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Technical Note

2010年4月号
Abdominal Imagingにおけるモダリティ別技術の到達点

腹部領域における「AZE VirtualPlace」 シリーズの活用

黒田英隆
マーケティング部

腹部画像診断においては,肝胆膵領域が占める割合は非常に大きく,同領域ではマルチモダリティを用いた診断が行われ,対象となる臓器や疾患,病態に応じて相補的に施行される。近年,画像解析ワークステーションは高速化・多機能化が進み,腹部領域においても多数の画像解析アプリケーションが開発されている。
本稿では,当社の画像解析ワークステーション「AZE VirtualPlace」シリーズの中で,腹部領域における画像解析アプリケーションについて解説する。

■肝臓解析ソフトウェア

“肝臓解析ソフトウェア”は,肝臓の術前シミュレーションや,術後の経過診断などをサポートするソフトウェアである(図1)。このソフトウェアの目的には,術前シミュレーション,生体肝移植ドナーの肝実質の体積評価,肝実質の血管支配領域推定や血管の抽出,生体肝移植時における肝切除後の機能推定,血管結紮後の肝臓ダメージなどの推定,腫瘍の栄養血管の補助観察などが挙げられる。
機能としては,肝臓実質・下大静脈・門脈・肝静脈などのボリュームを算出し,各血管の肝実質における支配領域をセミオートにて抽出可能である。また,肝右葉・左葉区別や亜区域(S1〜S8)別のボリューム計測も可能で,各区域抽出後は自動的に残肝ボリューム値は引き算され,ユーザーの負担を軽減してくれる。
なお,厚生労働省の先進医療の各技術の概要についての71番に,肝切除手術における画像支援ナビゲーションの項目(2010年2月1日現在)があり,肝切除シミュレーションを行うことで安全性の向上に寄与するとしており,その重要度がうかがえる。

図1 肝臓解析ソフトウェア
図1 肝臓解析ソフトウェア

■大腸解析ソフトウェア

厚生労働省の人口動態統計では,わが国の大腸がん死亡率は,女性では2004年から胃がんを抜いてがん死因の1位になり,男性では肺がん,胃がんについで3位となった。術前検査として用いられることが一般的であった大腸3D-CT検査は,大腸がんスクリーニングへの拡大が期待され,これを補助するのに非常に有用なソフトウェアが“大腸解析ソフトウェア”である(図2)。
大腸解析ソフトウェアでは,大腸の自動抽出,フライスルーの自動検索を読み込みと同時に行ってくれるので,ユーザーは読影だけを行えばよい。残渣に埋もれたポリープを観察したいときは,電子クレンジング機能を用い,オリジナルの画像と電子クレンジングした画像を比較して確認することも可能である。また,2体位画像の同時比較が,随時に,かつ,素早く行え(図3),その画面でポリープなど観察したい箇所を指定するだけで,MPR像を簡単に作成でき,その病変の浸潤度を観察することが可能である。
結果の出力機能も充実しており,画像のDICOM保存,動画作成,レポート作成も一連の流れで行うことができる。
当社のネットワーク型ワークステーションを用いれば,大腸の自動抽出からフライスルー自動検索までと,読影を別々の場所で分担して行うことができ,ユーザーの負担を分散することが可能である。

図2 大腸解析ソフトウェア
図2 大腸解析ソフトウェア
図3 大腸解析の2体位同時表示
図3 大腸解析の2体位同時表示

■フュージョンソフトウェア

PETやSPECT画像とCT画像との重ね合わせや,MR画像でシーケンスが異なる画像(T2強調像とディフュージョン画像など)を作成することで,位置情報と血流動態情報を1画像として観察できる(図4)。FOVやマトリックスサイズも自動で合わせることができる。RFA(Radiofrequency Ablation Therapy)治療前後などの評価にも有用で,フュージョンイメージは,RFAの治療範囲が安全マージンを持って焼灼されているかを把握するのに有用である(図5)。また,PET画像を用いた場合にはSUV計測も可能である。
そのほか,腹部領域と直接関係ないが,SPECT画像とCT細血管に特化した“Fusion EXソフトウェア”をリリースした。このソフトウェアはさまざまな機能画像をカラーマッピングすることで,心臓疾患の統合的な情報を明確にわかりやすく表示することが可能となっている(図6)。

図4 造影CTとFDG-PETのフュージョン
図4 造影CTとFDG-PETのフュージョン

図5 RFA治療前後のフュージョン
図5 RFA治療前後のフュージョン

図6 Fusion EXソフトウェア
図6 Fusion EXソフトウェア

■AZE VirtualPlace Premium server

腹部領域では,前述したさまざまなアプリケーションが搭載できるが,当社の「AZE VirtualPlace Premium server」(以下,Premium)を用いれば,端末PCからInternet Explorer等のブラウザ経由で自由自在に本体を遠隔操作でき,端末の機能制限やパフォーマンス低下はない。
通常の3D画像の作成だけでなく,肝臓解析用アプリケーションやPremium本体にインストールされたすべての解析アプリケーションでの処理が,ソフトウェアのインストールや追加ライセンス料を払うことなく行うことができる。
また,クライアントは無制限に接続が可能であり,CT室,MRI室,読影室などの放射線科内だけではなく,院内のどの場所の端末からでも画像解析が行えるシステムになっている(ただし,同時アクセス数には制限あり)。PACS/電子カルテとワンクリックで連携することができ,患者情報を共有することでミスと混乱を防ぎネットワークに安心をもたらす。

図7 Premiumが実現する双方向型のワークフロー
図7 Premiumが実現する双方向型のワークフロー

このようにAZEでは,解析アプリケーションの開発だけでなく,そのアプリケーションを最大限に活用できる,より臨床現場に有用なシステムの開発を行っている。


【問い合わせ先】 TEL 03-3212-7721 FAX 03-3212-7722

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