シーメンス・ジャパン株式会社

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Technical Note

2011年12月号
US Today 2011—先進技術で極める超音波の未来

US−施行者依存性のない診断情報取得をめざして

斎藤 雅博/平山 秀男
持田シーメンスメディカルシステム(株)マーケティング部

超音波検査は,放射線被ばくがなく,簡便でリアルタイムに情報が得られるのが特長であるが,施行者によって結果が異なることがあるのが課題と言われている。シーメンスがめざすのは,施行者依存性の排除・低減である。そうした中から,最新の3つの技術を紹介する。

■手で押さないエラストグラフィ ─ Virtual Touch Tissue Imaging

図1 Virtual Touch Tissue Imagingによる乳房の濃縮嚢胞の例
図1 Virtual Touch Tissue Imagingによる乳房の濃縮嚢胞の例
内部の軟らかい液状化を反映して高輝度に腫瘍が描出されている。
(画像ご提供:亀田メディカルセンター・ 戸崎光宏先生)

組織の硬さを画像表示するエラストグラフィが,乳腺領域を中心に使われるようになってきた。これは,超音波プローブを軽く押し付けて組織を変形させ,その程度を画像化する手法である。しかし,手動で圧迫する従来の手法では,組織内部の応力の偏りが生じやすく,操作者依存性を内在している。そこで,手で押す代わりに音の放射力を利用する“Virtual Touch Tissue Imaging”を開発した。プローブは体表に固定したままで撮像可能なため,安定したエラストグラフィが得られる(図1)。

■ 組織硬度の絶対数値測定 ─ Virtual Touch Tissue Quantification

図2 Virtual Touch Tissue Quantification による組織硬度測定(肝硬変)
図2 Virtual Touch Tissue Quantification による
組織硬度測定(肝硬変)
ROI内部のshear wave速度が2.66m/sと上昇している(正常肝臓の2倍以上)。
(画像ご提供:群馬大学核医学科・対馬義人先生)

生体内部で横波の弾性波(shear wave)を発生させ,その速度の値を組織硬度の固有値とする。shear wave速度が速いほど,組織が硬いことを意味している。地質調査で実用化されている弾性波探査 法の原理である。シーメンスの開発した“Virtual Touch Tissue Quantification”では,shear waveの発生に収束超音波パルスによる音響放射力の作用(Acoustic Radiation Force Impulse:ARFI)を用い,測定ポイントを1か所に限局することによって,測定の安定性と精度を向上させている(図2)。

■ フルオートの心機能計測 ─ eSie LVA

左室容量・駆出率を正確に計測し,継続してフォローすることは,患者様の予後にとって非常に重要である。3D心エコーを用いれば,左室容量を幾何学的仮定式に基づき計測する2D心エコーよりも,高い精度で容量計測が可能である。しかしながら,心内膜面の正確なトレースは,肉柱や乳頭筋といった心腔内構造物や,アーチファクトによる画像欠損の影響で,施行者の経験に依存するところが大きい。この問題を解決するため,シーメンスは3D画像からの左室容量を自動計測するeSie LVAを開発した。
装置本体には,熟練者によってトレースされた多断面のトレース結果と,それに基づき完成した左室全体にわたるトレース結果がデータベースとして蓄えられている。実際に取得された画像を,データベースに照合させながら,ある特徴的なパターンを探し出し,各断面の抽出やトレースラインを同定させ,左室容量を自動的に計測する。結果を確認し,必要に応じて修正も可能である。
eSie LVAを起動させれば,左室全体の1心周期にわたるトレースが,わずか20秒程度で完了し,時間容量変化曲線と,拡張・収縮末期容積,駆出率などが表示される(図3)。輝度情報だけでなく,データベースを組み合わせ,自動化することで計測結果の施行者依存性を低減させ,再現性・精度を向上させている。

図3 eSie LVAの解析結果の1例
図3 eSie LVAの解析結果の1例
わずか20秒程度で再現性・精度の高い左室容量の計測が可能である(a)。
左室16分画表示にも対応している(b)。

【問い合わせ先】持田シーメンスメディカルシステム(株)マーケティング部
TEL 03-5423-8700 URL http://msm.mochida.co.jp