石心会川崎幸病院  高度急性期医療に特化した新病院のステントグラフト治療、心臓MRIを支援する3Dネットワーク 術前プランニングや心機能の定量評価にziostation2を活用

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高度急性期医療に特化した新病院のステントグラフト治療、心臓MRIを支援する3Dネットワーク
術前プランニングや心機能の定量評価にziostation2を活用

石心会川崎幸病院

2012年6月に新病院での診療がスタートした川崎幸病院は、24時間365日体制での“断らない”救急医療を展開する(10月号Part1参照)と同時に、脳血管センター、心臓病センター、川崎大動脈センター、消化器病センターなど専門センターを設置し、3つの血管撮影室(全身用1、循環器用2)、血管内治療と外科的手術に柔軟に対応可能なハイブリッドORシステムの導入など、急性期における高度な医療を提供できる体制を整えた。Part2では、大動脈瘤に対するステントグラフト治療に取り組む放射線IVR科でのziostation2の活用と、心臓MRI検査への取り組みを中心にレポートする。

ziostation2をステントグラフト術前の血管計測に活用
ziostation2をステントグラフト術前の血管計測に活用
MR心機能解析でシネ、遅延造影の解析を実施
MR心機能解析でシネ、遅延造影の解析を実施

[年間150件の胸部・腹部ステントグラフト治療を実施]

西村潤一 部長
西村潤一 部長

放射線IVR科は、胸部・腹部のステントグラフト留置術や閉塞性疾患などの血管内治療や悪性腫瘍への低侵襲治療を、川崎大動脈センターや消化器病センターと連携して行っている。同科の西村潤一部長は、「現在は、大動脈センターと共同で行う大動脈瘤に対するステントグラフト治療が多く診療の中心になっています。今後、交通外傷や悪性腫瘍の低侵襲治療にも対応していく予定です」と説明する。胸部・腹部の大動脈瘤に対しては、川崎大動脈センターと連携してIVR科が中心となってステントグラフト治療を行っている。西村部長は、「大動脈センターでは、多くの大動脈疾患を扱っていますが、胸部は心臓外科による手術が多く、ステントグラフト治療は腹部が中心です。年間150件ペースで、うち腹部が8〜9割です」と言う。
ステントグラフトは、通常はIVR医3名、心臓外科医1名、麻酔科医1名、看護師1、2名、診療放射線技師1名の体制で行われる。10月からはIVR医が1名増え4名体制となるが、増員後は2名2チームの体制で進めたいと西村部長は言う。「これまでもステントグラフトの手技中に緊急アンギオの要請があり対応が必要なケースがありました。今後は2チームの体制で緊急時にも対応できる体制を考えています」

[ziostation2を利用して術前の大動脈計測を行う]

新病院では、3つの血管撮影室、ハイブリッドOR室にziostation2のフル機能クライアント端末(VGR)が設置されており、術前に作成した3D画像を確認しながら手技が行えるようになっている。
同院では、ステントグラフト術前の動脈瘤の計測に、ziostation2を活用しており、西村部長が自らziostation2を使って3D画像の作成と計測を行っている。計測には、標準搭載の3D解析の血管計測機能を用いて、3D画像を作成し目的の血管のパスを抽出させ、任意の2点間の距離や短軸MPR画像上で血管径の計測を行う。西村部長は、「ステントグラフト治療では、術前に動脈瘤の大きさや血管径を把握して、適切なステントグラフトを準備することが必要です。術前には詳細な3D画像は必要なく、血管と瘤のイメージが把握できる画像が素早く得られることが大切ですが、ziostation2では再構成画像がほとんど一瞬で表示され、計測も簡単に行えます」と使い勝手を評価する。
西村部長は、以前からのザイオソフトのワークステーションのユーザーで、ExaVisionやzioTermなどを血管計測に使ってきたという。「ステントグラフトを自作していた頃は、3DWSを使ってMPRから直行断面を取って血管径や動脈瘤を計測して作成していました。それに比べると現在は、血管のパスの抽出から計測まで自動化されていますので、非常に楽になりましたね」
IVR科では今後、ステントグラフト以外の血管内治療やラジオ波焼灼療法や塞栓術など悪性腫瘍に対する低侵襲治療にも積極的に対応していく予定だが、西村部長は「穿刺の方向や治療範囲の決定などにziostation2を活用していきたいですね」と期待を語っている。

