血液検査で「たこつぼ症候群」を早期診断するAI-BioTAK(2026/9/14)

2026-11-2


血液検査で「たこつぼ症候群」を早期診断するAI-BioTAK(2026/9/14)

European Heart Journalにこのほど掲載された研究論文により,たこつぼ症候群(TTS)と急性冠症候群(ACS)を,冠動脈造影前の血液検査から高精度に鑑別できる可能性が明らかにされた。スイス・チューリッヒ大学などの研究チームは,機械学習を活用して5項目からなる診断スコア「BioTAK」を開発し,独立した患者集団で高い診断性能を確認した。
TTSは,強い精神的・身体的ストレスなどを契機として,一過性の左室収縮機能低下を引き起こす急性心疾患である。胸痛や心電図異常,心筋バイオマーカーの上昇など,心筋梗塞を含むACSとよく似た臨床像を示すため,早期の鑑別は容易ではない。現在の診断では,病歴聴取や繰り返しの心臓画像検査に加え,冠動脈病変を除外するための侵襲的冠動脈造影が必要となることが多い。
研究チームは,ACSまたはTTSと診断された3,615名の血液データを解析した。1,823名からなる開発コホートに機械学習を用いた特徴量選択を適用し,心筋負荷を示すNT-proBNP,プラーク不安定性に関連するsLOX-1,交感神経活性や不安調節に関わるPAM,LDLコレステロール,性別の5項目を選定した。これらを組み合わせたBioTAKは,開発コホートでAUC0.97,1,792名による外部検証でもAUC0.93という高い鑑別性能を示した。
事前に設定した判定基準を用いると,BioTAKは冠動脈造影前の段階で約90%の患者をTTSの低確率群または高確率群に分類した。研究チームは,特に血行動態が安定した非ST上昇型ACS疑いの患者において,不要な侵襲的検査を回避するための判断材料となる可能性を指摘している。一方,sLOX-1とPAMは現時点で一般的な院内検査として利用できず,測定にも約3~5時間を要する。検査体制の整備と多様な患者集団での追加検証が必要となるものの,客観的な血液データからTTSを早期に見分ける新たな手法として大きな注目を集めている。

【参照論文】
Takotsubo syndrome diagnosis: the biomarker-based BioTAK score


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