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取材報告

2012
日本超音波医学会第85回学術集会開催
機器展示には26社が出展し,最新技術をアピール

  2012年5月25日(金)〜27日(日)の3日間にわたり開催された日本超音波医学会第85回学術集会では,会場のグランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)の国際館パミール3階に機器展示会場が設けられた。会場には26社が出展。エラストグラフィや,CT,MR画像とのフュージョン機能,穿刺ガイド機能など,診断,治療支援において進化が著しい超音波診断装置の最新技術が紹介された。

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■機器展示(順不同)

GEヘルスケア・ジャパン / 東芝メディカルシステムズ / 日立アロカメディカル / 持田シーメンスメディカルシステム /
フィリップスエレクトロニクスジャパン / 富士フイルムメディカル / キヤノンマーケティングジャパン /
フィブロスキャン / サムスンメディソンジャパン


GEヘルスケア・ジャパン

GEヘルスケア・ジャパンは,汎用「LOGIQ」,循環器用「Vivid」,産婦人科など向け「Voluson」の各シリーズで豊富なラインナップを持っているが,今回はそれぞれのハイエンド装置を展示し,その最新機能を紹介した。LOGIQシリーズ最上位機種のLOGIQ E9では,リアルタイムにCTやMRIの画像を表示しながら検査や治療を行うことができる“Volume Navigation”機能を用いた穿刺アプリケーションを紹介した。その1つである“Virtu TRAX”は,10〜17Gの針の根元にセンサーを取り付け,針先の位置をセンサーで読み取り画像を表示しながらRFAなどの手技を支援する機能である。従来同社は“Needle Tracking”という同様の機能があったが,これは針先にセンサーがあるため,針のサイズに制約がありRFAには適用できなかった。

Vividシリーズでは,最上位機種の「Vivid E9」のほか,中国市場向けに開発され,世界的に展開されている「Vivid e Expert」が展示された。また,Volusonシリーズも最上位機種の「Voluson E8」を展示。胎児鏡のように胎児を画像化する“HD Live”表示を紹介していた。

このほか,整形外科・リウマチ科,麻酔科向けのコンパクトで,タッチスクリーン操作対応の「Venue 40」シリーズや,国内1000台納入を短期間に達成した「Vscan」を展示していた。さらに,ヘルスケアITに関連して,超音波ワークステーション「ViewPal6」を展示し,周産期医療連携ネットワークの事例を紹介していた。

LOGIQ E9
LOGIQ E9
Virtu TRAX
Virtu TRAX
Voluson E8のHD LIve表示
Voluson E8のHD LIve表示
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東芝メディカルシステムズ

東芝メディカルシステムズは2011年に発売を開始した「Aplio500/300」を中心に展示を行った。高画質化を図った新処理エンジン“High Density Beamforming”などの新プラットフォームを採用している。注目の技術としては,超音波診断装置としては世界で初めてとされる“Fly Thru”機能が紹介された。これはボリュームデータを再構成して,仮想内視鏡のような画像で胆管などの壁を観察するものである。また,超音波画像と連動して同じ断面のCT・MRIの画像を表示する“Smart Fusion”機能も紹介していた。

ブース内では,このSmart Fusionに対応したプローブ2機種も合わせて展示された。1つは穿刺用マイクロコンベックスプローブの「PVT-382BT」で,穿刺をする際にブラインドができないよう工夫されている。もう1つは東京大学の椎名秀一朗氏と共同開発したもの。穿刺角度を4角度設定できるなど手技を支援する。

Aplio500
Aplio500
Aplio300
Aplio300
Smart Fusion対応のプローブ2機種
Smart Fusion対応のプローブ2機種
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日立アロカメディカル

日立アロカメディカルは,今回の学術集会に先立つ5月23日に,最新型の超音波診断装置「Noblus」を発表し,会場内でも展示した。同装置は検査室以外での利用を想定して開発。ノートPC型の装置本体と搭載台を組み合わせて,柔軟な運用ができる。“Ultra BE”による高画質化を図ったほか,“Real-time Tissue Elastography”などの機能を搭載している。また,外観も操作パネルを跳ね上げて保管できるなど,省スペース化を図っている。バッテリ駆動で,ワイヤレスDICOMにも対応しており,施設内でフレキシブルな運用ができる。

このほか,今春発表したルーチン検査向けの「F37」も展示した。コンパクト設計で,中小規模病院や診療所など設置スペースの限られた医療機関に適した装置。初心者でも扱いやすい装置をめざして開発されており,操作パネルのボタン類の数を減らし,わかりやすく配置するなどの工夫が施されている。

同社の展示ブースでは,ハイエンド装置の「HI VISION Ascendus」が展示されたほか,クリニックソリューションコーナーを設けて,F37と電子カルテ,日立メディコ社のPACS「ImageConcier」を連携させた運用を紹介した。

