エドワーズ,新機能,脳や身体の組織酸素飽和度モニタリングを追加した血行動態モニタ「ヘモスフィア アドバンスドモニタリングプラットフォーム」発売
ForeSight センサを貼るだけで,全身の循環に加えて局所の循環が評価可能に

2021-3-1

生体情報モニタ

エドワーズライフサイエンス


エドワーズライフサイエンス(株)(以下エドワーズ)は,手術中の患者さんの血行動態*1を監視するために使用されるモニタ「ヘモスフィア」に新機能を追加した「ヘモスフィア アドバンスドモニタリングプラットフォーム」を発売した。これまでの全身的な血行動態の指標に加えて,ForeSight (フォーサイト)センサを接続することで,新しく脳または身体各部位の組織酸素飽和度*2を測定できる。これにより,患者にForeSight センサを貼るだけで,医療従事者が人工心肺*3中や全身麻酔の状態にある患者の血行動態を,より総合的に把握できるようになる。

*1:血行動態とは,心臓から送り出される血液量や血液を循環させる心臓,血管の状態を指す。
*2:組織酸素飽和度とは,目的組織の動脈,静脈,毛細血管内のヘモグロビンのうち,酸素と結合したヘモグロビンの割合になる。
*3:人工心肺とは,患者の心臓を止めて行う手術の際に,心臓と肺の代わりに患者の全身に酸素を含んだ血液を供給するための機器。

【1台のモニタで目的や使用状況に合わせて,下記4つも含んだ合計5つのモニタリングデバイスが選択可能に】

【1台のモニタで目的や使用状況に合わせて,下記4つも含んだ合計5つのモニタリングデバイスが選択可能に】

 

◆ 脳や身体各部位の組織酸素飽和度を測定することの意義

心臓・循環系のモニタリングの目的は「組織の低酸素に早期に気づくこと1」。日本心臓血管麻酔学会が2017年に発表した「心臓血管麻酔における近赤外線脳酸素モニターの使用指針」においても,「脳梗塞や術後高次脳機能障害(postoperative cognitive dysfunction: POCD)*4などの周術期脳障害の発生は,入院期間,死亡率,機能的予後などに影響を及ぼすとともに,家族への負担や総医療費の増加などにも多大な影響を及ぼす。特に高齢者の心臓血管手術は増加しており,周術期脳障害に対する予防対策は急務である2」と記されている。
脳や各部位の組織酸素飽和度は,酸素の運搬・消費のバランスを示しており,局所の低酸素の早期発見や,安定した組織循環を維持する際の目標値として活用され,医療従事者の治療介入が必要な状態を判断するための指標のひとつとなる。

*4:術後高次脳機能障害(POCD)とは意識,記憶,感覚認識,言語,動作などの高次脳機能が手術・麻酔後に障害された状態を指す。

◆ 血行動態モニタリングの意義

血行動態モニタリングとは,患者の心臓の動きや心臓が送り出す血液量や流れの状態を監視すること。血行動態モニタリングは,麻酔(手術)や救急・集中治療室での治療のタイミングで特に重要な役割を担う。
人体は,酸素が欠乏すると数分で影響が表れ,生命維持に影響する。そのため,血液を通じて各臓器へ十分な量の酸素供給を維持することが不可欠である。特に手術中は麻酔薬の影響や出血など,様々な要因で患者の血液量や血液の流れは刻一刻と変化する。
そのため,医師は様々なデバイスを使用して患者の血行動態を継続的に監視し,患者の臓器や組織に十分な血液と酸素が送られているかを評価している。そして患者の状態変化や問題に速やかに気づき,迅速に治療方針を決定する。そうすることで,患者の各臓器の機能低下などを未然に防ぎ,また改善させるための治療介入を行うことが可能になる。
このように,手術中は治療部位だけではなく,患者の全身の状態をモニタリングすることで,患者の生命を維持し,手術の後もより速やかに回復できるよう,配慮されている。

