放射線部門業務支援システムACTRIS / ユーザー事例 慶應義塾大学病院(放射線部門業務支援システム・ジェイマックシステム)

2013-2-1

ジェイマックシステム

診療支援


慶應義塾大学病院

大学病院に求められる放射線部門システムの条件。

首都東京の2万坪を超える広大なキャンパス内にある慶應義塾大学病院は,近隣に神宮外苑や国立競技場など,緑豊かな都心に位置し,27の診療科と13の中央診療部門,800名を超える臨床系医師が各専門分野の診療と研究に取り組んでいます。
同院では,2012年1月にHISを更新,8月には新棟3号館(南棟)が竣工し,予防医療センターでの健診を開始。また同棟へ核医学部門を移設し最新鋭のモダリティを導入,中央棟と同棟の放射線検査を統合管理する目的でジェイマックシステムの放射線部門システム,ACTRISを導入しました。システム導入の経緯や導入後の業務効率の向上について,放射線診断科の樋口順也先生をはじめ,各部門の診療放射線技師の方々にインタビューを行いました。

●放射線診断科・樋口順也先生に聞く

─今回弊社の放射線部門システムACTRISを導入いただいたのですが,導入の経緯および目的をお聞かせください。

樋口順也先生

樋口順也先生

複雑な要件がいくつかありますが,従来のRISは,当院で独自に開発したものを10年ほど使用していました。独自開発ということで,細かい機能に関してもユーザーが使いやすいように洗練されていましたが,システムの管理を片手間で行っていくのは難しく,どこかのタイミングで製品ベースのものに切り替えるプランを立てていました。契機は,電子カルテが更新されたこと,新しく3号館が竣工し,健診部門(予防医療センター)と核医学部門が診療を開始したことで,さらに新たなモダリティも加わり,各部門を統一管理するRISが必要になったことです。
もう1つの背景として,画像診断において,ジェイマックシステムのレポーティングシステムを10年弱使っています。いままでのお付き合いの経験上,非常に顧客の立場に立ってユーザーの希望を汲み取り,製品をカスタマイズしてくれるということがあります。特殊な独自開発のRISから画一的なRISに更新したとしてもうまくはいきません。ジェイマックシステムのRISであれば,大学病院という特殊な病院においても,ワークフローやシステムを理解しカスタマイズすることで,以前のRISからのバトンタッチがスムーズに行えるのではないかと考えました。

─導入する上で,留意した点についてお聞かせください。

長年,院内でシステム開発も行っていたという経験から,エンジニアとしての視点と放射線科医としてのユーザーの視点があります。システム開発というのは,まず技術力があることが根本です。ジェイマックシステムは,サーバーサイド,クライアントサイドにおいても,また使用しているプラットフォームを見ても,いままでの使用経験を通し,技術力があることがわかっていました。その技術力をベースに,顧客のニーズに合わせて積極的にカスタマイズし,製品をより進化させていくという姿勢が非常に強い会社だと思います。そこが一番重要なポイントでした。

─ACTRISの画面構成や使いやすさについてはいかがでしょうか?

RISは,欲しい情報をいかに少ない操作で得られるかが重要です。ただ何でも見られるようにというのでは不十分で,情報の中には頻繁に必要とする情報とそうでない情報があります。それらの重み付けが無視され,数回操作をしないと見られないようなシステムもあります。ジェイマックシステムの製品の場合,ユーザーの声が反映されているからだと思いますが,欲しい情報が操作しなくとも最初から表示されており,製品の成熟度の高さを感じます。

●MR部門・岡部幸司技師に聞く

─ACTRISについて,画面構成や機能,使いやすさについてはいかがでしょうか?

岡部幸司 技師

岡部幸司 技師

翌日の検査のプランニングをする際,患者さんを選択した時に,すべての検査情報(患者情報,予約名称,依頼医,検査目的,放射線科医の指示詳細など)を一目で見られる画面構成で非常に使いやすいと思います。他メーカーの製品には,それらをクリックし別ウインドウを開かないと確認できないような使いにくいものもあります。実施画面においても,1画面で確認できますので,使いやすく,検査スループットが上がっていると思います。受付をした時間やほかの検査室の進行状況についても,容易に把握できますし,当日・後日のほかの検査スケジュールについては,ポップアップで表示されますので,患者さんへの案内に役立っています。また,まれにですが,先にCTを行ってからMRIを行うような検査の順番が重要な予約が入っている場合,患者さんが間違えることもあります。こうした間違いを防ぐための患者さんへの案内や誘導にも役立っています。

─統計管理機能を使用されているご感想をお聞かせください。

以前のRISにも統計管理機能はあり,同じような形式に出せるように,カスタマイズをお願いしました。加えて,部位別,入院・外来,単純・造影といった項目での統計も出せるようにお願いしました。装置の稼働数や入院での包括評価など,統計データの提出においては,病院収支にかかわるので非常に重要です。

─弊社への要望などがありましたらお聞かせください。

私の持論でもありますが,部門システムの使い勝手については,現場のユーザーが一番わかっていると思います。システムエンジニア(SE)の方がユーザーの声をしっかり聞き,開発者の方へ伝えてシステム設計をしていただくということが重要ですし,ジェイマックシステムはそれができている会社だと感じています。SEの方も勉強されており,知識や技術力も豊富で対応も早いですね。今後の要望としては,施設ごとに画面レイアウトや機能などをカスタマイズしてきた実績があると思うので,そのノウハウを活用して,ぜひ最適な提案をできるような会社をめざしていただきたいです。

