vol.10 肺がんと闘う。

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「信頼と満足を追求する全人的医療」の実践を目指して
変革を続ける滋賀医科大学医学部附属病院

 滋賀医科大学医学部附属病院は1978年、琵琶湖の南岸に位置する滋賀県大津市に開院した。病床数608床、診療科目24科を有し、同院の理念である「信頼と満足を追求する全人的医療」の実践を目指した取り組みを行っている。京都市街地に近く、滋賀県の地域基幹病院である同院には県内外から1日約1200人が来院するが、さらなる地域のニーズに応えるべく2007年4月、全科を挙げて悪性腫瘍の診断・治療・ケアに取り組む腫瘍センターを新たに設置した。悪性腫瘍治療の高度化・均一化を図るとともに、がん登録部門や相談支援部門を設置して情報提供体制を整えるなど、患者さんの視点に立ったがん診療の実践を目指す。
 また、「安全な医療」、「地域密着型医療」、「機能集約型医療」という三本柱を掲げ、患者一人ひとりにとって最適な医療を提供するための病院改革にも取り組んでいる。すでに、2007年9月には新病棟が完成しているほか、2011年度までに新手術棟の増築と病院全体の改修が行われ、3T MRIをはじめとする最先端の画像診断装置の導入も予定されているなど、同院はいま、大きな変革期を迎えている。

スタッフ

前列左から石田 愛医師、高橋雅士准教授、村田喜代史教授、武田尚子医師(ローテーター)、後列左から大谷秀司医師、北原 均助教、新田哲久講師、高櫻竜太郎助教


●滋賀医科大学医学部附属病院
 〒520-2192 滋賀県大津市瀬田月輪町
 TEL 077-548-2111(代表)
 URL http://www.shiga-med.ac.jp/hospital/

外観
外観


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放射線科医は臨床医であれ”をモットーに
各科との緊密な連携による患者さんのための医療を実践

高橋雅士准教授
高橋雅士准教授:最近、画像のみで難しい診断を列挙し、それで自己満足している若い先生が増えているように思います。画像の向こうには病気の患者さんがいて、その人の今後の治療方針などをどう進めていくかという、常に患者さんを念頭に置いた臨床的な画像診断の視点を持ち続けることが必要です。


高櫻竜太郎助教:
高櫻竜太郎助教:ジェネラリストでありたいというのがポリシーです。ジェネラリストだからこそ力を発揮できるということが臨床の局面では数多くありますし、専門領域以外の症例もしっかりと見つけていくことが、われわれの役目だと考えています。

 滋賀医科大学医学部附属病院放射線科は、村田喜代史教授の下、約20人の放射線科医が診療を行っている。MDCT、MRI、ガンマカメラ、リニアック治療装置、小線源腔内照射装置などの最先端機器を有し、主な画像診断装置による年間の検査件数は、単純X線写真が約5万件、CTが約1万4000件、MRIが約7000件に上る。IVRでは、がんの血管塞栓療法や抗がん剤の動脈内注入療法、抗がん剤リザーバー留置術、血管拡張術などにも積極的に取り組むほか、放射線治療では、特に子宮頸がんの治療で、10MVライナック装置とマイクロセレクトロン装置による外部照射と腔内照射を組み合わせて治療効果の向上を図るなど、多くの診療実績を残している。また、CADによる肺結節のディテクションのリサーチをはじめとする基礎研究も活発に行われている。

“放射線科医は臨床医であれ”をモットーとする同放射線科では、IVRや放射線治療を通して患者さんとも積極的にかかわりながら、常に医師一人ひとりがジェネラリストとしての役割を果たすことを心がけて日常診療に取り組んでいる。MDCTの登場や機器の高機能化に伴って画像データ量が急激に増加し、それに対応するためにCTやMRIの読影のみが重要視される傾向もあるが、同院では単純X線写真の読影もすべて放射線科が行っている。このことについて村田教授は、「単純X線写真を読影することで、院内のほぼすべての症例を把握することができます。放射線科医がより多くの役割を果たすためにはとても大事なことです」と説明する。実際に、同院では放射線科医がカンファレンスなどで他科の医師から意見を求められることも多く、チーム医療の中心的存在になっていると言っても過言ではない。読影システムの発達や遠隔読影などによって、放射線科医のあり方が大きく変わってきている中、同放射線科はこうした基本姿勢を貫くことで、患者さんのための医療を実践している。


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