Canon Clinical Report(キヤノンメディカルシステムズ)

2026年4月号

高精細画像の冠動脈CTが循環器疾患の診断精度向上や検査効率化を支援 ~PIQEとCLEAR Motionの活用によりさらなる高分解能画像で安定した冠動脈CT検査を実現~

新古賀病院

新古賀病院

 

福岡県久留米市の新古賀病院(古賀伸彦理事長、268床)は、社会医療法人天神会グループの中核病院として、筑後広域医療圏において「24時間断らない」救急医療や先進医療を提供している。特に心臓カテーテル治療(PCI)を積極的に展開し、救急を含めて地域において多くの患者を受け入れてきた。同院では、キヤノンの320列のフラッグシップCT「Aquilion ONE / INSIGHT Edition」と、80列で7.5MHUの管球を搭載した「Aquilion Serve SP」の2台体制で、24時間の救急や冠動脈CTなど迅速な診断が求められる疾患に対応している。同院でのCTの運用を川﨑友裕院長、診療放射線課の松岡光貴技師長、上田年男副主任に取材した。

川﨑友裕 院長

川﨑友裕 院長

松岡光貴 技師長

松岡光貴 技師長

上田年男 副主任

上田年男 副主任

 

24時間の救急医療、循環器疾患など高度医療で地域に貢献

天神会グループは、新古賀病院のほか古賀病院21、新古賀クリニックなど医療機関や介護・福祉施設を運営し、医療と福祉の切れ目のないサービスを提供する。グループの中核となる同院は、地域医療支援病院として「24時間365日、断らない救急」や先進医療を提供している。また、「心臓血管・リズムセンター」「脳卒中治療センター」「消化器病センター」などセンター化を図り、専門的な医療を提供しているのも特徴だ。川﨑院長は、「久留米市には市立病院がなく、久留米大学病院、聖マリア病院などとともに救急医療をはじめ、地域の高度医療を支える役割を担っています」と話す。特に循環器領域では心臓血管・リズムセンターを中心にPCIを提供して地域に貢献してきた実績を持つ。循環器専門医である川﨑院長は、「理事長も私も循環器内科を専門としており、病院として以前からPCIを積極的に行い、救急を含めて筑後医療圏で多くの患者さんを受け入れてきました。現在は、末梢血管治療(EVT)やカテーテルアブレーション、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)などSHD治療、心臓植込み型デバイスによる治療なども積極的に行っています」と述べる。PCI は年間約600件、EVT約130件、アブレーション300件などとなっている。

320列、80列の2台のCTで救急や心臓検査に対応

同院では、2011年に80列の「Aquilion PRIME」を導入後、2015年に他社製64列から320列の「Aquilion ONE / ViSION Edition」に更新し2台体制で検査を行ってきたが、2025年8月に320列をAquilion ONE / INSIGHT Editionに、2025年12月には80列をAquilion Serve SPへと更新した。CTへの期待を川﨑院長は、「精度の高い画像による診断は、誰にでもわかりやすく透明性が高い医療の提供につながります。言葉や数字ではなく、画像を提示することで患者さんの理解が深まり、納得の上で医療を提供することが可能です。心臓領域においても画像診断を重要視していますが、冠動脈疾患に対しては臨床研究の結果から冠動脈CTによるフォローが推奨されるようになり、CTファーストの時代になっています。治療の選択や予後の把握を含めてCTの役割が大きくなっており、それだけに迅速に高精細な画像が得られる装置が必要です」と述べる。診療放射線課の松岡技師長はCTの更新について、「冠動脈CTでは高い画質が要求されましたが、理事長や院長にもAquilion ONE / INSIGHT Editionの画像を見てもらって最終的に導入を決めました」と言う。
Aquilion ONE / INSIGHT Editionでは、0.24秒の高速回転とDeep Learningを用いて設計した超解像画像再構成技術の「Precise IQ Engine(PIQE)」や体動補正技術「CLEAR Motion」などの搭載で高精細な心臓CT検査が可能になっている。CT担当の上田副主任は、「PIQEとCLEAR Motionによる画質の向上によって、これまで難しかった2mmの細径ステントの描出も可能になっています」と述べる。画質について川﨑院長は、「Aquilion ONE / INSIGHT Editionではブルーミングアーチファクトが抑えられて、ステントや石灰化のある血管の内腔がクリアに描出されています。病変の狭窄度の判断が容易になることで、診断精度の向上にもつながります」と評価する。