Noblus
Noblus
F37
F37
HI VISION Ascendus
HI VISION Ascendus
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持田シーメンスメディカルシステム

持田シーメンスメディカルシステムは,「ACUSON」シリーズのラインアップの強化を図っている。今回は,主力である「ACUSON S3000/S1000」,従来から展開している「ACUSON S2000」のS Family製品をメインに展示を構成した。新機種であるACUSON S3000は,S Familyのハイエンド装置。カーソルを合わせた関心領域の組織の硬さの定量情報を容易に測定できる“Virtual Touch IQ”を搭載している。S3000は,このほかにも術者に依存しないエラストグラフィが可能な“Virtual Touch Tissue Imaging”や,組織硬度の絶対数値を測定する“Virtual Touch Tissue Quantification”なども可能である。

もう1つの新機種ACUSON S1000は,S Familyのベーシックモデルであり,S2000の基本性能を搭載しつつ低価格を実現している。エラストグラフィや産婦人科,循環器領域など幅広い検査に対応する。

このほかに自動スキャン機能を搭載した乳房検査専用の「ACUSON S2000 ABVS」なども来場者の関心を集めていた。

ACUSON S3000
ACUSON S3000
ACUSON S1000
ACUSON S1000
ACUSON S2000 ABVS
ACUSON S2000 ABVS
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フィリップスエレクトロニクスジャパン

フィリップスエレクトロニクスジャパンは,xMATRIXを搭載した循環器向けの「iE33」や「iU22」などを中心に展示した。

最新型のプローブ「X5-1」は,従来製品と同じ大きさながら,リアルタイムの3Dを可能としている。以前は,ルーチン検査後にプローブを持ち変える手間がかかっていたが,簡単なボタン操作でそのまま3D検査を行うことができる。

同社がPRしていたもう1つのプローブ「X6-1」は,9212の撮像素子を持ち,分解能の高いBモード画像を得ることが可能。また,3Dや4Dのデータをボリュームで撮影できるので,短時間で動きの影響のない高画質画像が得られる。

iE33
iE33
X5-1
X5-1
X6-1
X6-1
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富士フイルムメディカル

富士フイルムメディカルは,「FAZONE M/Brain」と「FAZONE CB」の2本柱を展示した。両機種ともに,独自の“ZONE Sonography”技術による高速データ収集と高画質を図っている。FAZONE Mは,重量が2.5kgというコンパクトさが特長。20秒で起動でき,ベッドサイドや在宅といったケースでフレキシブルに使用できる。液晶モニタ搭載カートなどと組み合わせたシステムも展開しており,施設のニーズに応じた構成が可能である。

FAZONE CBは,12インチのLCDモニタを採用したノートPC型の装置。大型ボタンやタッチパネルを採用し,シンプルなレイアウトとわかりやすい操作を実現している。

FAZONE M/Brain
FAZONE M/Brain
FAZONE CB
FAZONE CB
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キヤノンマーケティングジャパン

キヤノンマーケティングジャパンは,「Aixplorer」を展示した。“MultiWave Technology”による定量性に優れ,リアルタイムでのエラストグラフィが可能な“ShearWave Elastography”を搭載。さらに,新機能として,高フレームレートでの血流評価が可能な“UltraFast Doppler”を採用している。

一方,新しいプローブとして,低周波のリニアプローブ「SuperLinear 10-2」と前立腺のエラストグラフィに対応した体腔内プローブ「SuperEndocavity 12-3」,3Dエラストグラフィ用プローブ「SuperLinear Volumetric 16-5」も紹介していた。

Aixplorer
Aixplorer
SuperEndocavity 12-3
SuperEndocavity 12-3
SuperLinear Volumetric 16-5
SuperLinear Volumetric 16-5
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肝臓の硬さを非侵襲的に計測する「フィブロスキャン」が初出展

2011年10月に保険収載されたFibroScan(開発:仏・エコセンス社,製造販売元:インターメディカル,総販売元:エムエムアンドニーク)は,剪断波で肝臓の硬さを計測し,kPaで表示する専用装置(Shear Wave Velocity)。現在,日本で唯一,保険が適用される組織弾性評価法の装置で,世界では約1000台,日本では約50台が導入されている。

FibroScan
FibroScan

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サムスンメディソンジャパン

2011年にサムスングループとなり,サムスンメディソンジャパンとして初の出展となる今回は,産婦人科領域の「ACCUVIX A30」とポータブルタイプの「MySono U6」を出展した。

ACCUVIX A30
ACCUVIX A30
MySono U6
Mysono U6

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●問い合わせ先
(社)日本超音波医学会事務局
TEL 03-6380-3711
http://www.jsum.or.jp/


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