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クラウドとモバイル時代に解き放たれる3Dの無限の可能性

【月刊インナービジョンより転載】

■大阪大学医学部附属病院での「ZIOSTATION」マクロ機能の活用法
─マクロで血管病変の画像処理を最適化する

大阪大学医学部附属病院放射線部 圓尾 浩康

血管性疾患や腫瘍性疾患,臓器移植での術前CT検査では血管走行を含めた解剖学的情報はきわめて重要であり,MIP画像やVR画像によって評価が行われる。以下,当院での経験をもとに,ザイオソフト社製ワークステーション「ZIOSTATION」のマクロ機能の活用法について述べる。
上記のCT検査は,Aquilion ONE(東芝メディカルシステムズ社製)を使用し,スライス厚0.5mm,スライス間隔0.5mm,3D量子フィルターを用いて再構成を行った後に,ZIOSTATIONに転送し,三次元(3D)画像の作成を行っている。これまで1症例の3D画像を作成するのに20〜30分程度を要していたのが,ZIOSTATIONの「マクロ機能」を用いて3D画像作成を最適化することで,ワンクリックのみのシンプルな処理では1分程度,骨除去などの複雑なマニュアル操作があっても15分以内で3D画像が完成する。このため,画像処理の大幅な時間短縮が可能となった。

当院のZIOSTATIONはバージョンアップによって「マクロ」や「パレット」などの新機能が追加された。その「マクロ機能」とは,VR画像を作成するために必要な骨除去やスラブMIP表示などのレイアウト選択,背景色の適用などの一連の操作を自動実行することで,今までの複数操作がワンクリックのみで可能となる機能である(図1)。この機能の優れた点は,普段ワークステーションを使う機会が少ない医師や診療放射線技師でも,ワンクリックのみで高品位な3D画像の作成を行えることである。マクロの実行速度も高速化が図られており,体幹部や四肢の血管評価の際,非常に便利である(図2,3)。また,マクロ化された処理が実行されている間は,ワークステーションの前から離れて他の業務を行うことも可能である。

図1 a:グラフィカルユーザーインターフェース。←で示すボタンをクリックする ことで,マクロ機能を呼び出すことができる。このマクロ機能の追加によって操作性が向上し,ワンクリックでMPR画像とVR画像,MIP画像を表示することが可能になった。さらにMIP画像とVR画像をリンクさせ,同じ角度で表示することができるので,前後の位置情報が失われるMIP画像も,VR画像で位置情報を確認しながら観察することができるようになった。 b:マクロ内部。マクロ機能は,さまざまな処理を任意に組み合わせることができる。ここに登録されている機能のすべてが,左から順番に自動的に実行される。
図1
a:グラフィカルユーザーインターフェース。←で示すボタンをクリックする ことで,マクロ機能を呼び出すことができる。このマクロ機能の追加によって操作性が向上し,ワンクリックでMPR画像とVR画像,MIP画像を表示することが可能になった。さらにMIP画像とVR画像をリンクさせ,同じ角度で表示することができるので,前後の位置情報が失われるMIP画像も,VR画像で位置情報を確認しながら観察することができるようになった。
b:マクロ内部。マクロ機能は,さまざまな処理を任意に組み合わせることができる。ここに登録されている機能のすべてが,左から順番に自動的に実行される。

図2 閉塞性下肢動脈疾患のVR画像 マクロ機能のみで作成されたVR画像で,右下腿の動脈三分枝の近位側に約2cmにわたる閉塞を認めることができる(作成時間50秒)。
図2 閉塞性下肢動脈疾患のVR画像
マクロ機能のみで作成されたVR画像で,右下腿の動脈三分枝の近位側に約2cmにわたる閉塞を認めることができる(作成時間50秒)。

図3 腎動脈瘤のVR画像 マクロ機能で作成した複数の画像(血管,骨および腎臓)を重ね合わせて表示した画像。右腎門部に長径2.6cmの壁の石灰化した動脈瘤。右腎動脈背側枝起始部のwide neckの動脈瘤,右腎動脈腹側枝末梢に径8mm,左腎動脈末梢にも径6mmの動脈瘤も認める(作成時間10分)。
図3 腎動脈瘤のVR画像
マクロ機能で作成した複数の画像(血管,骨および腎臓)を重ね合わせて表示した画像。右腎門部に長径2.6cmの壁の石灰化した動脈瘤。右腎動脈背側枝起始部のwide neckの動脈瘤,右腎動脈腹側枝末梢に径8mm,左腎動脈末梢にも径6mmの動脈瘤も認める(作成時間10分)。

VR画像の仕上げ段階には,多角形ツールでの整形やカラーの微調整を行うが,これも通常よく使用するツールを自分が使いやすいよう「パレット」に登録しておくことができるので,効率化が図れる(図4)。これらの機能を使い込んでいくことで,3D作成の目的や部位などに最適化されたユーザー好みの環境を簡単に構築することができる。将来,VRの加算などの操作もマクロ化できるようになれば,さらに複雑な手の込んだ画像をワンクリックで作成することができるようになるだろう。

図4 パレットのカスタマイズ例 筆者がアレンジしたパレット。スタッフから使いやすいと好評を得ている。
図4 パレットのカスタマイズ例
筆者がアレンジしたパレット。スタッフから使いやすいと好評を得ている。

(2009年10月号)

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