●予防医療部門・阿部悟技師に聞く

─新しく竣工した3号館の予防医療センターの概要についてお聞かせください。

阿部 悟 技師

阿部 悟 技師

慶應義塾大学病院の予防医療センターは,「21世紀型の予防医療」をコンセプトに,全診療科にわたり,専門医,専門技師,専門の検査機器をそろえ,最新の医療を皆様に提供することを目的に,2012年8月より診療を開始しています。
放射線部門の特徴としては,受診者の方にできるだけ低侵襲で,診断能の高い検査・画像を提供することをコンセプトにしています。検査機器の構成は,1.5Tと3TのMRI,低線量のMDCT,Cアーム型多目的デジタルX線TVシステム,DR,一般撮影装置,デジタルマンモグラフィ,骨密度測定装置,超音波診断装置となっています。

─ACTRIS導入後のワークフローや業務効率の改善についてはいかがでしょうか?

いままでは,患者さんをモダリティ画面の一覧リストからマウスで選択していたのですが,間違いが起きやすく,わざわざID番号を打ち込んでいました。予防医療センターでは,依頼票がすべてバーコード化されスキャナで読み取るだけになったので,誤って他人の依頼票を持ってこないかぎり,患者さんを間違えることがなくなりました。また,検査する際,過去の検査情報は非常に重要ですが,ACTRISでは,一覧から受診者を選択するだけで過去の検査情報が同時に表示され,参照したい過去検査をクリックすることで,レポーティングシステムが連動,過去のレポート結果や所見,画像を瞬時に参照できます。予防医療では,これが非常に大切です。電子カルテでは,ID番号を打ち込み,該当する過去の検査履歴を探して,そのレポートや画像を探す手順になってしまいます。目的は同じですが,毎回の作業になることを考えると,業務効率が大きく変わります。RISを導入するメリットは,これらのスムーズな連携というのが,一番の大きな要因だと思います。

●核医学部門・中島清隆技師に聞く

─RI薬剤管理モジュールについて,使用されている感想をお聞かせください。

中島清隆 技師

中島清隆 技師

当院のRI検査は検査種類が多く,さまざまな核種を使用し,検査数も多く,アイソトープ検査ならではの煩雑さがあり,システム開発は大変難しいと思うのですが,ジェイマックシステムのシステムは,検査の会計実施,薬剤の管理や使用記録などについても,検査フロー,業務フローにマッチしており,使いやすいシステムです。
このシステムが入る前は,日々の使用記録,患者名や使用核種,投与量や残量などを台帳に手書きで記載し,廃棄記録に関しても手書きで行っていました。核種ごとの年間の使用記録もExcelに打ち込み,記録簿として管理していました。導入後はこれらの手間がなくなり,非常に感謝しています。検査の予約票や準備表などの帳票類についても,当院のフォーマットに合わせて細かくカスタマイズしてもらい,受診者にわかりやすく,見やすい帳票類ができました。

─PET検査管理モジュールについてはいかがでしょうか?

PET検査は,FDGの管理や記録簿,検査の運用フローであったり,患者さんの動きといった細かな部分が重要になります。特に検査の進捗管理は,問診,FDG投与,撮像(early・delay)という流れを,1工程が終了すると色が変わることで,現在の状況を把握でき,さらに1画面で見られるので,非常に便利です。
また,PET検査では,問診時に当日の受診者の体重・血糖値を測定し,データを入力します。その際,受診者のADL情報を入力すると,FDGを投与する処置室,撮像をする操作室の端末にもリアルタイムで反映されますので,ほかのスタッフとの情報共有にも役立っています。
サイクロトロン管理については,1階で製造されたFDGが毎朝2階の検査室に上がってきます。その入庫量の管理,発注書や当日のスケジュール表などもシステムにそろっていますので,業務効率の向上につながっています。

●超音波部門・根本道子技師に聞く

─画面構成や機能,使いやすさについてはいかがでしょうか?

根本道子 技師

根本道子 技師

以前使用していたシステムでは,超音波以外にどういった検査のスケジュールが入っているかを調べるのが少し煩雑でした。例えば,検査時間に患者さんが来ない場合,いまはどこでどういう検査を行っているかということを把握するのが困難でした。しかし,ACTRIS導入後は,ほかの検査で遅れているとか,この後は違う検査があるということを一目で確認できるようになり,患者さんのご案内もスムーズにできるようになりました。
統計機能は,さまざまなスタッフが各検査室を使用して検査を行っていますので,どの検査室でどれだけの検査が行われたかをACTRISに登録し,簡単に検査室の使用に関する統計を出せるようになりました。

─レポーティングシステムも使用いただいていますが,感想をお聞かせください。

多くの先生や技師が使用しますので,使用する語句にばらつきが生じやすいのですが,レポーティングシステムのテンプレート機能を利用することで,ばらつきの少ないレポート作成が可能です。また,レポート状態の保留・チェック待ちといった機能を利用することで,研修医が専門医にチェックをしてもらうタイミングがわかるようになっており,非常に便利です。

*さらに詳しいインタビューはジェイマックシステムのホームページで! 
URL http://www.j-mac.co.jp/case/index.html

 

お問い合わせ先
株式会社ジェイマックシステム
〒060-0034 札幌市中央区北4条東1丁目2-3
札幌フコク生命ビル10F
TEL 011-221-6262
E-mail sales@j-mac.co.jp
http://www.j-mac.co.jp

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