生成AIでfMRIのノイズ除去精度が飛躍的に向上(2026/2/4)
2026-4-1
機能的磁気共鳴画像法(fMRI)は,脳の活動を非侵襲的に計測する強力なツールとして,認知科学や臨床研究で広く利用されている。しかし,被験者の頭部の動きや心拍・呼吸などの生理学的反応に起因する「ノイズ」がデータに混入しやすく,真の神経活動パターンの解析を困難にしていた。この長年の課題に対し,米ボストンカレッジなどの研究チームは,生成AI技術を応用した新たなノイズ除去手法「DeepCor」を開発し,その有効性を実証した。研究成果はNature Methodsに掲載された。
本研究で開発されたDeepCorは,対照学習オートエンコーダ(contrastive autoencoders)と呼ばれる深層生成モデルを採用している点が特徴である。この手法は,fMRIデータに含まれる信号を,脳活動由来の「固有成分」と,ノイズ源と共有される「共通成分」に分離して学習することで,ノイズのみを効果的に除去する。従来の手法(CompCorなど)と比較して,DeepCorは単一被験者のデータのみで学習・適用が可能であり,複雑な非線形ノイズにも対応できるという新規性を持つ。実際に,顔画像を見た際の脳活動(顔の知覚・識別に特に強く反応するFFA領域)を解析する検証において,DeepCorは従来手法と比較して215%という劇的な信号検出精度の向上を達成し,他の最先端手法を凌駕する結果を示した。
著者らは「DeepCorがノイズと神経活動を分離する能力において優れており,fMRIデータの解像度と信頼性を飛躍的に高める可能性がある」と述べている。ノイズによって隠されていた微細な神経パターンが明らかになることで,脳領域の機能的特性に対する理解が深まることが見込まれる。今後は,認知神経科学の基礎研究にとどまらず,臨床現場における画像解析の質的向上にも寄与する技術として期待される。
【参照論文】
DeepCor : denoising fMRI data with contrastive autoencoders
