このほか,小児の撮像時には,自然睡眠から麻酔科医が行う深い鎮静まで5段階程度の鎮静方法があるが,麻酔科医が鎮静を行う深い鎮静の場合には,患者さんをストレッチャーからMRIの寝台に移し替える必要がある。MAGNETOM Skyra/Aeraでは,移動型寝台により,検査室外での患者さんの乗せ替えが可能で非常に楽になったという。

“Tim4G”がもたらす高画質が小児医療の質の向上に貢献

●2台のMRIによる検査の実際
同院では現在,2台のMRIを用いて月に約270件の撮像を行っており,3T装置での検査はそのうちの約45%を占める。予約枠は1検査あたり30分,2台合計で1日13枠を設けているが,鎮静の状況や撮像領域によっては時間が延長したり,緊急の検査が入ることも多々あるため,同院ではトリアージ担当者が現場との調整を図り,スケジュール調整を行っている。また,地域医療連携の観点から,曜日によっては午前中に他院からの依頼検査を行うなど,MRIは常にフル稼働の状況だという。
撮像領域は頭部が最も多く,次いで脊椎・脊髄や骨盤腔,骨軟部などが続く。各科からの検査への要求レベルは非常に高く,例えば脳神経外科では緊急の検査依頼が多いことに加え,画質についても極めて高い精度が求められる。頭部の術前の血管造影検査は,同院の場合,脳血管疾患以外は行っていないが,MRAやMRV(MR Venography),SAS(surface anatomical scanning)が多いことが特徴の1つとして挙げられる。また症例は,水頭症や,脳腫瘍の術前・術後検査,てんかん,発達障害など多岐にわたる。脊椎・脊髄では,先天奇形の検査依頼が多く,そのほかに,整形領域や四肢,MRCP,MR Urographyの検査が多く施行されている。
なお,これらの検査のうち,胎児や新生児,心臓MRI,鎮静下の患者で音に敏感な小児などは1.5T装置で撮像しているほか,腹部や縦隔領域は1.5T装置で撮像することが多い。それ以外については,装置の空き状況などによって3Tと1.5Tを振り分けている。また,脊髄終糸脂肪腫切除の術前には,T2 SPACEのサジタル像を追加する,体動のある小児の頭部の撮像時には体動補正アプリケーションの"syngo BLADE"を使用し,できるだけ短時間で撮像する,腹部の撮像で息止めができない小児では呼吸同期法の"syngo PACE"を用いて撮像する,などの工夫を行っているという。

●短時間撮像で高SNRが得られる“syngo SPACE”の有用性
これらの検査を行うにあたり,特に有用なアプリケーションとして,野坂医長はsyngo SPACEを挙げている。syngo SPACEは,同社独自の高速三次元撮像法であり,Timとパラレルイメージングを組み合わせることで,関心領域の三次元画像を短時間で得ることができる。実際の画質について,野坂医長は,「syngo SPACEはSNRが高く極めて高画質で,再構成画像も診断に有用です」と高く評価している。
実は,この高いSNRは,Tim4Gの超高密度コイルと多チャンネル化がもたらす極めて大きなメリットであり,高速撮像においても大きな威力を発揮していることがうかがえる。特に小児の場合,撮像対象が成人と比較して小さく,より高精細な画像が求められることから,高SNR画像は診療の質の向上にも貢献していると言える。

●胎児MRI撮像の現状
野坂医長は,胎児MRIの現状について,「胎児MRIは世界的に妊娠中期(second trimester)以降に行うのが一般的であり,当院でもそれに則って施行していますが,基本的に,胎児エコーにて評価困難な疾患が適応になります。主な適応疾患は,横隔膜ヘルニアや水頭症,肺嚢胞性疾患です。例えば肺嚢胞性疾患の場合,診断時と分娩直前の2回撮像して病変の大きさなどを比較し,分娩の様式決定やタイミングを計る際の参考とします。これらの決定は,放射線科医を含む各科の医師が集まって毎週実施されている胎児カンファレンスで行います」と述べている。
一方,同院では胎児MRIの撮像は1.5T装置を用いて行われているが,これについて堤医長は,「SARへの懸念もありますし,海外の施設における3T装置による胎児MRIの報告でも,現在のところ,1.5T装置がより実用的とのことでしたので,当院でも1.5T装置で撮像しています」と説明している。

●診療科からの評価
MAGNETOM Skyra/Aeraの画質や機能に対する各診療科からの評価について,堤医長は,「脳神経外科の医師からは,更新時に要望されていたDTIについて,十分に満足しているとのコメントをいただいています。また,心臓MRIはまだ成人にしか施行していませんが,循環器科の医師からは高い評価が得られています」と述べている。
画質などについては,各科から細かい要望が寄せられるが,それについてはシーメンス社の技術担当者と納得がいくまで検討を重ね,次に同様の症例があったときに役立てていける体制になっているという。

Skyra/Aeraの可能性を引き出し臨床研究を推進

同院にさまざまなメリットをもたらしているMAGNETOM Skyra/Aeraであるが,野坂医長は,国立成育医療研究センター病院では臨床研究にも力を入れていきたいとして,今後の展望とシーメンスへの期待を次のように述べた。
「泌尿器科では現在,MRIを用いて腎機能を定量的に評価したいということで,MR Urographyを応用した検討が始まる予定です。また当院では,2005年から生体肝移植が行われていて,小児の生体肝移植については世界一の施行実績があります。極めて厳密に適応を決定し,かつ高い技術で診療されていますが,その際,肝臓の硬さを評価するのは現状では超音波です。しかし近年,MRエラストグラフィが実用化されつつありますので,シーメンスMRIにもぜひ搭載していただきたいと考えています」
また,黒沢秀雄技師長は,「臨床研究でより多くの成果を挙げるために,シーメンスにはサービスの充実はもとより,国内外の最先端の情報を常に提供していただくなど,今後もさらなるバックアップをお願いしたい」と要望している。
MAGNETOM Skyra/Aeraが持つ高いポテンシャルが,同院の診療と臨床研究にどこまで貢献できるのか,今後の展開が注目される。

(2011年6月17日取材)

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