日本メドトロニック,心室性不整脈治療に対して新しいアルゴリズムを搭載した植込み型除細動器(ICD)「Cobalt™ XT ICD」の販売を開始
遠隔モニタリング機能により,患者の状態をいち早く把握可能に

2020-7-30

ペースメーカ,ICD,CRT-D

日本メドトロニック


Cobalt XT ICD(承認番号:30200BZX00097000)

Cobalt™ XT ICD
(承認番号:30200BZX00097000)

日本メドトロニック(株)は,心室性不整脈に対する新しい治療アルゴリズムを搭載した植込み型除細動器(ICD)「Cobalt™ XT ICD(コバルト エックスティー アイシーディー)」の販売を2020年8月1日より開始する。

植込み型除細動器(ICD)は,心臓のリズムを常に監視し,脈が速すぎるために十分に血液を送り出せず突然死につながる可能性のある心室頻拍や心室細動などの致死性不整脈を感知すると,電気刺激や電気ショックを与えることで,心臓の動きを正常な状態に戻す。

Cobalt XT ICDは,患者の脈拍の状態を判別し,適切な電気刺激を自動調整して与えることが特長。出現する心室頻拍は多様で一人の患者でも一定ではないため,これまでは医師による手動での設定調整を必要としていた。新たに搭載されたiATP(アイ エーティーピー)治療アルゴリズムにより,痛みのない抗頻拍ペーシングを用いることで,痛みを伴うショック療法の回数の低減を図りながら,それぞれの患者に適切な治療を行うことができる可能性がある。

また,心房細動等の上室性頻拍に対しても,独自のアルゴリズムにより頻拍のリズムおよび規則性の変化を検出し,それに合わせて自動的に繰り返し抗頻拍ペーシングを送出するReactive ATP™(リアクティブ エーティーピー)機能を搭載している。これにより,上室性頻拍に対して早期に対処すると共に,その持続時間の延長を抑止することを目指している。さらに,電池寿命を向上させつつ,不整脈を停止させるためのショック治療送出エネルギーも40ジュールに増強している。

今回,植込み型除細動器(ICD)としては初めてとなる,スマートフォンアプリを用いた遠隔モニタリング機能を搭載した。Cobalt XT ICDで収集したデータは,スマートフォンアプリ「MyCareLink Heart™(マイケアリンク ハート)アプリ」を経由し,暗号化したBluetooth通信によりセキュアに送られ,タイムリーに現在の状態や設定情報を確認することが可能。不整脈などの異常が発生した際にアラートが医療従事者に送信されるため,早期の治療介入の可能性が期待されている。スマートフォンやタブレットを通じて送信された患者のデータを医療機関で確認できるため,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況下においても,必要とされる外来の回数を減らせる可能性がある。また,患者はデバイスについての情報やデバイスが測定した活動量についての情報をMyCareLink Heartアプリで閲覧することができる。

東京医科歯科大学循環器内科准教授の合屋雅彦氏は,次のように述べている。「ICD患者さんの不利益となる不必要なショックをもたらす可能性のある心室頻拍への治療において,このiATP治療アルゴリズムは,従来から不整脈医が実施してきたメソッドを用いてATP治療のプログラミングを自動で設定することができる機能です。今後,ICD患者さんにとって不必要なショックを今まで以上に回避しながら,適切な治療の実施が期待されます。また,スマートフォンによる遠隔モニタリングに対応したことで,外出先でもタイムリーにアラート送信が実施されることにより,早期治療介入の選択肢が増えたことは評価に値するものと考えています」

アプリベースの新しい遠隔モニタリングと進化したICDデバイスの自動機能

●MyCareLink Heartアプリ:Cobalt XT ICDに搭載されたBlueSync™テクノロジーにより,Bluetooth Low Energy(BLE)を用いた低消費電力によるワイヤレスでの遠隔モニタリングを可能にする。送信されるデータは完全に暗号化され,外部からのアクセスを制限するなど高いセキュリティ対策を行っている。また,医療従事者がデバイスの設定変更に使用するプログラマもタブレットベースのCareLink SmartSync™デバイスマネージャーに生まれ変わった。

●iATP(Intrinsic ATP™):患者の心室頻拍に対して痛みのない抗頻拍ペーシングを用いて,ショック治療を回避する唯一のATP自動化アルゴリズム。iATPは,患者それぞれの心室頻拍に対してATP治療を自動でプログラムし,Medtronic独自のSmartShockTMテクノロジー2.0という識別機能を組み合わせて,更なるショックの低減を図る。

MyCareLink Heart アプリの主な機能

●バイタルサイントラッキング:患者自身が体重,血圧,心拍数をアプリに記録することで,患者自身が健康状態をよりよく理解することを助ける。この情報はモバイル端末にのみ保存される。

●平均電池寿命:推定された電池寿命※を表示する。
※患者個々のデバイス交換時期を示したり,使用期間を保証したりするものではない。作動状況により推定値は変動するため,あくまで目安として利用するものである。

●身体活動:Cobalt XT ICDの取得した活動レベルに関する情報を使用して毎日,毎週,毎月の身体活動のトレンドを表示する。

MyCareLink Heart アプリ
MyCareLink Heart アプリ

 

販売名:ケアリンク SmartSync Device Manager 医療機器承認番号:30100BZX00033000
販売名:メドトロニック 24967 ペイシェントコネクタ 医療機器承認番号:30100BZX00034000
販売名:Cobalt MRI ICDシリーズ 医療機器承認番号:30200BZX00097000

【植込み型除細動器(ICD)とは】
ICDは患者の心拍を感知することで,潜在的に致死性不整脈とされる心室頻拍や心室細動を検知すると即座に治療を行い,心臓の働きを正常に戻すことで突然死を予防する。ICDのリード(導線)は血管(静脈)を通って心臓に留置される。心臓が発する電気情報を絶え間なく本体に送りモニタすると共に,拍動が異常に早くなった場合には,本体からの電気刺激を心臓内に伝えることにより治療を行う。ICDは,症状に合わせて,通常のペースメーカのような弱い電流による刺激を与えて不整脈を停止させる抗頻拍ペーシングと,AEDのように電気ショックを与えて発作を止める電気ショック治療の,2つの治療方法を選択する。ICDには「シングルチャンバ」「デュアルチャンバ」の2つのタイプがあり,シングルチャンバは1本のリードで右心室の不整脈を監視して治療を行う。デュアルチャンバでは2本のリードで右心室・右心房のリズムをそれぞれ監視して治療を行う。

【遠隔モニタリングとは】
遠隔モニタリングは,患者が携帯電話回線等を通じて,ペースメーカやICD等の植込み型心臓デバイスの情報を自宅などから担当医や医療スタッフ等に送ることができるサービス。近年急速に普及が進んでおり,患者の包括的な管理に広く使用されている。

 

●問い合わせ先
日本メドトロニック(株)
http://www.medtronic.co.jp/

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