βブロッカー内服なしで冠動脈CTのスループットが向上

同院でのCTの検査件数は、年間約2万1000件(2025年度)、うち冠動脈CTは約2000件。1日の冠動脈CTの検査枠は10枠だが、当日検査にも対応しており、1日15件程度が行われることも多い。冠動脈CTの結果は、すべて当日に説明することを基本としており、検査から解析まで迅速な対応が必要だ。Aquilion ONE / INSIGHT Editionでの大きな変化が検査前のβブロッカーの内服をやめて、CT室内での静注のみに変更したことだ。上田副主任は、「ガントリ回転速度の向上やCLEAR Motionによって、ある程度の心拍数の向上には対応できると考えて検査前の服薬を中止しました。これによって、検査前の待機時間が短くなり、緊急の検査も含めて迅速な対応が可能になりました」と述べる。また、上田副主任はAquilion ONE / INSIGHT Editionでのスループットの向上について、「以前はスキャノによる正側2回の位置決め画像の取得から本撮影という流れでしたが、Aquilion ONE / INSIGHT  Editionでは3D Landmark Scanにより、1回の位置決め撮影で正側2断面に加えAxial断面の位置決め画像が得られます。さらに管球はすでに回転している状態のため、待ち時間なく本撮影に入れます。それぞれわずかな時間ですが、全体として検査時間の短縮につながっています」と述べる。現在は、SCCT(Society of Cardiovascular Computed Tomography )のガイドラインに沿って、心拍数65を目安としてβブロッカーの静注を行う運用で行っている。
冠動脈CTでは、すべてPIQEで処理を行っている。上田副主任は、「PIQEでは空間分解能の向上とノイズ低減が可能ですが、当院では空間分解能をさらに上げるために小焦点での撮影を行っています。高体重の患者さんを含めてすべて小焦点で撮影していますが、クリアな画像が得られています。これは体幹部でも同様で、最近は腹腔鏡下手術などの治療計画のためのオーダが増えていますが、PIQEで処理することで被ばくを抑えた上で末梢血管まで描出した3D画像の提供が可能になっています。頭頸部ではPIQEの専用パラメータがありませんが、体幹部のパラメータで処理することで血管の描出能が向上し、脳神経外科の術前画像でもPIQEを使用しています」と述べる。
冠動脈撮影では、CLEAR Motion Cardiacを使用している。心臓領域での適用について上田副主任は、「右冠動脈は心拍を下げてもブレることがあります。心拍数を下げることが基本ですが、画像を確認してブレている時にはCLEAR Motion Cardiacをかけるようにしています」と説明する。救急症例などで心拍コントロールが難しい場合や、体動が抑制できない症例でもCLEAR Motionを適用するほか、「体幹部以外で眼窩骨折疑いの患者さんの頭頸部の撮影に、肺野条件のCLEAR Motionをかけて動きが補正できた症例を経験しました」(上田副主任)とのことだ。

■ Aquilion ONE / INSIGHT Editionによる臨床画像

Aquilion ONE / INSIGHT Editionによる臨床画像

 

INSTINXの共通の操作性で効率的な検査環境を構築

320列と80列のどちらの機種にも、新たなUIを採用し、AI技術の活用により簡便な操作性を実現するINSTINXが搭載されており、検査の効率化やワークフローの向上を図れる。松岡技師長は、「Aquilion Serve SPの導入では、Aquilion ONE / INSIGHT Editionと同じ操作系への統一も考慮しました。自動化技術も含めて効率的な操作性によって検査時間の短縮が期待できます」と述べる。Aquilion Serve SPのINSTINXについて上田副主任は、「Anatomical Landmark Detectionによって位置合わせの失敗がなくなりました。また、最初からシンスライスデータが出せるのでMPRを作成するスピードが速くなって、検査時間の短縮にもつながっています」と述べる。
また、今回の更新では被ばく低減への配慮も選定のポイントとなったが、新型X線管や検出器、SilverBeam Filterなどで被ばくを抑えた検査が可能になっている。松岡技師長は、「DRLs 2025でもCTの線量は10%程度低減されており、その流れに対応するためにも被ばく低減の機構は必須でした」と述べる。上田副主任は、「以前の逐次近似応用画像再構成と同じ画質であればかなり線量が下げられています」と評価する。

CTファースト時代の冠動脈CTに対応して検査を展開

同院では、心筋梗塞でPCIを行った患者に対してフォローアップでも冠動脈CTを撮影し、治療していない血管を含めてチェックしている。川﨑院長は、「心筋梗塞は1年以内の再発が多いのですが、それはPCIを行った血管以外にも発症していない病変があるからです。そういった血管をCTで非侵襲的にフォローすることで、薬物治療などの効果を検証して予防に役立てられないか検討しています」と説明する。
冠動脈疾患に対するCTファーストの時代に、PIQE、CLEAR Motionによる高精度画像の活用が診療を後押ししていく。

(2026年2月12日取材)

*本記事中のAI技術については設計の段階で用いたものであり、本システムが自己学習することはありません。
*記事内容はご経験や知見による、ご本人のご意見や感想が含まれる場合があります。

一般的名称:全身用X線CT診断装置
販売名:CTスキャナ Aquilion ONE TSX-308A
認証番号:305ACBZX00005000
製造販売元:キヤノン株式会社

一般的名称:全身用X線CT診断装置
販売名:CTスキャナ Aquilion Serve SP TSX-307B
認証番号:305ADBZX00063000
製造販売元:キヤノン株式会社

 

社会医療法人天神会 新古賀病院

 

社会医療法人天神会 新古賀病院
福岡県久留米市天神町120
https://www.tenjinkai.or.jp/top/shinkoga/

 

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