◆ ForeSight センサで組織酸素飽和度を測定する仕組み

・患者の皮膚に貼付されたForeSight センサは近赤外光を発し,脳・組織酸素飽和度を正確にモニタリングするために必要な,適切な深度に到達させる。その近赤外光を用いて,ForeSight センサは血中の組織酸素飽和度を測定し,患者の組織における酸素の運搬や消費のバランスを数値化する。数値はヘモスフィア アドバンスドモニタリングプラットフォームにてわかりやすく表示される。
・モニタに搭載された独自のアルゴリズムで目的外の組織やメラニンなどの物質の影響を特定し,補正するほか,骨格筋など生体の解剖学的特徴を考慮した技術により,これまで測定の限界とされてきた組織特性による誤差を最小化し,より正確な値を導き出す。
・ForeSight センサは柔軟性が高く,湾曲した身体の部位にもフィットする。また患者の肌へのストレスを軽減するため,滑らかな貼付面を採用している。成人と小児の違いを考慮し,小児の組織酸素飽和度測定にも適した光の到達深度をもつセンサも取り揃えている。

◆ 新機能を追加した,ヘモスフィア アドバンスドモニタリングプラットフォームで可能なこと

・日本で連続的心拍出量*5モニタリングデバイスとして広く使用されている2つのデバイス,スワンガンツ・サーモダイリューション・カテーテルおよびフロートラック センサーを含む,5つのデバイスを接続可能。また,モジュールの選択とタッチパネルによるシンプルな操作で接続デバイスを切り替えることができる。
・各指標について目標値の範囲内・注意・警告のいずれの段階にあるかを色別で表示。医療従事者がより直観的・視覚的に患者さんの状態を把握し,迅速な治療方針を決定するサポートとなる。今回新たに,各指標の関係性を把握しながら総合的に血行動態を把握できる画面レイアウトが追加された。
・バッテリー稼働が可能なため,患者搬入時や緊急時,院内移動時など,電源が確保できないような様々な場面においても,モニタリングが実施できる。

*5:連続的心拍出量とは,心臓が送り出す血液の量をほぼリアルタイムで測る指標。麻酔中に患者の循環血液量を管理する「循環管理」の指標のひとつ。

◆ ヘモスフィア アドバンスドモニタリングプラットフォームに接続可能なモニタリングデバイスについて

■ ForeSight センサ(新たに接続可能に)
脳または身体各部位の組織酸素飽和度を測定し連続モニタリングできる。センサを皮膚に貼付して使用する非侵襲のモニタリングデバイス。

■ フロートラック センサー
心臓手術以外でリスクの高い手術や低侵襲での心臓手術,および救急・集中治療領域において,連続的心拍出量を測定する。患者に既に留置されている,動脈留置カテーテルに接続して使用する。

■ スワンガンツカテーテル
主に重症の心疾患を抱えた患者の心臓手術において,連続的心拍出量を測定する。カテーテルを血流に沿って心臓の中を通し,先端を肺動脈まで挿入して使用する。

■ エドワーズオキシメトリーCVカテーテル
全身への血液循環,組織への酸素供給と酸素消費をリアルタイムにモニタリングするために使用する。患者の首の静脈から挿入して使用する。

■ CVオキシメトリーカテーテル・ペディアサット
上記エドワーズオキシメトリーCVカテーテルの小児用。

販売名(承認/認証番号)ヘモスフィア アドバンスドモニタリングプラットフォーム(30200BZX00403),フロートラック センサー(21700BZY00348),スワンガンツ・サーモダイリューション・カテーテル(CCO/CEDV)(22800BZX00144),エドワーズオキシメトリーCVカテーテル(22800BZX00169),CVオキシメトリーカテーテル・ペディアサット(22800BZX00195)。

【参考】
1:Reinhart K, Bloos F. The value of venous oximetry. Curr Opin Crit Care. 2005;11:259-63.
2:一般財団法人日本心臓血管麻酔学会「心臓血管麻酔における近赤外線脳酸素モニターの使用指針」http://www.jscva.org/news/detail/id/114  アクセス日2021年3月1日

 

●問い合わせ先
エドワーズライフサイエンス(株)
https://www.edwards.com/jp/

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