東芝メディカルシステムズ

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Technical Note

2011年9月号
Step up MRI 2011−MRI技術開発の最前線

MRI—Everyday Clinical Useを可能とする,3Tに搭載された技術を中心に

淀 健治
MRI事業部
図1 Vantage Titan 3T
図1 Vantage Titan 3T

東芝MRI装置は,多様化する臨床ニーズに対応し,患者さんにやさしい高度な日常ルーチンを実現するために進化を続けてきた。
本稿では,東芝3T MRI装置「Vantage Titan 3T」(図1)に搭載されている最先端技術を中心に述べる。

●患者開口径71cmのオープンボア

Titanシリーズ(3T,1.5T)では,患者開口径71cmという広い検査空間が実現されている。従来,検査が困難であった,体格が大きな方や側臥位にしかなれない方など,より多くの患者さんに対応できる可能性が広がる。磁石の基本性能は,従来の高性能を維持したまま,傾斜磁場コイルをスリム化するSlimGradient技術により,開放感と高い臨床性能の両立を実現している(図2)。

図2 患者開口径71cmのオープンボアにより検査適応範囲が広がる
図2 患者開口径71cmのオープンボアにより検査適応範囲が広がる

●Pianissimo

当社独自の静音化技術Pianissimoにより,3Tでは大きな問題となる検査時の騒音を低減させている。患者さんがリラックスできる検査が可能である(図3)。

図3 Pianissimoにより,リラックスできる低騒音検査が可能である
図3 Pianissimoにより,リラックスできる低騒音検査が可能である

●Atlas SPEEDER

コイルが寝台に組み込まれたAtlas SPEEDERにより,コイル交換の手間を省くことで検査スループットを大幅に向上できる。コイル本体は,軟らかく軽い構造なので,患者さんへの負担も少なく,患者さんにやさしいスピーディーな日常検査を可能にしている(図4)。

図4  Atlas SPEEDERにより日常検査のスループットが向上
図4 Atlas SPEEDERにより日常検査のスループットが向上

●Conform

磁場の均一領域を,従来の球状から円柱状にするConformテクノロジーを採用している。より広い領域の撮像や,楽な体位での四肢撮像が可能となる(図5)。

図5 磁場の均一領域が円柱状になることで,より広い磁場均一領域が実現されている
図5 磁場の均一領域が円柱状になることで,より広い磁場均一領域が実現されている

●ストレスフリーな架台設計

架台内の壁に沿って快適に通気される架台内送風システムや,後方から明るく照らし,やわらかい空間を演出する架台内LED照明など,検査を受ける患者さんのストレスを軽減する設計を架台の各所に採用している(図6)。

図6 ストレスフリーな設計
図6 ストレスフリーな設計

●2ch,4portの高画質技術"Multi-phase Transmission"

“Multi-phase Transmission"は,送信の位相・振幅を最適にコントロールすることより,人体が入った状態でRF磁場(B1)を均一に制御することができる最先端の技術である。このMulti-phase Transmissionの搭載により,3Tでの濃度ムラおよびスループットが大きく異なる。
その仕組みの1つが2ch送信,すなわち2台の送信アンプである。送信アンプが2台あることで,送信精度を向上させることができる。
2つ目の仕組みが,4port送信。すなわち4つの給電ポイントである。架台内部にある給電ポイント近傍の場所では,RF磁場(B1)は意図した位相・振幅の状態になっている。しかし,給電ポイントから距離的に離れた場所になるほど,挿入された人体の電気的な影響(浮遊容量など)によって,RF磁場(B1)は意図した位相・振幅からずれた状態になってしまう。この物理的な現象が,画像の濃度ムラの原因に加わり画質を劣化させる。そこで給電ポイントの数を増やすことで,人体の電気的な影響をより受けにくい状態を実現し,その結果,位相・振幅のズレを少なくすることができる。つまり,人体が挿入された状態であっても,RF磁場(B1)の位相・振幅を,意図した正確な状態に近づけることができる。
この2ch,4port送信技術によって,従来では課題が多かった躯幹部の撮像でも,特別なプリスキャンを行うことなく,画像の濃度ムラの少ない均一な高画質を得ることが可能になった(図7)。

図7 2ch,4portのMulti-phase Transmission
図7 2ch,4portのMulti-phase Transmission

●新しい操作プラットフォームM-Power

M-Powerは,“簡単に使える高機能"という相反する機能の両立をめざした新しい操作プラットフォームである。日常検査をよりスピーディーに進められるのはもちろん,fMRI,MRS,PWIなどの難しい解析でも,画面に操作手順がナビゲーション表示されるため,容易に処理ができるようになっている。本プラットフォームの使用により,設置施設におけるスループットの大幅な向上が期待される(図8)。

図8 新しい操作プラットフォームのM-Power
図8 新しい操作プラットフォームのM-Power

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【問い合わせ先】MRI事業部 TEL 0287-26-5027