はじめに

「FINO.XManage」はマルチモダリティに対応したシステムであり，数多くの医療現場にて活用いただいている。2020年4月の医療法施行規則の一部改正によって義務化された医療被ばくの線量管理，線量記録，職員研修などを支援しており，2020年7月に公表された「日本の診断参考レベル（2020年版）（以下，Japan DRLs 2020）」へ順次対応する。

FINO.XManageの特徴

1．線量と画像の一元管理

線量管理・線量記録の実施において，画質を考慮した被ばく線量の最適化が重要となるため，当社ではFINO.XManageによる線量と画像の一元管理を提案している。検査プロトコールや患者単位などさまざまなグラフを容易に作成可能で，画像を参照しながら診断参考レベル（diagnostic reference level：DRL）との比較，データ分析，カンファレンスなどを効率的に行うことができる。散布図にて外れ値をクリックすることでデータ詳細画面に遷移でき，対象患者の線量情報と画像を同時に確認し，原因の検討が行える（図1）。CT検査の場合，SSDE・SD値の計測（オプション）が可能となり，線量と画像を管理する上での指標となる。

図1　散布図の外れ値とデータ詳細

2．一般撮影線量管理機能

当社の一般撮影用コンソール｢CS-7｣はX線発生装置と連携することで，撮影条件（管電圧，管電流，時間）が自動入力され（プリセットも可能），DICOM Radiation Dose Structured Report（以下，RDSR）情報として出力することが可能となる。この情報とプリセットした基本条件（撮影距離，体厚，照射野，フィルタ）を組み合わせることで，入射表面線量を算出し管理する。

3．一般撮影マネージメント機能“RADInsight”（オプション）

撮影件数が多く，線量管理の要望が増えている一般撮影において，撮影業務分析，再撮影管理への必要性が高くなっている。RADInsightは当社の一般撮影用コンソールCS-7から検査ログ〔検査数，検査時間，稼働率，撮影部位・方向，再撮影率，再撮影理由，撮影技師，曜日，撮影室，S値，Exposure Index（EI）値，Deviation Index（DI）値など〕を収集し，グラフ化して表示することができる。一般撮影業務を見える化し，データに基づく改善を支援している。また，再撮影削減に向けて，再撮影となったNG画像の一括管理，OK・NG画像の比較閲覧，再撮影基準の作成支援などが可能となる（図2）。

図2　一般撮影マネージメント機能RADInsight

4．検像システム「NEOVISTA I-PACS QA」との連携

当社の検像システムNEOVISTA I-PACS QAにおいて，FINO.XManageを起動し，検像と同時に線量情報の確認・手入力が可能で，設定した閾値を超過した検査には，リスト上にアラートを表示することができる。

5．カンファレンス・職員研修サポート

カンファレンスや職員研修で用いるグラフを容易に作成することができる。議事録や資料などの保存・共有が可能で，各部署の端末からも参照が行える。ブックマーク機能により，症例や目的などに合わせて登録・検索が可能で，症例集や教育ツールとして活用できる。

6．RDSR未対応装置の線量管理

RDSR未対応装置でもなるべく線量情報の入力を容易にするために，画像のDICOMヘッダから患者情報，撮影プロトコール，照射条件などを自動取得し，不足している情報を手入力もしくはマスタ登録によるプルダウンから選択することで線量管理が可能となる。DICOM Dose Report画像の出力が可能な場合，必要な線量指標をOCRする機能も搭載している。

まとめ

医療被ばくへの関心がより高まっていく中，確実で効率的な線量管理，線量記録と院内の情報共有，職員研修，患者レポート機能などに加え，RADInsightをはじめとする当社独自の技術・価値を備えたシステムにて，今後の動向を踏まえた対応に努める。また，医療現場の声を大切に開発・サポートを継続し，Japan DRLs 2020対応，職員研修支援・患者レポート機能などの強化，情報発信により注力し，FINO.VITAシリーズとして満足度の高い支援をめざし進めていく。