病理画像から「臓器の年齢」を測るAI (2026/9/17)
2026-11-2
加齢に伴う組織変化は臓器ごとに異なり,同じ年齢でもその程度には個人差がある。従来,生物学的年齢はDNAメチル化やテロメア長などの分子指標を用いて評価されてきたが,組織構造に現れる加齢変化を臓器別に定量化する方法は限られていた。オーストリアを中心とする国際研究チームは,病理組織画像から各組織の生物学的年齢を推定し,実年齢との差(Age gap)と組織の加齢変化との関連を評価することを目的に研究を実施し,その成果をNature Medicineに発表した。
研究では,Genotype-Tissue Expressionコホートの983人,40種類の組織から得られた25,712枚の病理組織画像を解析した。AIに病理画像と実年齢の関係を学習させ,画像からその組織の推定年齢を予測する「Tissue clock」を構築した。推定組織年齢と実年齢との差をAge gapとして解析した結果,推定誤差の平均は約4.9年であった。また,Age gapはテロメア長,病理所見,併存疾患と関連していた。アルツハイマー病,脳卒中,クローン病など8つの疾患においては,疾患に関連する臓器でAge gapが高い傾向が,独立した患者集団でも確認された。
本研究は,病理組織画像から各組織の生物学的年齢を推定し,実年齢との差異をもとに臓器特異的な加齢変化を評価する可能性を示した。さらに,組織画像から算出したAge gapと血液中の遺伝子発現情報を対応付けることで,血液検体から組織特異的なAge gapを予測するモデルを構築した。研究者らは「今後は,疾患発症前の血液検体を用いた前向き縦断研究により,Age gapと疾患発症との時間的関係や予測バイオマーカーとしての有用性を検証する必要がある」と述べている。
【参照論文】
Histological aging signatures for monitoring tissue-specific aging and disease
