シーメンス・ジャパン株式会社

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まったく新しい画像診断ワークフローを実現するNew Imaging Softwareを発表

Siemens Healthcareは今回,従来にない新しい発想から生まれた新製品として,「syngo.via」(日本国内薬事未承認)を発表し,ブース全体のコンセプトとしてこれを象徴的に掲げたブース展開を行った。画像診断ワークフローを大幅に改善することをねらいとしており,各モダリティコーナーでもワークフローがどのように改善されるかがアピールされ,“via”の「〜経由で,〜を通って」という名前の由来通り,ブース全体がsyngo.viaに集約された内容となっていた。

(文責・編集部)

New Imaging Software「syngo.via」を発表

New Imaging Softwareという新しい画像解析処理分野を標榜するsyngo.viaは,“大量のボリュームデータを症例に応じた最適な自動処理”,“モダリティとの親和性”,“ランニングコストを予測可能とするサービスサポート”の3つが大きな特長としてアピールされていた。既存のインフラを何も変えることなく,syngo.viaを追加するだけで,画像診断ワークフローの全体最適化ないし,部分最適化を図ることが可能になるとのことである。
syngo.viaでは,RISとのインテグレーションにより,該当患者の検査情報とモダリティへの受け渡し情報を管理し,モダリティから送信されたボリュームデータから得られる情報を合わせて診断に必要な画像解析処理が高速に行われる。例えば,心臓CTであれば,患者選択のためのワンクリックだけで,血管抽出,MPR,MIP,CurvedMPR,Volume Rendering(VR)などの処理ずみの画像がすべて自動で表示される。一般的な画像処理に加え,フュージョン処理やComputer-Aided Detection(CAD)機能も,電子カルテやRIS端末をはじめとする汎用PCやi-Phoneなどのモバイルコンピュータで参照可能となることが発表され,注目を集めていた。これにより,放射線科のみならず診療科医師の診断ワークフローが向上するとのことである。また,従来はコンソールでしかできなかったMRのスキャンプロトコールの設定が,“Direct Protocol Transfer”機能によって,すべてのクライアントから入力可能となった。このため,入力された情報がモダリティ側に送信されるため,コンソールでの再入力の手間が省け,検査ワークフローの向上が図れることが大きなメリットとして期待される。このほか,syngo.viaでは,バージョンアップやサーバ保守管理をリモートで行うことでコスト抑制を図り,費用対効果に優れたシステム構築が可能となる。

ブース中央で展開されたsyngo.via(日本国内薬事未承認)のイメージ映像
ブース中央で展開されたsyngo.vi
a(日本国内薬事未承認)のイメージ映像
syngo.viaによる心臓解析
syngo.viaによる心臓解析
syngo.viaのCAD表示
syngo.viaのCAD表示

MRIは新製品2機種と新世代のTimが登場

MRIは新製品として,使い勝手の良さと優れた検査スループットをコンセプトに開発された,1.5T MRI「MAGNETOM Aera」(日本国内薬事未承認)と3T MRI「MAGNETOM Skyra」(日本国内薬事未承認)の2機種が発表された。デザインが一新されたほか,チャンネル数が従来のハイエンド装置の32チャンネルから,48,64,128チャンネル(128チャンネルはSkyraのみ)の3つから選べるなど大幅に拡張しており,同社 MRIの新しいカテゴリーとなる。どちらの装置も70cmのオープンボアを実現し,さらに“Tim 4G”と“Dot”という2つの新技術が搭載されているとのことである。
Tim 4Gは,Timシリーズの新ラインナップで,“flexibility”,“accuracy”,“speed”の向上がキーワードとなっている。コイルエレメントが大幅に増加し,コイルの多チャンネル化により,さらなる高画質と短時間化を可能としている。
また,Dotは,“Day optimizing throughput engine”の略であり,“personalized”,“guided”,“automated”をキーワードに,MRI検査におけるシステムの自動支援による検査効率の向上,および良好な画質の安定化を可能とする新しいスキャン・インターフェースである。例えば,患者さんの状態に合わせて息止め時間などの設定を行うだけで,最適なシーケンスのパラメーター設定をシステムが自動で行うことができる。またDotには,部位ごとに最適化された撮像プロトコールがあらかじめ用意されており,操作者はそれを選択するだけで,撮像スライスの決定から撮像,撮像画像表示,解析,解析結果の表示などを自動的に行うことが可能となる。このほか,寝台は固定型と移動型を選択することが可能となった。“Dockable Table”は,移動型でありながら耐加重量も大きく,安全で軽快に動かすことができる。

