東芝メディカルシステムズ

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Technical Note

2009年4月号
Cardiac Imagingにおけるモダリティ別技術の到達点

Workstation,Network−動画ネットワークとレポートシステム「CardioAgent」

大江光雄
SI事業部

「CardioAgent」では心カテ画像,ポリグラフ,およびIVUS画像を動画でサーバに保管して配信することができる。さらに動画は専用端末で観察・解析して結果をレポートに記録するほか,電子カルテ端末などでWebにより動画およびレポートを参照することができる(図1)。東芝は,2004年にカテレポートシステムを製品化し,それぞれの病院の要求に応じて徹底的にカスタマイズする方針で対応してきた。その結果,動画ネットワークが200サイト,レポートが100サイトを超え,多くのユーザーに使っていただいている。その経験を踏まえて,最近の状況を報告する。


図1 動画ネットワーク
図1 動画ネットワーク
専用端末では解析,レポート記録をする。それ以外は,電子カルテ端末からWebで動画,レポートを参照できる。

■ 放射線科PACSとの連携(図2)

CT,MRI,核医学などの静止画像は,放射線科PACSで管理される。PACSと動画ネットワークは,相互にWebで連携することができる。これにより,すべての画像を一度に観察することができる。この方式が最も資源効率が良く,運用上満足度の高いシステムである1)


図2 動画ネットワークとPACSの連動
図2 動画ネットワークとPACSの連動
Web相互連携することで,すべての画像を参照できる。

■ 画像保管方法

これまでは,NAS(またはRAID DISK)の価格が高価だったので,1年間はNASに保管し,それ以前の画像はDVDチェンジャから再生する方式であったが,近年NASの大容量化と低価格化により,すべての画像をNASに保管することが可能になった。これにより,すべての画像はNASから瞬時に再生できる。
また,バックアップとしては信頼性が高く,取り扱いが簡単なDVD発行機を採用した(図3)。これは既納サイトでもそのまま増設できるので,データが一杯になったサイトはこの方式で対応している。


図3 画像保管方法
図3 画像保管方法
画像をRAID DISKに保管することにより,すべての画像は瞬時に再生することができる。バックアップとしてDVD発行機でDVDを自動作成する。

■ アラートシステム(図4)

NASはRAID機構であるため,一部分が故障しても稼働できる。しかし,部分的な故障を放置しておくと,致命的な故障につながる。そこで,サーバでエラーが発生すると,サービスセンターに通知するアラート機構を付けている。これにより,ユーザーが気づく前に修理して,安定した運用を保証できる。


図4 アラート機構
図4 アラート機構
サーバでエラーが発生すると,自動的にサービスセンターに連絡がいくので,ユーザーが気づく前に修理ができる。

■ レポートシステム

画像データに加えて,各種計測データ,解析結果を記録し,所見をレポートにまとめる。

1.システム連動(図5)
検査室で発生するポリグラフ,被ばく線量,解析結果などのデータをレポートに取り込む。さらに,看護記録,物品管理は,カテーテル術中にレポート入力する。検査終了後,医師は所見を入力するだけでレポートが完成するので,大幅な時間短縮ができる。


図5 レポートへのデータ取り込み
図5 レポートへのデータ取り込み
カテ室で発生するすべてのデータはレポートに取り込む。

2.電子カルテとの連動(図6)
電子カルテから,患者情報や血液分析のデータを取得する。また,レポートおよび動画は,電子カルテ端末で参照できる。これにより,病院全体で活用できるデータシステムとなる。


図6 電子カルテとの連動
図6 電子カルテとの連動
電子カルテから患者情報を取り込み,レポートを作成する。

3.予約簿(図7)
一般に,オーダリングでは検査日の指定だけで,カテ室の選択や時間を指定できない場合が多い。それに対し,CardioAgentではオーダリング情報にカテ室,カテ順序,術者,スタッフ,特記事項などを部門で追加して,予約簿を作成できる。予約簿は電子カルテにて,カテ室および各病棟で閲覧できるので,カテ室の運用がスムーズになる。


図7 予約簿
図7 予約簿
オーダリング情報に部門で必要な情報を加えて院内配信することにより,カテ室運用が改善される。

4.現行レポートへの対応(図8)
レポートを病院独自で作成して運用している施設は多い。現行レポートを新レポートに組み込むことにより,今まで蓄積されたデータも有効に活用できるようになる。


図8 現行レポートの組み込み
図8 現行レポートの組み込み
現在まで蓄積されているレポートを組み込む。

5.臨床経験の蓄積
レポートシステムは,納入実績が100サイトを超えて,検査モダリティではCT/MRI/核医学/USなどの心臓レポートを開発した。臨床的には循環器内科の虚血,不整脈から始まり,救急部,小児科,心臓血管外科,放射線科,脳神経外科に至るまでの多くの先生方から学んだ。さらに,放射線技師,臨床工学士,看護師などコ・メディカルの方々にも多くのアドバイスをいただき,臨床経験を蓄積した。


以上,動画ネットワークとレポートシステムに関して,東芝の取り組みと最新技術を紹介してきた。コンセプトは運用を止めないネットワークと,対応力のあるレポートシステムである(図9)。今後も臨床サイドに密着して,カテ室業務にかかわるすべての人のサポートができるシステムを提供していきたい。


図9 動画ネットワークとレポートのコンセプト
図9 動画ネットワークとレポートのコンセプト

●参考文献
1) 伊藤久雄 : 大量画像の保管・管理の一元化が日常診療に効果を発揮. 新医療, 36・1, 91〜94, 2009.


【問い合わせ先】 SI事業部