シーメンス・ジャパン株式会社

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別冊付録

SessionT:Advanced Technologies

座長プレゼンテーション:シーメンス社CTにおけるアドバンテージ

市川勝弘(金沢大学大学院 医薬保健研究域 保健学系量子医療技術学講座)

市川勝弘(金沢大学大学院 医薬保健研究域 保健学系量子医療技術学講座)

Session I では,「Advanced Technologies」として,東海大学医学部付属病院の池田 秀氏よりCT AECについて,また,新潟大学医歯学総合病院の能登義幸氏より,心臓CTにおける時間分解能についてご講演いただく。
講演に先立ち,長年シーメンス社のCT装置を使ってきた経験から,シーメンス社CT装置のアドバンテージについて紹介したい。

良いCT装置,良いCT画像とは,どういったものであろうか。CT装置を,線減弱係数(CT値)を計測する装置と考えると,ピクセルごとに正確なCT値を出すことができる装置,ピクセルごとに正確なCT値を示す画像が良いものと言える。これを実現するためには,高い解像特性,少ないノイズ,少ないアーチファクト,少ないビームハードニングが重要となる。
CTの原理は,何も透過していないX線と人体を透過したX線の比を取って,演算をするだけという,非常にシンプルなものである(図1)。しかし,単純な原理でありながら,正確なCT値を得ることは容易ではない。これには,X線の透過や検出におけるさまざまな問題が関係する。

図1 CT装置における線減弱係数の測定
図1 CT装置における線減弱係数の測定

CT値を正確に測るポイントとして,次の4点が挙げられる。
(1) ビームハードニングを起こさないために,単色X線を用いる。
(2) 散乱線を抑制する。
(3) ノイズを抑えるための,検出器への必要十分な到達線量
(4) 矛盾のないデータ取得(デジタルサンプリング技術)

これらのポイントについて,正確なCT値を出すために,シーメンス社はどのように取り組んできたか。長年,ユーザーとしてシーメンス社のCT装置や技術の進歩を見続けてきた立場からは,次のように考えられる。
(1) 単色X線により近似した作用のある高い線質の採用。また,monoenergetic image(仮想単色エネルギー画像)技術の提供。
(2) 広すぎないビーム幅により,散乱線を抑制する。
(3) 高い線質で十分な透過線量を得る。また,入射したX線をダイレクトにデジタル化して取り出してノイズを低減する“Stellar Detector”の開発や,逐次近似画像再構成法を応用した被ばく低減技術“SAFIRE”によるノイズ抑制処理。
(4) 高分解能・高精査画像を実現する独自の電磁焦点偏向システム“Flying Focal Spot”の搭載
シーメンス社装置は,このようなさまざまな取り組みや,磨かれた技術により,正確なCT値を出すに至っている。
代表的なCTメーカー3社のスキャナを用いて,ブドウ糖水溶液の実効エネルギーとCT値を測定した実験からも,シーメンス社のB装置が,緑の実線の理想値(推定値)に最も近い結果となっていることがわかる(図2)。

図2 実効エネルギーとCT値(ブドウ糖水溶液)
図2 実効エネルギーとCT値(ブドウ糖水溶液)
(東京都保健医療公社豊島病院 中原晶子先生ご提供)

シーメンス社装置のCT画像は,他社のCT画像と“何かが違う”と言われることもある。それでは,後処理によりシーメンス社のCT画像を,他社のCT画像と同等にすることはできるだろうか? その答えは,“Yes”でもあり,“No”でもある。
“Yes”の理由としては,シーメンス社装置では,前述のとおり正確なCT値が得られることから,それを基にさまざまな処理が有効に作用し,多様な画像を作成可能だからである。また,“No”の理由としては,アーチファクトの多い他社の画像を近似することは困難だということである。
それほど,シーメンス社CT装置では,正確なCT値の実現に注力している。

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