JRC2012 ziosoft/AMIN Seminar Report  超四次元画像“PhyZiodynamics”テクノロジーによる定量解析の可能性

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JRC2012 ziosoft/AMIN Seminar Report
超四次元画像“PhyZiodynamics”テクノロジーによる定量解析の可能性

聖マリアンナ医科大学放射線医学画像診断部門講師 小林泰之 氏
小林泰之 氏
九州大学大学院医学研究室分子イメージング・診断学講座准教授 長尾充展 氏
長尾充展 氏
愛媛大学大学院医学系研究科医学専攻 生体画像応用医学分野教授 望月輝一 氏
望月輝一 氏

第71回日本医学放射線学会総会が、2012年4月12日(木)〜15日(日)の4日間、パシフィコ横浜にて開催された。 ザイオソフト/アミンは、2日目の4月13日(金)に共催のランチョンセミナー9において、「New Horizon of 4D Imaging〜超四次元画像PhyZiodynamicsテクノロジーによる定量解析の可能性〜」を開催した。セミナーでは、望月輝一氏(愛媛大学大学院医学系研究科医学専攻生体画像応用医学分野教授)を座長として、小林泰之氏(聖マリアンナ医科大学放射線医学画像診断部門講師)、長尾充展氏(九州大学大学院医学研究室分子イメージング・診断学講座准教授)が講演した。講演では、ザイオソフトが開発したスーパーコンピューティング技術によって実現した新しい画像解析技術である“PhyZiodynamics”について、その概要と特徴、さらに心臓領域における機能解析の定量化の可能性について、臨床画像を交えて最新の知見が報告された。講演終了後には、満員の会場から質問も相次ぎ、画像診断に革新をもたらすPhyZiodynamicsへの関心と期待の大きさを感じさせた。

s Report1 PhyZiodynamicsの特徴と展望
聖マリアンナ医科大学放射線医学画像診断部門講師 小林泰之 氏

PhyZiodynamicsは、変形する物体に対して時間軸を追従して正確なレジストレーションを行うことができ、さらに時間軸方向のデータ補完が可能な新しいアルゴリズムである。心臓領域では、変形する心臓に対して1つ1つのボクセルの移動を計算して求めることが可能であり、時間軸方向のデータ補完によって10フェーズのデータから50〜100フェーズの画像を作成することができる。

これによってPhyZiodynamicsでは、1)ノイズリダクションおよび線量低減への応用、2)心筋や血流など動きの解析、3)定量化が可能になる。

PhyZiodynamicsによるノイズリダクションは、ある時相の前後3%、5%、10%のデータを積算して、時間分解能を変えずに画質を改善する。時相の違う画像を積算するため、高い時間分解能を持つCTスキャナが必要になる。図1は、PhyZiodynamicsで再構成した心臓CTのVR画像だが、10フェーズ(左)に比べ50フェーズ(右)では画質が向上しリアリティの高い画像が得られている。

図1 PhyZiodynamicsによる心臓の再構成画像。10フェーズ(左)と50フェーズ(右)
図1 PhyZiodynamicsによる心臓の再構成画像。
10フェーズ(左)と50フェーズ(右)

(動画)

PhyZiodynamics処理によって、画質への影響がないかをファントムを使って検証を行ったところ、くし形ファントムでは形状が補完され、33.5%のノイズ低減効果が認められた。さらに、Low contrast resolutionやHigh contrast resolution(Spatial resolution)についても、画質を担保しながらノイズを低下できる効果が確認された。

実際の症例について、初期の10症例で検討した結果では、大動脈の内部と心筋について、オリジナル画像とPhyZiodynamicsのSD値を比較したところ、30〜34%の改善が認められた。PhyZiodynamicsの画像では、冠動脈のプラークの辺縁まで明瞭に描出され、ボリューム計測においても壁の部分まで明瞭で詳細な計測が可能で、定量化する場合でも有用である(図2)。

図2 PhyZiodynamicsによる画質の改善
図2 PhyZiodynamicsによる画質の改善

CTの被ばく低減方法として、Iterative Image Reconstruction(逐次近似画像再構成法:IR法)が取り入れられているが、PhyZiodynamicsはPost-processing Techniqueであり併用が可能である。IR法は高いノイズ低減効果を発揮し、1.3〜1.5mSvときわめて少ない線量で心拍数に依存しない冠動脈CTを可能にするが、再構成画像のImage Textureが従来と異なり、のっぺりとした印象になることが弱点と言える。PhyZiodynamicsでは、Image Textureを変えずに画質を向上できるが、前後の時相データを使用するため、心臓検査では高い空間分解能と心拍数のコントロールが必要となる。相補的な性格を持つ2つの方法を組み合わせることで、最適な画像が得られるのではないかと考えられる。

そこで、Brilliance iCT(フィリップス社製)で冠動脈検査を行った24例について、FBP、iDose4、PhyZiodynamics、iDose4+PhyZiodynamicsの4つの処理方法で検討を行ったところ、FBP群ではSD値が30〜35、iDose4とPhyZiodynamics単独群では、それぞれ25程度に改善し、両者の併用群では10〜20まで低下した。図3は、iCTのStep&Shootで撮影した心拍数56の症例の3D再構成画像について、FBP(左)とiDose4(右)に、それぞれにPhyZiodynamicsを応用したものである。画像処理はすべて同条件で自動処理を行っているが、PhyZiodynamicsを用いた場合には末梢まで連続した血管が描出されていることがわかる。しかし、心拍数が80を超えた症例では、PhyZiodynamicsを適応しても効果は得られない。より少ない線量での冠動脈検査を行うためには、IR法、Low kV、βブロッカーなどとともにPhyZiodynamicsを適応することで高い効果が得られると考えられる。