血管撮影室(左)、ハイブリッドOR(右)にVGR端末を設置し3D画像を活用
血管撮影室(左)、ハイブリッドOR(右)にVGR端末を設置し3D画像を活用
血管撮影室(左)、ハイブリッドOR(右)にVGR端末を設置し3D画像を活用

[MRI2台体制で救急から心臓検査まで対応]

中 孝文 主任
中 孝文 主任

同院では、2台のMRI(フィリップス・Ingenia1.5T、GE・SIGNA EXCITE HD 1.5T)が稼働している。1日の検査件数は平均30〜40件。うち時間外は6〜7件で、脳梗塞疑いに対する緊急検査が多い。急性期脳梗塞の診断では、CTに続いてMRIによるディフュージョン/パフュージョンミスマッチによって梗塞の範囲を同定することが求められるが、同院では当直の時間帯でも、頭部のMRパフュージョンの撮像まで対応できるようにしている。放射線科でMRIを担当する中孝文主任は、「救急での脳梗塞の診断は、1秒でも早い検査が必要ですので、診療放射線技師は全員が対応できるように訓練しています。当院では、救急を断らないことをモットーとしていますが、MRIも例外ではなく予約外でもすべて対応しています」と説明する。

[ziostation2のMR心機能解析、冠動脈解析を活用]

MRIの通常の検査では、頭部、脊椎系の件数が多く、ほかに乳腺、心臓、肝臓、前立腺などを行う。新病院では、心臓センターと連携してMRIによる心臓解析に本格的に取り組む体制を整え、心臓検査に対応したMRIを導入し3DWSにも心臓解析機能を搭載した。心臓MRI検査では、心筋症や急性心筋梗塞のPCI後のフォローアップでMRIによる造影検査を行い、ziostation2による心臓解析を行っている。心筋の機能解析では、左室解析を行うためのシネ撮像、T2のblack blood、安静時のパフュージョン、遅延造影(LGE)を行うが、このうちシネとLGEによる心筋障害の解析をziostation2のMR心機能解析2で行っている。中主任は、MR心機能解析について、「スムーズに解析できています。心筋の内膜と外膜のトレースについても、輪郭線の自動抽出の精度が高く、素早く処理できます。解析など処理にかかる時間も速く、1日に複数の解析を行う場合にも助かっています」と言う。
さらに、「画像診断にも定量評価が求められるようになっていますが、左室機能解析ではブルズアイマップでAHAに準拠した17セグメントに分類し、セグメントごとに壁厚や壁運動を数値で計測することができます。遅延造影の情報とあわせて提供することで臨床科から評価いただいています」とziostation2によるMR心機能解析に期待する。
また、CTのヨード造影剤のアレルギーや高度な石灰化のある症例などでは、MRIによるWhole Heart Coronary MRAを実施しているが、ziostation2のMR冠動脈解析2を用いて冠動脈の抽出、CPRの作成などを行っている。
同院では、先進画像処理技術である“PhyZiodynamics”を試験運用している。心臓検査におけるノイズリダクションや、4D機能を利用した腸管の蠕動運動の動態評価などに適用し評価を行っている。石田和史診療放射線技師(Part1参照)は、心臓検査への適用について「体格が大きく線量が不足するようなケースや、ステント内のプラーク診断などで、PhyZiodynamicsのノイズリダクション効果による診断能の向上に期待しています」と説明する。また、MRIによる心臓解析への期待について、中主任は「PhyZiodynamicsを使ったストレイン解析にトライしたいと考えています。MRによるストレイン解析は、心臓検査を進める上で重要なオプションになると思いますので製品化に期待しています」と述べている。

■ ziostation2によるステントグラフト術前血管計測

ziostation2の3D解析による血管計測
ziostation2の3D解析による血管計測
胸部大動脈瘤症例の3D再構成画像
胸部大動脈瘤症例の3D再構成画像

■ MR心機能解析2による心機能解析

MR心機能解析2のシネMR画面
MR心機能解析2のシネMR画面
MR冠動脈解析2の画面
MR冠動脈解析2の画面
 PhyZiodynamicsの技術を取り入れ精度の高い壁の自動抽出を行う(左)。 17セグメントによるブルズアイマップ(右)
PhyZiodynamicsの技術を取り入れ精度の高い壁の自動抽出を行う(左)。
17セグメントによるブルズアイマップ(右)

(2012年9月7、13日取材)

社会医療法人財団石心会 川崎幸病院
社会医療法人財団石心会 川崎幸病院
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(インナービジョン2012年11月号掲載)

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