ShadeQuest/DoseMonitor(富士フイルム医療ソリューションズ)
院内システム・部門システム連携を考慮した被ばく線量管理システム

2019-11-6

富士フイルム医療ソリューションズ

線量管理


2018年度の診療報酬改定において,特定機能病院を対象とした画像診断管理加算3と,3TのMRIを対象とした頭部MRI撮影加算が新設された。施設基準として関係学会の定める指針に基づく適切な被ばく線量管理が通知され,CT検査の線量記録が加算取得の必須要件となった。当社は,放射線部門情報システム(以下,診断RIS)を利用していただいているお客様を中心に,放射線業務に適応する被ばく線量管理システムの構築の要望を多くいただいたことから,「ShadeQuest/DoseMonitor」の開発・販売を開始した。当初はCTを対象として開発を始めたが,2019年3月11日に診療用放射線に係る安全管理体制ならびに診療用放射性同位元素および陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の取り扱いについて,「医療法施行規則の一部を改正する省令」が公布された。本改正省令では,その対象がCTのみならず血管撮影装置,核医学装置となっていることから,これらの装置を含めた管理機能の開発も行っている。

1.システム連携の考慮
当社は放射線部門システム専業ベンダーであり,画像サーバや診断RIS,放射線治療部門情報システム(治療RIS)を販売・納入している。被ばく線量管理システムの開発に際し,単体システムパッケージではなく,各業務システムとシームレスに連携することを強みとした開発に着手した。Radiation Dose Structured Report (以下,RDSR)情報は画像とともにDICOM情報として出力され,通常画像サーバがその取得を行う。また,診療科の医師が指示する撮影オーダやこれに付随する身長,体重などの患者プロファイル情報,撮影実施後の実施情報は,すべて診断RISがその管理を行う。放射線治療部門においては,治療計画用CT撮影,位置決め撮影などは治療RISが管理を行う。被ばく線量の管理には,院内システムや部門システムと連携し,これらのシステムが管理している情報を使ったデータ管理が必須であると認識しており,連携を重視した放射線部門システム専業ベンダーならではの構成となっている(図1)。

図1 診断RISと治療RISとのシステム連携

図1 診断RISと治療RISとのシステム連携

 

2.既存システムを活用したデータベース構築
現在活用していただいている既存システムを生かし,画像サーバのマイナーバージョンアップでCTからDICOM画像とともに出力されるRDSRを取得できるようになっている(現在最新版の画像サーバはRDSRの取得を標準装備している)。RDSRの出力ができない装置は,DICOM画像のtag情報に記載されるCTDIvol,dose length product(以下,DLP)値などの取り出しを行う。DICOM Modality Performed Procedure Step(MPPS)でDLP値などの情報が出力される装置からはRIS連携で取得する。少々手間ではあるが,診断RISや治療RISの撮影実施画面に入力フィールドを追加し,装置のコンソールに表示される情報の手入力にも対応する。核医学装置の被ばく線量管理に関しては,会計投与量やプリセット投与量ではなく,“実投与量”の管理が必要であるため,診断RISもしくは診断RISと連携し,RI薬品,キット,カウなどの薬品管理の業務全般をサポートする核医学業務支援システムから情報を取得し,改正省令に準じた管理を行う。また,OCRや計算によるデータ抽出などの開発も進めており,オプションでRDSRの出力ができない装置も管理対象としてデータベースを構築する。

3.線量管理に必要な機能を搭載したシンプルで判断しやすい画面表示
上記手法にて取得した線量情報とシステム連携から,患者の体格を考慮し診断参考レベル(以下,DRLs 2015)との比較を行う。画面表示は,管理のため真に必要となる情報表示を行うシンプルかつ簡便に判断ができる構成としている。DRLs 2015と比較し,閾値を超えている検査は,グラフから該当検査画像の表示や検査実施情報を表示し,その理由の考察が簡便に行えるようなRIS・PACSとの連携を行う構成となっている(図2)。

図2 DRLs 2015との比較や検査画像・実施情報表示に対応

図2 DRLs 2015との比較や検査画像・実施情報表示に対応

 

●問い合わせ先
富士フイルム医療ソリューションズ(株)ソリューション本部営業部
TEL 03-6452-6880
https://www.fujifilm.com/ffms/ja

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