横浜労災病院 × ケアストリーム DRX-Revolution Mobile X-Ray システム(ケアストリームヘルス)
ケアストリーム DRX-Revolution Mobile X-Ray システムの導入のねらいと有用性

2015-1-1


図1 当院外観

図1 当院外観

はじめに

当院は,横浜市北東部医療圏の地域中核施設として1991(平成3)年に開設され,その後母体であった労働者健康福祉機構から独立行政法人化した,24時間365日,救急医療にも対応する病院である(図1)。
当院のポータブル撮影装置の保有台数は5台であり,その配置場所は救急外来・手術室・ICUに各1台,一般病棟(NICUを含む)専用として2台を配置し運用している。一般病棟用ポータブル撮影装置の老朽化による更新で,2013(平成25)年11月からケアストリームヘルス社製「ケアストリーム DRX-Revolution Mobile X-Ray システム(以下,Revolution)」の稼働が始まった。
ポータブル撮影装置導入に当たっての新システム選定基準を中心に,その経緯を以下に紹介する。

選定の条件

新システム選定における現場の要望としては,「旧システムより有益であることが大前提」である。

1.撮影スループット(作業効率)の向上
ポータブル撮影装置に求められる重要な要素の一つが作業効率であり,起動から撮影,PACSへの画像転送,RISへの実施登録までをスムーズかつ迅速・正確にできることが必要である。現在使用しているRISで確認・実施・登録が行え,どこにいても常時オーダリストが自動更新されて検査の追加・削除がその場で把握できることが求められる。作業の効率化のため,撮影した画像を即時にその場で確認でき,PACSへの転送が全病棟・外来診察エリアでできることが望ましい。当院のネットワークインフラは充実しているため,それを最大限に活用できることが重要である。

2.現有システムとの整合性
PACSやCRなどの現有システムも継続して使用するため,パラメータ,ノイズ処理,マルチ周波数処理などの画像処理機能が豊富で,既存画像との整合性がとれるシステムが求められる。また,画像編集(アノテーション,トリミング)が簡便に行えることも必要となる。

3.患者被ばく線量の低減
旧システムと比べて被ばく線量の低減は必要な条件であり,高いDQEによる画質の向上も重要である。また,線量管理に必要なIECのEI値・EIT・DI値の表示が可能で,DI値を活用した撮影条件の管理(最適化)を行えることが必要となる。

使用経験からのメリット

以上の条件を基に選定したRevolutionであるが,さまざまな観点でこれらの条件を満たしてくれている。本装置の大きな特長として,本体上のモニタでケアストリーム社製ではないRISでも表示することができる。RIS上での受付登録,患者情報の表示,オーダ内容の確認,実施登録(コメント入力),会計情報の伝達まで,RIS端末ではないRevolution本体上で完了できることで,大幅に作業効率が上がった。また,常時,どこでもMWMオーダリストが自動更新されるため,追加や削除がタイムリーにアップデートされる(図2)。

図2 無線LANによるRevolutionの運用

図2 無線LANによるRevolutionの運用

 

以前の運用では,検像担当者がRISの実施登録を行っていたが,本装置は撮影者が撮影終了時に実施登録が可能である。行為の不一致がなくなり医療安全面から見ても有用である。オーダ選択ミスをなくすために,撮影後は速やかに実施登録することがリスク回避につながるのである(図3)。

図3 リモートデスクトップ機能による他社製RIS画面の表示

図3 リモートデスクトップ機能による他社製RIS画面の表示

 

撮影直後には,その場で画像確認ができることに加え,過去画像も簡単に表示できるので,経過観察検査などの撮影前に過去の検査・画像情報を正確に把握でき,再撮影の防止に寄与している。
搭載されている19インチ大画面モニタにて詳細な画像確認が可能である。また,豊富な画像処理機能により既存システムとの整合性もとれている。画像編集機能も,視認性の高い操作画面で非常に容易に操作ができる。特に“チューブ強調処理”は,胃管カテーテルや中心静脈カテーテルなどのさまざまなデバイスの位置が即座に鮮明に確認でき,処理前と後の2画像を送信できるため,医師からの要望が多く非常に好評である。
EI値・DI値を利用した撮影条件の最適化については,表示可能なEI値・DI値を活用して,撮影条件のコントロールが可能となる。撮影部位ごとにEITを設定し,DI値を0にすることで適正条件での撮影を実践できる(図4)。

図4 EI値・DI値を活用した撮影条件のコントロール

図4 EI値・DI値を活用した撮影条件のコントロール

 

そのほかにも,撮影ワークフローに沿った優れた性能や機能を有している。まず,装置の出動までの時間が非常に速い。迅速性が求められる現場において,このスピードの速さは作業効率も上がり,診断においてもメリットが高いと感じている。安全面では,通常のポータブル撮影装置はアームの支柱が高く前方を遮っているが,本装置は移動時に目線まで支柱が収納されるため,移動時に前方視野の確認が容易にできる。本体も軽く小回りが利き,女性技師にも好評である(図5)。本体には収納スペースが多く,ディテクターはもちろんのこと,資料やペン,ウェットティッシュなどの衛生用品や小物を収納するスペースもある。さらに,撮影フローを考慮し,本体上でディテクターのバッテリー交換作業をする仕組みも装備されており,ディテクター落下のリスクを軽減した作りとなっている。ディテクターのバッテリーチャージャーも内蔵されているためディテクターのバッテリーが不足する心配がまったくない。

図5 女性技師でも容易に扱える可搬性

図5 女性技師でも容易に扱える可搬性

 

まとめ

本装置の稼働により,ポータブル撮影業務の“質”は格段に向上した。新システムの選定基準であった作業効率の向上,画質向上,被ばく低減の項目すべてにおいて,旧システムより有益とすることができた。診療におけるポータブル撮影の役割と意義を踏まえ,オールインワン型FPDシステム,オール無線仕様によるポータブル撮影装置の有用性は大きい。

 

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病床数:650床 診療科目:37科


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