図3 逐次近似法とPhyZiodynamicsによる低線量撮影
図3 逐次近似法とPhyZiodynamicsによる低線量撮影

PhyZiodynamicsのもうひとつの特徴であるQuantification(定量化)では、われわれはMRIで使用しており、タギングデータによって求められた心筋のストレイン解析への応用が期待される。タギングMRIの処理法であるHARPとも高い相関が得られている。われわれは、PhyZiodynamicsのストレイン解析を用いて関節リウマチ患者の心機能評価を行っているが、視覚ではなく定量化されることで新たな知見を得られる可能性を秘めているといえる。

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s Report2 PhyZiodynamicsによる虚血心筋や心同期性障害の定量化の試み
九州大学大学院医学研究室分子イメージング・診断学講座准教授 長尾充展 氏

PhyZiodynamicsでは、心筋の任意の位置にROIを設定して、その部分のdisplacement/velocity/accelerationが測定できる。

心筋の局所の壁運動の評価では、タギングMRIによるストレイン解析が行われている。シネMRIでタグを付加したデータの解析によって局所壁運動を評価するもので、心不全症例などで心筋のストレインカーブからDyssynchronyの有無などの解析を行う。心臓CTデータを基にしたPhyZiodynamicsによって、タギングMRIと同様の解析が可能ではないかと考え、タギングMRIとPhyZiodynamicsの両方を行った症例で比較検討した。

図4は、20歳代の拡張型心筋症で心移植待機、左室補助装置(LVAD)装着の重症の心不全の症例である。PhyZiodynamicsによるDisplacementの解析結果では、中隔と前壁の動きが悪く、中隔の収縮のタイミングが遅れること、側壁と下壁側は良好な動きがあることがわかり、タギングMRIの結果とよく一致した。

図4 PhyZiodynamicsによる拡張型心筋症の解析結果
図4 PhyZiodynamicsによる拡張型心筋症の解析結果

図5は、心房中隔欠損(ASD)・Eisenmenger症候群の症例だが、右心が肥大し左心が圧排され中隔が左心側に変位しており、PhyZiodynamicsの画像では中隔の特徴的な動きと右心に圧排されて左心容量が低下している様子が観察できる。PhyZiodynamicsで局所の壁のvelocity、タギングMRIのRadial strainの結果を比較したところ、中隔のvelocityが高いこと、左心の前壁の動きが少ないことなど両者の解析結果が一致し、PhyZiodynamicsの信頼性が高いことが確認できた。

図5 PhyZiodynamicsによる心房中隔欠損・Eisenmenger症候群の解析結果
図5 PhyZiodynamicsによる心房中隔欠損・Eisenmenger症候群の解析結果

さらに、ASDと拡張型心筋症は、特徴的な右心不全と左心不全であることから、この2症例について心筋の速度(Velocity)をPhyZiodynamicsで解析した(図6)。ASD(左)では左室の縦壁が最初に収縮してから、中隔のピークがくるという左室不全の特徴を示している。拡張型心筋症についても、先に中隔が収縮してから、少し遅れて左室の縦壁のピークがくるというDyssynchronyのパターンを示していることがわかる。また、右室については、壁が薄く視野が狭いためこれまでMRIや超音波でも把握することが難しかったが、PhyZiodynamicsでは速度を含めて局所機能が解析できている。

図6 右心不全と左心不全のVelocityの比較
図6 右心不全と左心不全のVelocityの比較

図7は、左冠動脈の前下行枝(LAD)を責任病変とする広範囲の梗塞が認められる症例について、AHA(米国心臓協会)による心筋の17セグメントのTime-displacement curveを示したものだが、収縮のタイミングの分布のSDは3.0で、正常例の1.2に比べてバラツキがあることがわかる。PhyZiodynamicsでは、動きの解析によってDyssynchronyのほか、虚血の検出や心筋のバイアビリティの評価についても応用できるのではと期待している。

図7 冠動脈疾患のPhyZiodynamicsによる解析結果
図7 冠動脈疾患のPhyZiodynamicsによる解析結果

PhyZiodynamicsによる解析には、心周期の全時相のデータが必要であり、被ばくへの考慮が求められる。九州大学病院では、iCT(256スライス)を使用しルーチンで100kVの低電圧撮影とiDose4を用いて、成人(60〜80kg)で7〜8mSvの実効線量での撮影が可能になっている。さらに、60kg以下の女性など小柄な場合には、80kVで4〜5mSvの低線量で撮影できる。

PhyZiodynamicsによる、心筋の局所のVelocityやdisplacementの定量結果は、タギングMRIのストレイン解析結果と高い頻度で一致した。今後、心臓同期性障害や虚血心筋の検出など、さまざまな可能性がある解析方法として期待される。

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(インナービジョン2012年6月号掲載)

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