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取材報告

2011
フィリップスエレクトロニクスジャパン
フルデジタルMRI「Ingenia3.0T」の国内第1号機が東海大学医学部付属病院で稼働

高原太郎氏(東海大学工学部医用生体工学科教授)
高原太郎氏
(東海大学工学部医用生体工学科教授)

小山克彦氏(マーケティング本部IS統括部部長)
小山克彦氏
(マーケティング本部IS統括部部長)

門原 寛氏(マーケティング本部MRビジネスマネージャー)
門原 寛氏
(マーケティング本部
MRビジネスマネージャー)

  フィリップスエレクトロニクスジャパンは,昨年のRSNAで発表した新しいMRI「Ingenia(インジニア)3.0T」の国内第1号機が,東海大学医学部付属病院で稼働したことに伴い,5月26日(木),本社(東京都港区)内で製品概要の説明と,製品の開発にも携わった高原太郎氏(東海大学工学部医用生体工学科教授)によるIngenia3.0Tの臨床有用性についての講演による記者説明会を開催した。

  Ingeniaシリーズは,世界で初めてフルデジタル化を実現したMRIで,昨年のRSNAで発表され,国内では2011年2月24日に薬事承認を受けた。1.5Tと3.0Tがラインナップされているが,5月上旬に,日本のみならずアジア太平洋地域での第1号機となるIngenia 3.0Tが,東海大学医学部付属病院に納入された。全世界では5台が稼働中とのことだ。

  説明会では,最初にマーケティング本部IS統括部部長の小山克彦氏が,「フィリップスのマーケティング戦略について」説明し,Ingenia3.0Tはフィリップスが提唱する「Imaging2.0(イメージング・トゥー・ドット・オー)」のコンセプトを実現したMRIであり,次世代の3T装置であると紹介した。

  続いて,マーケティング本部MRビジネスマネージャーの門原 寛氏が,Ingeniaの技術的な革新性についてポイントを説明した。Ingeniaでは,従来は機械室などに設置されていたアナログデジタル変換器(ADC)をチップ化して,コイル自身の内部に統合することで,アナログ信号のケーブル伝送による信号減衰をなくし,ノイズや歪みのない高い伝送効率を実現した。この「dStream」技術によって信号強度比(SNR)が最大40%向上し,検査時間の短縮が可能になると述べた。ADCを含めたチップの開発には,高集積化やMRIの膨大なデータ処理が可能な能力,磁場への対応などが必要で,日本の企業との共同開発で製品化が可能になったという。

  高原氏は「Ingenia の革新性および臨床有用性について」と題して講演した。高原氏は,Ingenia3.0Tの特長として,(1)70センチのWide Bore,(2)200センチの広い撮像範囲,(3)コイルのセットアップが容易になるSmartSelect(自動コイル選択),(4)SNRを40%改善するDigital Coil,(5)SENSEを改良し拡散強調画像の歪みが抑えられる高速撮像技術dS SENSE,の5つを挙げた。これによって,検査の際のコイルのセッティングなどの時間が短縮され検査ミスがなくなり,患者さんの負担の少ないスムーズな検査が可能になる。また,高原氏が以前から取り組んできたがんのスクリーニングをMRIで行う全身拡散強調画像(DWIBS)が,ルーチン検査として行える可能性が出てきたと述べた。DWIBSは,これまで撮像時間がかかるため簡単に検査をすることが難しかったが,全身をカバーする広い撮像範囲と,SNRの向上と歪みの減少で撮像時間が従来の30分から7分程度に短縮でき,忙しい日常検査の中でも対応可能になるとした。高原氏は「DWIBSでは,PETによる全身スクリーニングに比べて,被ばくや注射の必要がなく1/7程度のコストで全身のがんの検索が行える。Ingenia3.0Tでは高画質での高速撮像が可能で,冠状断の撮像を行うDirect Coronal Scanによって,さらなる撮像時間の短縮にもトライしている。今後,Ingenia3.0Tを含めてDWIBSの多施設共同試験などにも取り組んでいきたい」とIngenia3.0TによるDWIBSへの期待を述べた。


●問い合わせ先
(株)フィリップスエレクトロニクスジャパン
ヘルスケア事業部
お客様窓口
TEL 0120-556-494
http://www.healthcare.philips.com/jp/


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