エドワーズライフサイエンス,「エドワーズサピエン 3」に新しいアプローチが追加
〜より多くの弁膜症の患者さんへ,多様な治療の選択肢が提供可能に〜

2018-7-26

エドワーズライフサイエンス


サピエン 3の3つのアプローチ

エドワーズライフサイエンス(株)(以下エドワーズ)は,7月2日より TAVI(経カテーテル大動脈弁治療)に使用する生体弁「エドワーズサピエン 3」(以下サピエン 3)について,これまでの大腿動脈から挿入するアプローチに加えて,心尖部および大動脈から挿入するアプローチについても保険適用が認められたことを発表した。すでに必要なトレーニングを修了した医療機関に向けて販売を開始している。TAVIは心臓弁膜症の一つ,大動脈弁狭窄症の治療法である。

サピエン 3は米国において優れた臨床成績*1 が発表されており,2014年1月に欧州で,2015年6月に米国で臨床に導入された。日本では2016年に大腿動脈からのアプローチ(経大腿アプローチ)のみで導入された。そのため経大腿アプローチが困難な患者さんには,デリバリーシステム「アセンドラ」とともに一世代前の生体弁である「サピエン XT」を使用した経心尖アプローチがとられていた。

しかし今回,新たなデリバリーシステムである「サーティテュード」とともに,サピエン 3での経心尖アプローチ,および経大動脈アプローチが日本でも適用になったことで,多様な治療の選択肢を,より多くの患者さんへ提供可能になった。

●サピエン 3の3つのアプローチ

●経大動脈アプローチ(New):鎖骨のあたりを小さく切開し,大動脈からカテーテルを挿入する方法。
●経心尖アプローチ(New):肋骨の間を小さく切開して心臓の尖端からカテーテルを挿入する方法。
●経大腿アプローチ(2016年 5月〜):太ももの付け根の血管から,カテーテルを挿入する方法。3つのアプローチで最も多く採用される。

●大動脈弁狭窄症と治療法

心臓弁膜症のひとつで,心臓の4つの弁のうち大動脈弁に動脈硬化と同様の変化が起きて固くなり,開きにくくなる病気。特に高齢者に多く,日本における60歳以上の大動脈弁狭窄症の潜在患者数は約284万人,うち重症の患者数は約56万人*2といわれている。
大動脈弁狭窄症は薬では根治しないため,手術による治療が必要。通常は右図のような開心術により,心臓を止めて行われるが,高齢や心臓以外の疾患などの理由により,開胸手術には耐えられないと判断される患者さんは少なくとも30%*3はいると言われており,その方々には,薬で症状の進行を抑える対症療法しかなかった。
そこに2013年,エドワーズがTAVIを日本に初めて導入し,胸を開かず,心臓も止めずに,これまで手術できなかった患者さんの治療が可能となった。

●大動脈弁狭窄症の症状

大動脈弁狭窄症は進行性の疾患で,動悸やはげしい息切れ,極度の疲れやすさや,重症になるとズーンという胸痛や失神などの症状が出る。
一方で弁膜症の症状は,加齢による体力低下と似たところがあるため,「年をとったせいだ」と思い込み,受診と適切な治療を受ける機会を逃している患者さんが多くいると考えられている。また症状がじわりじわりとゆっくり進行するため,体が慣れてしまったり,また無意識に行動範囲を狭めて活動量を抑えてしまったりすることで,自覚症状がないと感じてしまうこともある。
このように患者さんの生活の質を著しく低下させる大動脈弁狭窄症は,放置すると弁だけの病気から心臓全体の病気へと広がってしまい,結果として心不全などを引き起こすことにつながるので,適切な時期に適切な治療を受けることが重要とされている。

●サピエン 3/サーティテュードの特長

サピエン 3はサピエン XTからさらに進化し,臨床現場のニーズを反映した生体弁である。
・サピエン 3では,生体弁の周りのアウタースカートによって,弁周囲逆流(弁周囲からの血液の漏れ)をより効果的に低減する構造となり,患者さんの予後に影響すると言われる*4 中〜高程度の弁周囲逆流を低減することに成功。また,より患者さんの弁輪にフィットしやすくなり,優しい拡張が可能になった。

サピエン 3では,生体弁の周りのアウタースカートによって,弁周囲逆流(弁周囲からの血液の漏れ)をより効果的に低減する構造となり,患者さんの予後に影響すると言われる中〜高程度の弁周囲逆流を低減することに成功。

 

・サピエン 3は生体弁をより細くたためるため,デリバリーシステム(カテーテル)「サーティテュード」の低プロファイル化が実現。その結果,経心尖と経大動脈アプローチでは,これまで24Fであったシースが18Fとなった(23/26mmサイズの生体弁の場合)。また,操作性が向上し,効果的に,正確な生体弁の留置が可能になるなど,製品全体の進化により,サピエン 3での治療において,卓越した臨床実績を達成*1した。

サピエン 3は生体弁をより細くたためるため,デリバリーシステム(カテーテル)「サーティテュード」の低プロファイル化が実現。

 

参考文献:
*1. Kodali S; PARTNER Trial Investigators. Clinical and echocardiographic outcomes at 30 days with the SAPIEN 3 TAVR System in inoperable, high-risk and intermediate-risk AS patients. Paper presented at American College of Cardiology 2015: 64th Annual Scientific Session & Expo (ACC); 2015 March 14-16; San Diego. PARTNER II試験( N=491)において,米国における,エドワーズサピエン 3生体弁の臨床試験データは,術後 30日の全死亡率 1.6%,重症脳卒中発生率 0.8%,中程度以上の弁周囲逆流発生率 2.5%であった。
*2. De Sciscio P, et al. Quantifying the shift toward transcatheter aortic valve replacement in low-risk patients. Circ Cardiovasc Qual Outcomes. 2017;10:e003287.
*3. Pellikka PA, et al. Outcome of 622 adults with asymptomatic, hemodynamically significant aortic stenosis during prolonged follow-up. Circulation. 2005; 111:3290-5.
*4. Hayashida K et al. Impact of post-procedural aortic regurgitation on mortality after transcatheter aortic valve implantation. JACC Cardiovasc Interv. 2012; 5:1247-56..

 

●問い合わせ先
エドワーズライフサイエンス(株)
THV事業部
TEL 03-6894-0680  
www.edwards.com/jp

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