1.5T MRI「MAGNETOM Aera」(日本国内薬事未承認)
1.5T MRI「MAGNETOM Aera」
(日本国内薬事未承認)
3T MRI「MAGNETOM Skyra」(日本国内薬事未承認)
3T MRI「MAGNETOM Skyra」
(日本国内薬事未承認)
 

128スライスDSCTを中心に新しい画像再構成技術をアピール

CTは,128スライスのデュアルソースCT「SOMATOM Definition Flash」が展示された。高速撮影と低被ばくが大きな特長であり,今回の展示ではこの2つが強くアピールされた。
特に注目を集めたのは,逐次近似法を用いた新しい画像再構成法“IRIS(Iterative Reconstruction in Image Space)”で,従来と同じ線量であれば画質を大幅に向上し,従来と同じ画質であれば被ばく線量を最大60%低減することが可能になるという。画質の向上という点では,例えば冠動脈では,石灰化の強い箇所でもブルーミングアーチファクトが抑制され,よりシャープな画像が得られほか,ステント内腔が明瞭に評価できるようになる。IRISは,心臓検査はもちろん,パーフュージョンやデュアルエナジーなどにも適応可能で,今後販売される64スライス以上のCTに搭載可能とのことである。

SOMATOM Definition Flash
SOMATOM Definition Flash

既存装置は新アプリケーションでブラッシュアップ

MI,X-ray,Women’s Healthは,既存装置に新機能が搭載され,従来よりも機能が向上したことがアピールされた。
PET・CT「Biograph mCT」には新アプリケーションとして,心筋血流PETの定量解析を行うソフトウエアが搭載された。現在はアンモニアをベースとした解析のみとなっているが,今後はルビジウムなどにも対応していく予定とのことである。SPECT・CT「Symbia T」は,新設計の天板により,たわみによる位置ズレが抑制され,SPECT画像とCT画像の精緻な重ね合わせが可能となったほか,新機能の“IQ・SPECT”によって,従来と同じコントラストを維持したまま,以前は約20分かかっていた心筋SPECT検査を約5分で行えるようになったことがアピールされた。
X-rayでは,X線テレビと一般撮影装置の“2 in 1”コンセプトを持つ「AXIOM Luminos d RF」に,ワイヤレスFDを搭載した立位スタンドを組み合わせるセカンドプレーンオプションが可能となったことが発表された。これにより,1検査室内で一般撮影とX線テレビの両方の撮影が行えるようになる。また,多軸血管撮影装置「Artis zeego」は,ポジション間の動きを制御する“Path Planner”が搭載されたことで,よりスムーズなアーム操作が可能となったほか,新たに非血管系IVR支援3Dアプリケーション“syngo iGuide”を支援するシステムであるレーザーマーカー“Integrated cross-hair light”がフラットパネルユニットに搭載されたことが発表された。
Women’s Healthでは,デジタルマンモグラフィ「MAMMOMAT Inspiration」,乳がん検診用超音波自動ボリュームスキャナ「ACUSON S2000 ABVS」(Automated Breast Volume Scanner)が注目を集めた。新機能として,マンモグラフィの三次元画像収集による断層撮影“トモシンセシス”が紹介されたほか,読影システム「syngo MammoReport」では,マンモグラフィ画像だけでなく,超音波とMRIの三次元画像表示が新たに可能となり,3種類の画像が1つのシステムで参照できることがアピールされた。

syngo MammoReport
syngo MammoReport