東芝メディカルシステムズ

別冊付録

東芝CT事業の歩みと今後の展開

今井喜与志
東芝メディカルシステムズ株式会社 CT営業部 部長

■CT開発の歴史

東芝は約30年前,寝台を動かしながら撮影するヘリカルスキャンの開発に着手し,1986年に日・米・欧で特許を取得した(図1)。1回転,1秒で連続回転するスリップリング方式を採用した「TCT-900S」を1985年に市場投入したのがヘリカルスキャンの原点となる。その後,CTは劇的な進化を遂げ,16列CTは1mmスライス厚で全胸部や腹部を撮影可能にした3D CT装置となり,64列CTは冠動脈CT装置となった。
そして,2007年に発表された320列面検出器を搭載した「Aquilion ONE」は,心臓を1回転で撮影するだけでなく,4D撮影をも可能とした。
これらの技術を世に送り出すために,国内の多くの先生方と共に開発を進め,そしていまや,ヘリカルスキャンは国際標準の撮影方式となった。われわれはご協力いただいた多くの先生方に感謝し,また,とても誇りに思っている。

図1 東芝CTの変遷
図1 東芝CTの変遷

■CTの事業戦略

東芝は,すべてのCTを320列面検出器に置き換えようとしているわけではない。現実的にそのようなことは不可能であり,ヘリカルCTは今後も,われわれの事業の根幹であることに変わりはない。ただ,CTを複数台所有する急性期の地域拠点病院では,320列面検出器CTと高性能なヘリカルCTの組み合わせがベストであると考えている。
東芝のCT事業は近年,320列面検出器CTによって得られた技術革新をヘリカルCTに反映させる相乗効果でここまで発展してきた。特に,80列CT「Aquilion PRIME」には,320列面検出器CT「Aquilion ONE」の技術が多く投入されている。
われわれは,320列面検出器CT「Aquilion ONE」をラインナップ化し,また,ベストセラーとなっている16列CT「Alexion」もラインナップ化した。そして今後,事業の根幹をなす究極のヘリカルCTとして,80列CT「Aquilion PRIME」のラインナップ化も予定している(図2)。

図2 TOSHIBA Product CT Line Up 2012
図2 TOSHIBA Product CT Line Up 2012

■被ばく低減への取り組み

標準化された被ばく低減技術“AIDR 3D”をより多くのユーザーに使っていただくことで,日本におけるCTの医療被ばくを一気に半減させたい。この強い意志こそが,東芝CT事業戦略の根幹である。
弊社社長・綱川は2011年10月に開催された「Global Standard CT Symposium 2011」で,「東芝は被ばく低減技術を金儲けの道具に使う気はありません」と述べ,すべての機種に標準搭載することを宣言した。この時,東芝は,低線量撮影技術のさらなる発展をめざし,次の2点を約束している。1つ目は,「最高の低線量撮影技術を開発する」,2つ目は,「開発された低線量撮影技術を一部の施設だけでなく,より多くの施設で使っていただくための努力を惜しまない」。
今でもその活動は続いている。すでに稼働していても,コンソールのCPUが対応可能な装置であれば,すべて無償でバージョンアップすることを決めたが,膨大な数のCTが稼働しており,今でもサービスマンが多くの施設に訪問し,AIDR 3Dのインストール作業を日夜行っている。AIDR 3Dのインストール作業は残すところあと21施設となった。この活動はわれわれのささやかな誇りである。

「Aquilion PRIME」は,“高度な技術を用いた特殊な撮影であることをまったく意識させない”究極のヘリカルCTである。本日は,このAquilion PRIMEを臨床で使われている先生方に,その使用経験をお話しいただく予定である。

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